著者
徳江 義宏 今村 史子 大澤 啓志
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.465-468, 2013 (Released:2014-05-08)
参考文献数
17
被引用文献数
8 5

In urban areas, it is important to conserve biodiversity because biodiversity is the basis of the ecosystem services. This study focused on cicadas because they serve as an indicator of the environmental conditions. We aim to clarify cicada distribution in urban areas and the environmental factors that affect its population and distribution. By using a method for counting the cast-off skins of the cicadas, we recorded cicada population three times during the summer of 2011 at 49 forest sites in Tokyo metropolis. In addition, we recorded environmental factors through field surveys and satellite imagery analysis. The species composition of cicada was analyzed using the Nestedness Temperature Calculator program, and the relationship between the cicada population and environmental factors was analyzed using a generalized linear mixed model (GLMM). As a result, six cicada species and the cast-off skins of five species were found in the studied sites. The species composition of cicada has a nested structure, with one species dominating many sites. The common factors having a statistically significant influence on the cicada population were soil moisture, soil hardness, leaf coverage in the middle layer, height of shrub layer, and average breast height diameter of trees, which were obtained using a GLMM. Among these factors, we also obtained the characteristic factor affecting each cicada species.
著者
徳江 義宏 大澤 啓志 今村 史子
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.203-206, 2011 (Released:2012-03-14)
参考文献数
44
被引用文献数
5 2

都市域におけるエコロジカルネットワーク計画の生息地の連結性を検討する上では,動物が再移入可能な生息地間の距離に関する知見は重要である。本研究は,計画論的視点から生態特性が類似したグループ毎に移動分散の距離を検討した。体サイズ,移動手段に着目して,哺乳類,鳥類,爬虫類,両生類,昆虫類,クモ類,陸生貝類の各分類群について,生態特性が類似したグループを把握することができた。このグループは,広域,都市域,地区の異なる空間スケールに応じたエコロジカルネットワーク計画の目標種の設定において,有効と考えられる。
著者
川尻 啓太 森 照貴 内藤 太輔 今村 史子 徳江 義宏 中村 圭吾
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.23-32, 2023-07-31 (Released:2023-09-01)
参考文献数
56

近年,河道内の樹木が定着範囲を拡大させる「樹林化」が日本全国で生じている.治水対策として,樹木の伐採に加え高水敷を掘削する対策が実施されているが,掘削後にヤナギ類等の樹木が再び繁茂する事例が報告されている.効率的な樹木管理を実施する上で,掘削後に再び樹林化することを考慮した管理計画が求められる.しかし,どの程度の速さで再び樹林が拡がるかについての知見は乏しい.本研究では,26 箇所の掘削地を対象として,掘削後に撮影された衛星写真と空中写真から河道内における樹木の繁茂状況を判読した.そして得られた繁茂状況の年変化から,ヤナギ類を中心とした樹林の拡大速度と,河床勾配による違いについて検証した.その結果,樹林は掘削から約 5 年が経過すると拡大速度を増し,掘削から約 10 年が経過した頃には掘削した範囲の約 50 %を覆うことが明らかとなった.掘削地には,ヤナギ類の種子が多量に運ばれ,約 5 年が経過する頃には複数の個体が掘削地の一部を覆うほどに樹冠を大きくしたものと考えられる.その後も,各個体での樹冠の拡大と個体の定着範囲の拡大が続いたことで樹林面積が増加したと考えられる.さらに,河床勾配に応じて,樹林化が進行する速度が異なっていた.河床勾配が緩い区間ではより速く樹林が拡大する傾向にあり,これは流速が小さく,樹木が流亡しにくくなったためと考えられる.また,勾配が緩いことで高水敷に堆積する土砂の粒径が小さく,湿潤環境が形成されやすいために,樹木が定着・生長しやすくなったと考えられた.本研究の成果は,高水敷掘削からの経過年数に応じた樹林の繁茂状況の推定に寄与する.これにより,掘削の後にいつ樹木管理を実施するべきかの判断材料となるだろう.また,樹林化の抑制対策の効果を評価する際,対策を実施しなかった場合に想定される樹林化の速度として活用されるだろう.
著者
徳江 義宏 大澤 啓志 今村 史子
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.203-206, 2011-08-31
参考文献数
44
被引用文献数
2

都市域におけるエコロジカルネットワーク計画の生息地の連結性を検討する上では,動物が再移入可能な生息地間の距離に関する知見は重要である。本研究は,計画論的視点から生態特性が類似したグループ毎に移動分散の距離を検討した。体サイズ,移動手段に着目して,哺乳類,鳥類,爬虫類,両生類,昆虫類,クモ類,陸生貝類の各分類群について,生態特性が類似したグループを把握することができた。このグループは,広域,都市域,地区の異なる空間スケールに応じたエコロジカルネットワーク計画の目標種の設定において,有効と考えられる。
著者
平林 聡 徳江 義宏 伊藤 綾 ELLIS Alexis HOEHN Robert 今村 史子 森岡 千恵
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.44-49, 2016 (Released:2017-01-30)
参考文献数
42
被引用文献数
3 4

川崎市川崎区を事例に,都市樹林評価モデルi-Tree Ecoを試行し,その解析結果および都市樹林管理業務への活用について考察した。モデルの改変,パラメータの設定を行い,一般に公開されているデータを入力データとして用いることで,街路樹による炭素蓄積・固定量,住宅の冷暖房使用増減量,大気汚染物質除去量とそれによる健康被害軽減,雨水流出量の削減を推定した。また,それらの貨幣価値は,参考値であるが年間約530万円と推定された。