著者
四方 順司 鈴木 譲 今井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.329, pp.9-15, 1999-09-24

量子計算の分野において最も衝撃的だったのは、1994年のShorによる素因数分解問題、及び有限体上の離散対数問題が多項式時間で解けるという結果であった。ここで、我々は、はたしてShorのアルゴリズムが楕円曲線上の離散対数問題にもそのまま適用できるのかという問題を考えてみる。本論文では、実際に楕円曲線上の離散対数問題に対するShorのアルゴリズムを明確に記述することで、難なく適用できることを確認する。更に、Shorのアルゴリズム以外に、Kitaevのアルゴリズムを用いることでも楕円曲線上の離散対数問題を多項式時間で解くことが可能である。従って、楕円曲線上の離散対数問題に対するKitaevのアルゴリズムを考察することも本稿の目的としている。
著者
四方 順司 渡邉 洋平
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.260-267, 2014-02-15

現代暗号理論における安全性は,主に計算量理論的安全性(計算量的安全性)と情報理論的安全性(情報量的安全性)に大別される.情報理論的安全性に基づいた暗号技術では,攻撃者が知りえない情報量を担保にして情報理論的あるいは確率論的立場から安全性を保証し,攻撃者の計算能力が無制限であっても安全性を達成できる.本稿では,情報理論的安全性に基づいた暗号基礎技術(暗号化,認証技術)について解説する.一般に,情報理論的安全性を保証するためには,この分野特有のモデルや仮定を必要とするが,それに関しても本稿で概観し,実用的・応用的な観点からの研究動向についても紹介する.
著者
清藤 武暢 黄瀬 和之 四方 順司 松本 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.734, pp.13-18, 2005-03-11

グループ署名方式は, ChaumとVan Heystにより提案された署名方式であり, グループに属する利用者がグループの代表として匿名で署名を生成することができ, 問題が生じたときにはグループ管理者により署名生成者を特定することができる方式である.本稿では, これまで計算量的な安全性の枠組みのもとで研究されてきたグループ署名方式について, 情報理論的安全性の枠組みのもとで考える.特に, 情報理論的に安全なグループ署名方式のモデル, 及び安全性の概念を新しく導入する.そして, 安全性の概念の定式化を行う.更に, その強い安全性を満たす具体的な構成法を提案する.
著者
四方 順司 渡邉 洋平
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.260-267, 2014-02-15

現代暗号理論における安全性は,主に計算量理論的安全性(計算量的安全性)と情報理論的安全性(情報量的安全性)に大別される.情報理論的安全性に基づいた暗号技術では,攻撃者が知りえない情報量を担保にして情報理論的あるいは確率論的立場から安全性を保証し,攻撃者の計算能力が無制限であっても安全性を達成できる.本稿では,情報理論的安全性に基づいた暗号基礎技術(暗号化,認証技術)について解説する.一般に,情報理論的安全性を保証するためには,この分野特有のモデルや仮定を必要とするが,それに関しても本稿で概観し,実用的・応用的な観点からの研究動向についても紹介する.
著者
松本 勉 四方 順司 清藤 武暢 古江 岳大 上山 真貴子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.194, pp.73-80, 2005-07-15
参考文献数
3
被引用文献数
3 1

本稿では, 個人認証を行う主体である認証者の手元に個人認証を受けるもの(ユーザ)の個人情報をすべて集めずに, プライバシ保護を志向した分散認証技術について, 課題の抽出, 及び基本方式の検討を行う.すなわち, ユーザの属性情報を秘密分散方式により分散して管理する複数の分散属性認証機関と, ユーザの属性情報を認証者にどの程度示すかをユーザ自らが制御できるモジュールであるユーザアシスタントを導入したモデルを考案し, さらに, この分散認証技術の基本方式を提案する.
著者
高橋 知史 四方 順司 松本 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SST, スペクトル拡散 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.746, pp.87-92, 2003-03-20

物理的攻撃に対して耐性のある署名方式として, Forward-Secure署名方式やKey-Insulated署名方式などが提案されている.Forward-Secure署名方式は,署名対象期間を複数の期間に分割し,署名生成鍵を期間毎に使い分けることにより,署名生成鍵を盗まれた期間以前の鍵で作られた署名の安全性を守る署名方式である.またKey-Insulated署名方式は,安全なICカード等のデバイスの中に"マスターキー"と呼ばれる鍵更新のための鍵を格納し,署名生成鍵を更新していく署名方式であり,署名生成鍵が盗まれた期間だけで被害が収まるといった利点がある.本稿において提案する署名方式は,Forward-Secure署名方式を基にして構成されており,必ずしも安全なデバイスを仮定することがなくとも"過去の期間に作成した署名"を用いて鍵更新を行うことでKey-Insulated署名方式と同等の性質を実現している.また,過去に作成した署名は偽造署名発見時の証拠としても利用できるといった利点も挙げられる.
著者
花岡 裕都子 花岡 悟一郎 四方 順司 今井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.323, pp.83-90, 2002-09-13
参考文献数
17

本稿においては、IDに基づく暗号系(暗号、鍵配送および署名)における秘密鍵の更新について議論を行い、特に、鍵更新を考慮した場合、IDに基づく暗号系と従来の公開鍵暗号系の通信コストはほぼ等しくなることを示す。つまり、実用的なシステムにおいては、IDに基づく暗号系の最も重要な利点が大きく損なわれることとなる。本研究においては、さらに、IDに基づく暗号系における一般的な鍵更新の手法を提案する。提案方式はいかなるIDに基づく方式に対しても適用可能であり、また、通信コストに関して最適である。基盤となるIDに基づく方式が安全であれば、鍵更新が可能となるよう提案方式を適用しても安全性は維持される。