著者
中村 直樹 伊藤 一也 蒲田 和芳 秋山 寛治
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.AeOS3001, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 腰痛の生涯有症率は49-70%,時点有症率は12-30%とされる(van Tulder et al.2002)。その原因は十分解明されておらず、また予防法も未確立である。 Chest grippingは上部腹筋群の過緊張により下位胸郭の展開が制限される状態(下位胸郭横径拡張不全)のことである(Lee)。これは胸椎運動を制限し,腰椎運動への負荷の増大をもたらすことで腰痛の一因となり得ると考えられている。解剖学的にChest grippingに拮抗する作用を持つと考えられる筋として下後鋸筋(SPI)が挙げられる。SPIはT11-L2,3に起始し,下位肋骨に付着する。Vilensky et al.は上後鋸筋(SPS)とSPIに関する文献のレビューにより,SPSとSPIのどちらも呼吸機能がないと示唆すると結論付けた(Vilensky et al. 2001)。しかし,これらは解剖学的な見解であり,生体内で下後鋸筋がどのような役割を有しているのかは不明である。本研究では超音波と表面筋電図(SEMG)を用い,健常者における下後鋸筋の運動学的役割を調査すること,またSEMGとワイヤ電極による筋電図を比較してSEMGの妥当性を検証することを目的とした。【方法】 対象者の包含基準は,18-30歳,男性,健常者であり,除外基準は腰痛,医学的リスク,精神障害者とした。SEMGを用い,右側の下後鋸筋,広背筋,胸部脊柱起立筋,腰部脊柱起立筋,外腹斜筋の最大努力時の筋活動を測定した。検査試技は体幹右回旋,左回旋,伸展,側屈,胸椎伸展,プッシュアップとした。次に,超音波を用いて安静時と収縮時の右側下後鋸筋を撮像した。検査試技は安静,体幹右回旋,胸椎伸展,プッシュアップとした。測定肢位,筋力発揮の指示はSEMGと同様とした。最後にワイヤ電極を用い,一人の対象者において広背筋活動と分離した下後鋸筋の単独活動が可能かどうかを調査した。検査試技は単独収縮が可能と思われる四つ這い位での上肢挙上,側臥位での体幹回旋,ATM2 (Backproject corp.)の骨盤・胸椎ベルトを用いた最大下努力での体幹後屈動作とした。いずれも各試技5回測定し,休憩時間は各試技間30秒とした。統計は統計解析ソフトPASW statistics 18を用いた。各試技における下後鋸筋の作用を評価するために,%MVC,SPI筋厚の記述的統計量として平均値,95%信頼区間を算出した。また,%MVC,SPI筋厚調査の再現性を調べるために級内相関係数ICC(1,3)を算出した。【説明と同意】 ヘルシンキ宣言の精神に基づき作成された同意書に署名した10名を対象とした。【結果】 筋活動,下後鋸筋筋厚のICC(1,3)はそれぞれ0.987(95%CI:0.962-0.996),0.947(95%CI:0.851-0.986)と高い再現性を示した。下後鋸筋は体幹回旋で筋活動の増加,筋厚の増大を示し,広背筋とほぼ同様のパターンであった。下後鋸筋の安静時,同側回旋時の筋厚はそれぞれ3.49mm(3.13-3.84mm),4.98mm(4.15-5.81mm)であった。下後鋸筋の同側回旋時の%MVCは75.1%(58.3-91.9%)であった。ワイヤ電極により,下後鋸筋単独収縮を呈した動作は、側臥位での体幹同側回旋,四つ這い位(脊椎伸展位)での上肢屈曲,ATM2伸展抵抗運動であった。SEMGとワイヤ電極は最初の2動作で一致した活動パターンを示した。【考察】 本研究では四つ這い位で脊柱過伸展位での上肢屈曲および側臥位での体幹回旋において,下後鋸筋の独立した活動が得られた。前者は,上肢屈曲により広背筋の活動を抑制し、脊柱過伸展位を保つことにより腹斜筋の活動を抑制したことから、下位胸郭の回旋の役割を持つ下後鋸筋の独立した活動が誘発されたためと考察される。後者は,上位胸郭に抵抗を加えたことにより、広背筋と腹斜筋の活動が抑制されたと解釈された。以上の結果より、下後鋸筋は同側下位肋骨を後方に引く作用を有し、片側性の活動は下位胸椎の回旋、両側性の活動は下位胸郭の横径拡張および胸椎伸展に貢献すると推測される。本研究では超音波画像の観察下で,ワイヤ電極を筋腹内に埋設した。導出された筋電図は,超音波画像における筋厚増大と一致した。また,その活動はSEMGにおいても検出することが可能であることが示された。一方,本研究の限界として,ワイヤ電極を用いた測定におけるサンプルサイズ不足が挙げられる。以上より,今後下後鋸筋に関する筋電図学的研究において表面電極を用いることが可能であると結論付けられる。また、下後鋸筋の両側性の活動は下位胸郭の横径拡張の主働筋になりうることが示唆され、これが下位胸郭の横径拡張制限であるchest grippingに対する拮抗的な作用を発揮することが期待される。【理学療法学研究としての意義】 下後鋸筋の片側性の活動は下位胸郭を後方に引く作用を有し,両側性の活動は下位胸郭の展開の主働筋となることが示唆された。今後,後屈時に増悪する腰痛への応用が期待される。
著者
濱田 孝喜 貞清 正史 坂 雅之 竹ノ内 洋 伊藤 一也 蒲田 和芳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1577, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】野球では外傷よりも野球肩などスポーツ障害の発生率が高いことが知られている。近年,肩後方タイトネス(PST)に起因する肩関節内旋可動域制限の存在が示され,PSTと投球障害肩発生との関連性が示唆されたが,高校野球においてPSTおよび肩関節可動域制限の予防策の実施状況は報告されていない。また,予防策実施と肩障害発生率との関係性は示されていない。そこで本研究の目的を高校野球において,肩関節可動域制限の予防策の実施状況および予防策実施と肩関節痛の存在率との関連性を解明することとした。【方法】長崎県高等学校野球連盟加盟校全58校へアンケート用紙を配布し,アンケート調査を高校野球指導者と選手に実施した。指導者には練習頻度・時間,投球数に関する指導者の意識調査,選手には肩障害の有無・既往歴,ストレッチ実施状況・種類などを調査した。調査期間は平成25年1月から3月であった。【倫理的配慮,説明と同意】アンケート調査は長崎県高校野球連盟の承諾を得た上で実施された。アンケートに係る全ての個人情報は調査者によって管理された。【結果】1.選手:対象58校中27校,673名から回答を得た。対象者は平均年齢16.5歳,平均身長170.1cm,平均体重66.1kgであった。アンケート実施時に肩痛を有していた者は全体の168/673名(24.9%)であり,肩痛の既往がある者は全体の367/673名(54.5%)と約半数にのぼった。疼痛を有する者のうちストレッチを毎日または時々実施している者は147/167名(88%)であった。疼痛の無い者のうちストレッチを実施している者は422/490名(86%)であった。投手のみでは,肩痛を有する者が22/133名(16.2%),肩痛の既往は82/136名(60.3%)であった。疼痛を有する者のうちストレッチを毎日または時々実施している者は20/22名(90.9%)であった。疼痛の無い者のうちストレッチを実施している者は107/111名(96.4%)であった。2.指導者:58校中24校,33名から回答を得た。練習頻度では,週7日が9/24校(38%),週6日が13/24校(54%),週5日が8%(2校)であった。練習時間(平日)では,4-3時間が14/24校(58%),2時間以下が9/24校(38%),回答なしが1校であった。練習時間(休日)では,9時間以上が2/24校(8%),7-8時間が8/24校(33%),5-6時間が9/24校(38%),4-3時間が5/24校(21%)であった。投球数(練習)では50球以下が3%,51-100球が24%,101-200球が24%,201球以上が0%,制限なしが48%であった。投球数(試合)では50球以下が0%,51-100球が9%,101-200球が42%,201球以上が0%,制限なしが48%であった。3.指導者意識と肩痛:投手の練習時全力投球数を制限している学校は12校,制限ない学校は12校であった。全力投球数制限ありの投手は45名で,肩痛を有する者は8/45名(18%),肩痛が無い者は37/45名(82%)であった。全力投球数制限なしの投手は60名で,肩痛を有する者は11/60名(24%),肩痛が無い者は49/60名(75%)であった。【考察】肩関節痛を有する者は全体の24.9%,投手のみでは16.2%であり,肩痛の既往歴が全体の51.5%であった。ストレッチ実施状況は肩痛の有無に関わらず約80%の選手が実施していた。肩関節可動域制限に対してスリーパーストレッチ,クロスボディーストレッチによる肩関節可動域改善効果が報告されている。本研究ではストレッチ実施の有無を調査しているためストレッチ実施方法の正確性は明らかではないが,ストレッチのみでは投球障害肩予防への貢献度は低いことが考えられる。障害予防意識に関して練習時・試合時共に制限をしていない指導者が48%であった。高校生の全力投球数は1日100球以内と提言されているが,部員が少数である高校などの存在は考慮せざるを得ない。練習時全力投球数を制限している者のうち肩痛を有する者は18%,制限の無い者のうち肩痛を有する者は24%であった。1試合または1シーズンの投球数増加は肩障害リスクを増大させると報告されている。アンケート調査を実施した期間はオフシーズンであり,指導者の投球数に関する意識が選手の肩障害に関与する可能性があると考えられる。以上より,高校野球選手において一定の効果があるとされるストレッチを約8割の選手が実施していたにも関わらず肩痛の存在率は高かった。この原因としてストレッチ方法の正確性及びオーバーユースや投球動作など他因子との関連が考えられる。今後はこれらの関係性を明確にし,障害予防方法の確立が重要課題である。【理学療法学研究としての意義】スポーツ現場において障害予防は重要課題である。これまで障害予防方法の検証はされてきたが,現場ではその方法が浸透していないことが示唆された。医学的知識や動作指導が可能な理学療法士の活躍がスポーツ現場での障害予防に必要である。
著者
濱田 孝喜 貞清 正史 坂 雅之 竹ノ内 洋 伊藤 一也 蒲田 和芳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】野球では外傷よりも野球肩などスポーツ障害の発生率が高いことが知られている。近年,肩後方タイトネス(PST)に起因する肩関節内旋可動域制限の存在が示され,PSTと投球障害肩発生との関連性が示唆されたが,高校野球においてPSTおよび肩関節可動域制限の予防策の実施状況は報告されていない。また,予防策実施と肩障害発生率との関係性は示されていない。そこで本研究の目的を高校野球において,肩関節可動域制限の予防策の実施状況および予防策実施と肩関節痛の存在率との関連性を解明することとした。【方法】長崎県高等学校野球連盟加盟校全58校へアンケート用紙を配布し,アンケート調査を高校野球指導者と選手に実施した。指導者には練習頻度・時間,投球数に関する指導者の意識調査,選手には肩障害の有無・既往歴,ストレッチ実施状況・種類などを調査した。調査期間は平成25年1月から3月であった。【倫理的配慮,説明と同意】アンケート調査は長崎県高校野球連盟の承諾を得た上で実施された。アンケートに係る全ての個人情報は調査者によって管理された。【結果】1.選手:対象58校中27校,673名から回答を得た。対象者は平均年齢16.5歳,平均身長170.1cm,平均体重66.1kgであった。アンケート実施時に肩痛を有していた者は全体の168/673名(24.9%)であり,肩痛の既往がある者は全体の367/673名(54.5%)と約半数にのぼった。疼痛を有する者のうちストレッチを毎日または時々実施している者は147/167名(88%)であった。疼痛の無い者のうちストレッチを実施している者は422/490名(86%)であった。投手のみでは,肩痛を有する者が22/133名(16.2%),肩痛の既往は82/136名(60.3%)であった。疼痛を有する者のうちストレッチを毎日または時々実施している者は20/22名(90.9%)であった。疼痛の無い者のうちストレッチを実施している者は107/111名(96.4%)であった。2.指導者:58校中24校,33名から回答を得た。練習頻度では,週7日が9/24校(38%),週6日が13/24校(54%),週5日が8%(2校)であった。練習時間(平日)では,4-3時間が14/24校(58%),2時間以下が9/24校(38%),回答なしが1校であった。練習時間(休日)では,9時間以上が2/24校(8%),7-8時間が8/24校(33%),5-6時間が9/24校(38%),4-3時間が5/24校(21%)であった。投球数(練習)では50球以下が3%,51-100球が24%,101-200球が24%,201球以上が0%,制限なしが48%であった。投球数(試合)では50球以下が0%,51-100球が9%,101-200球が42%,201球以上が0%,制限なしが48%であった。3.指導者意識と肩痛:投手の練習時全力投球数を制限している学校は12校,制限ない学校は12校であった。全力投球数制限ありの投手は45名で,肩痛を有する者は8/45名(18%),肩痛が無い者は37/45名(82%)であった。全力投球数制限なしの投手は60名で,肩痛を有する者は11/60名(24%),肩痛が無い者は49/60名(75%)であった。【考察】肩関節痛を有する者は全体の24.9%,投手のみでは16.2%であり,肩痛の既往歴が全体の51.5%であった。ストレッチ実施状況は肩痛の有無に関わらず約80%の選手が実施していた。肩関節可動域制限に対してスリーパーストレッチ,クロスボディーストレッチによる肩関節可動域改善効果が報告されている。本研究ではストレッチ実施の有無を調査しているためストレッチ実施方法の正確性は明らかではないが,ストレッチのみでは投球障害肩予防への貢献度は低いことが考えられる。障害予防意識に関して練習時・試合時共に制限をしていない指導者が48%であった。高校生の全力投球数は1日100球以内と提言されているが,部員が少数である高校などの存在は考慮せざるを得ない。練習時全力投球数を制限している者のうち肩痛を有する者は18%,制限の無い者のうち肩痛を有する者は24%であった。1試合または1シーズンの投球数増加は肩障害リスクを増大させると報告されている。アンケート調査を実施した期間はオフシーズンであり,指導者の投球数に関する意識が選手の肩障害に関与する可能性があると考えられる。以上より,高校野球選手において一定の効果があるとされるストレッチを約8割の選手が実施していたにも関わらず肩痛の存在率は高かった。この原因としてストレッチ方法の正確性及びオーバーユースや投球動作など他因子との関連が考えられる。今後はこれらの関係性を明確にし,障害予防方法の確立が重要課題である。【理学療法学研究としての意義】スポーツ現場において障害予防は重要課題である。これまで障害予防方法の検証はされてきたが,現場ではその方法が浸透していないことが示唆された。医学的知識や動作指導が可能な理学療法士の活躍がスポーツ現場での障害予防に必要である。
著者
大場 裕之 馬場 孝祐 橋岡 恵子 伊藤 一也 森本 将司 朝日 大介 貞松 俊弘 久我 哲也 秋山 寛治 蒲田 和芳
出版者
Japan Society of Health Promotion and Physical Therapy
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.113-117, 2013

要旨:ハイヒール用インソールの使用が,ハイヒール着用時の前足部荷重圧と運動機能へ与える影響を解明することを目的とした。ハイヒールを常用しない健常女性8名を対象とし,ヒール高9㎝のハイヒールに対して,ハイヒール用インソール(リアライン<sup>Ⓡ</sup>・インソール・フェム,以下フェム)の有無で片脚立位時間,片脚連続ジャンプ回数,片脚立位時における前足部最大圧および前足部平均圧,階段昇降時間を比較した。片脚立位持前足部最大圧が統計学的有意に減少した。フェム使用による主観的な不快感を訴えたものはいなかった。フェムの使用がハイヒール着用時の前足部の疼痛減少につながる可能性を示した。
著者
中村 直樹 伊藤 一也 蒲田 和芳 秋山 寛治
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.91-95, 2015-07-31 (Released:2015-09-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1

目的:“チェストグリッピング”は上部腹筋群の緊張による下位胸郭拡張制限を指し,腰痛の一因とされている。本研究はチェストグリッピングの拮抗筋と考えられる下後鋸筋に関して,健常者の体幹運動中における筋活動を検証することを目的とした。対象:健常男性1名を対象とした。方法:①端座位でのプッシュアップ,②端座位での体幹右回旋,③端座位での体幹左回旋,④端座位での胸椎伸展,⑤腹臥位での体幹伸展,⑥左下側臥位での体幹右側屈,⑦左下側臥位での体幹右回旋,⑧四つ這い位での右上肢挙上,の8試技における右下後鋸筋の筋活動を表面電極およびワイヤー電極を用いた筋電計にて測定した。結果:端座位での体幹右回旋,四つ這い位での右上肢挙上,左下側臥位での体幹右回旋時において右下後鋸筋は高い活動を生じた。結語:下後鋸筋は体幹回旋時に片側性の活動を示すことから,下位肋骨を後方へ引く能力を有すると推測される。
著者
伊藤 一也
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.57, pp.68-81, 1988-05-10 (Released:2009-09-04)
参考文献数
7

Dieser Aufsatz handelt vom Begriff des 'Idyllischen' in Hermann Nohls Pädagogik.1. Dieser Begriff bezeichnet, nach Nohl, die Geistigkeit, die mit der stillen Freude innerhalb des gegenwärtigen Horizontes ruht und einfaches Dasein des Menschen bejaht und pflegt. Diese Geistigkeit steht in gegensätzlicher Beziehung zum Drang oder Willen, der immer das hohere Leben sucht und danach strebt. Nohl nennt diesen 'faustisch'. Die wesentliche Struktur von Nohls Pädagokik wird in dieser Polarität verstanden.2. In Nohls Pädagokik besteht das Eigenwesen der Erziehung in dem pädagogischen Verhalten, d. i. der pädagogischen Hingabe an Leben und Entwiklung des Kindes. Solche Hingabe ist, nach Nohl, nur auf dem Grund der idyllischen Geistigkeit moglich, und die meisten Kinder entwickeln sich nur gesund und glücklich, wenn sie in dem idyllischen Leben bejaht und gepflegt werden.Nohl spricht von 'einer hoheren Idylle', d. i. einer Idylle im hoheren Leben. Damit wird die Moglichkeit eines neuen Lebensideals, also eines neuen Bildungsideals angedeutet.3. Wenn wir von diesem Gesichtspunkt aus unsere Erziehungssituation betrachten, konnen wir sagen, daß die Wiederherstellung des idyllischen Lebens in unserer Erziehung eine dringende Aufgabe ist.
著者
伊藤 一也
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.54, pp.43-56, 1986-11-10 (Released:2010-01-22)
参考文献数
17

In diesem Aufsatz wird versucht, den 'Bildungswillen' als einen zentralen Gesichtspunkt in Herman Nohls Pädagogik festzustellen und durch die Analyse dieses Begriffs eine Seite im Wesen seiner Pädagogik sichtbar zu machen.1. Zunächst muß im Zusammenhang damit die 'Deutsche Bewegung' als geistesgeschichtlicher Begriff untersucht werden. Darin fand Nohl seine weltanschauliche Grundlegung oder seinen philosophischen Ausgangspunkt. Ich sehe das Wesen der 'Deutschen bewegung' in der sich-schaffenden Bewegung des Geistes, die nach dem hoheren Leben strebt.2. Nohls 'Menschenkunde' und seine Theorie der menschlichen Entwicklung ruhen auf dem weltanschaulichen Grund, der mit dem Begriff der Deutschen Bewegung' bezeichnet ist. Der Begriff des 'Bildungswillens' bedeutet in seiner Entwicklungstheorie die Entwicklungs-und Wachstumsenergie des Menschen als Individuums. Er kann also sozusagen als eine ontogenetische Umschreibung des phylogenetischen Wesens der Deutschen Bewegung' interpretiert werden.3. Im Zentrum der Pädagogik Herman Nohls steht die Theorie des erzieherischen Verhaltens. Dieses Verhalten entsteht, nach Nohl, in der Beziehung zum Bildungswillen des Zoglings, d.i. als dasjenige im Erzieher, das diesen bejaht und pflegt. Hier tritt also auch die zentrale Stellung des Gesichtspunkts des Bildungswillens in Nohls Pädagogik hervor.4. Zum Schluß untersuche ich die Bedeutung des Begriffs des Bildungswillens und der Pädagogik Herman Nohls für unsere Erziehungswirklichkeit im Zusammenhang mit der Frage, ob wir wieder die frohe Sympathie mit der Selbst-Schopfung und Selbst-Bildung des werdenden Menschen zurückgewinnen konnen, die im Begriff des Bildungswillens symbolisiert ist.
著者
伊藤 一也 増田 圭太 蒲田 和芳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.C3P3419, 2009

【目的】ATM2(BackProject社)は機械的腰痛において、疼痛軽減の即時効果が得られる運動療法機器としてアメリカで普及している.ATM2の有効性については、腰痛患者の疼痛軽減効果(Lewis 2006)、腰痛患者の腰部筋活動の低下(backproject.com)、脊椎屈曲可動域の改善(増田 2008)などが報告されてきた.しかし、その効果発現機序については未知の点が多い.本研究では、ATM2のベルトによる固定下での等尺性筋力発揮が、骨盤アライメント対称化および下位胸郭横径拡張可動性に及ぼす効果を解明することを目的とした.研究仮説は、(1)ATM2は即時的に骨盤のアライメントを改善させる、(2)ATM2は即時的に下位胸郭横径拡張可動域を増加させる、であった.<BR><BR>【方法】対象者の取込基準は健常者、18-34 歳の男女で、下肢自動伸展挙上(ASLR)にて主観的に左右差を有する者であり、除外基準は医学的問題として下肢に外傷の既往歴を有する者、運動制限、内科的リスク、精神障害、コミュニケーション障害のある者、とした.ヘルシンキ宣言の精神に基づき作成された同意書に署名した9名の被検者が研究に参加した.<BR>介入としてATM2を用いた体幹後屈運動(10秒間の最大等尺性筋力発揮を10回反復)を実施した.観察因子は下位胸郭横径拡張可動性(ノギスにより測定)と骨盤アライメントの対称性(他動骨盤ローリングによる骨盤傾斜角の左右差)であり、その測定は介入直前と介入直後に実施した.統計学的検定には対応のあるt 検定を用い、有意水準をp<0.05とした.<BR><BR>【結果】介入前後の下位胸郭横径拡張可動域の変化量は、安静立位にて0.9±2.1cm(p=0.259)と有意差を認めなかったが、最大吸気時で2.1±1.4cm(p=0.004)、最大後屈位で2.7±3.4cm(p=0.02)と有意な増加が見られた.骨盤アライメントに関しては、介入前に2度以上の傾斜角の左右差を認めた7名に関して、介入前3.9±1.8°、介入後1.6±0.8°と有意な対称化を認めた(p=0.015)<BR><BR>【考察】ATM2による体幹後屈運動は、即自的に下位胸郭横径拡張可動域改善および骨盤アライメント対称化を導くことが示唆された.これはATM2のベルトによる骨盤・胸郭の圧迫および等尺性筋力発揮が、骨盤の対称化と下位胸郭の横径拡張を促す力学環境を作り出したためと推測される.本研究の問題点として、統計学的パワーの不足、コントロール群がないことが挙げられる.しかしながら、胸郭可動性および骨盤リアライメントの変化量が本研究によって得られ、今後の同様の研究におけるパワー分析に用いることができる.今後は腰痛の臨床効果および胸郭・骨盤のリアライメント効果について、十分な統計学的パワーを得た盲検化無作為化対照研究を行なう必要がある.
著者
伊藤 一也 増田 圭太 蒲田 和芳
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.829-832, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

〔目的〕ストレッチポールを用いたベーシックセブンの効果を明らかにすることを目的とした.〔対象〕若年健常男性20名を対象とし,介入群とコントロール群に無作為に割りつけた.〔方法〕介入群はストレッチポールを用いたベーシックセブンを実施し,コントロール群はストレッチポールを使用せず,同様の運動を床上にて実施した.介入前後で体幹後屈可動域,体幹背面の床接地面圧分布を測定し,各群で変化量を比較した.〔結果〕介入前後での体幹後屈可動域および上部体幹床接地面圧はともに,介入群で有意に増大した.〔結語〕ベーシックセブンは,体幹後屈可動域および上部体幹床接地面圧の増加に効果的である.