1 0 0 0 食用作物学

著者
佐藤庚[ほか]共著
出版者
文永堂
巻号頁・発行日
1977
著者
佐藤 庚 稲葉 健五 戸沢 正隆
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.207-213, 1973-06-30 (Released:2008-02-14)
参考文献数
16
被引用文献数
15 22

A japanica rice (var, Norin-17) was used to test the effects of high temperature treatment (day-night, 35-30°C) from young panicle formation to maturity upon the ripening and the distribution of assimilates, and upon the pollens and anthers. 1) More than 20 per cent sterility occurred when treated just before and after flowering, being progressively decreased as the time of treatment was apart from flowering stage. In general, a larger amount of carbohydrate and nitrogen remained in the straw of the plant which exhibited a higher sterility. The plant with the greatest sterility treated at flowering stage produced grains of the greatest 1000-kernel-weight, being greater than the control. 2) The pollens of plants treated just before and during were smaller in size and stored starch abnormally, often being deficient of inclusions. Besides, the plants had a greater number of anthers which did not open at flowering. These may be related to the high sterility. 3) The plants treated at one or two weeks before flowering produced grains of smaller 1000-kernel-weight, due to smaller grain size especially in its length, although the sterility did not increase by the treatment. In such a plant, more nitrogen and available carbohydrate remained in the straw than the control plant. 4) The grains of plant which was treated under high temperature at several stages during the ripening period decreased in weight, but their sterility did not increase. Grain weight was smallest in the plant treated at 6 to 16 days flowering stage, mainly due to a decrease in grain thickness, and became progressively greater as the time of treatment went away from those period. The sum of TAC(total available carbohydrate)content of panicle and straw was decreased by the high temperature treatment, but more of it remained in the straw of the plants with smaller grains. Nitrogen accumulation did not change significantly by the treatments.
著者
岩波 悠紀 佐藤 庚
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.168-177, 1970
被引用文献数
1

ヨード染色および化学分析法により,ススキ体内の炭水化物(全糖・澱粉)の分布およびその季節的消長を火入れとの関係において調査した。1.越冬直後の地下茎は多量の澱粉粒を含有し,この場合形成年次の古い地下茎ほどその量が多く,また澱粉粒の大きさは大きかった。2.地下茎内炭水化物は地上部の伸長に伴ない,形成の新しい部位から順次消費され,6月の節間伸長開始期に最低となった。その時期には約3年前に形成された地下茎内に僅かに澱粉粒を認めたが,その他の部位にはほとんど存在しなかった。同時に地上茎内の炭水化物の蓄積も最低であった。3.その後再び蓄積の過程に転じ,地下部は10月末から11月には最高に達した。蓄積の過程では,消費の場合とは逆に形成の古い部位ほど早くから蓄積しまた量が多かった。4.地上茎については,主としてその中・下部に澱粉が蓄積され,出穂完了後にその量は最高に達した。それらは葉身が枯れる時期に急速に地下部へ移行した。5.火入れ時期が早い区では,体内炭水化物の季節的消長はU区とほぼ同様に経過した。しかし火入れ時期が遅い区では,地上器官の枯死に伴ない,地下部に蓄積した炭水化物を急速に消費し,再生および炭水化物の蓄積が遅れた。6.6月の地下茎内炭水化物がほぼ最低になる時期に火入れした場合でも,晩秋には体内炭水化物含有率はU区とほぼ同じレベルに回復した。
著者
佐藤 庚 西村 格 高橋 正弘
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.14-19, 1965-06-30
被引用文献数
1

マメ科牧草の維持管理が比較的むずかしい火山灰土の川渡農場で,イネ科牧草に窒素を多用して,マメ科を混播した場合と同様な乾物収量や蛋白質生産を得ることの可否を明らかにする目的で,圃場試験を行なった。試験期間は1962年秋から,1964年秋に至る3年間である。Orchard単播,Orchard-Perennial ryegrass混播,Orchard-Perennial ryegrass-Redclover-Ladino clover混播の3草地を設け,これに3段階の窒素施用を行い,年間4回の刈取を行なって,乾物生産,粗蛋白質生産,およびこれらの年間の分布,草種組成の変遷,個体密度の変化を調べた。(1) 2年間の収穫を通じて総乾物生産は,少窒素の場合には,マメ科を混ずる草地のほうが収量が高まるが,多窒素になると両者間の差異は明瞭でなくなった。粗蛋白質生産においても,少窒素の場合,マメ科を混ずる効果が特に大きいが,多窒素ではほとんど差が見られなかった。従ってマメ科を混播しなくても,窒素を多用すれば,イネ科牧草のみで乾物ならびに粗蛋白質の生産を多くすることは可能であると考えられた。殊に雑草の飼料価値を考慮に入れると更にこれらの生産が高いといえよう。(2)イネ科のみの草地では,窒素を多用するほど夏を経過する過程で牧草の個体数が激減し,最終刈取期の牧草生産も急減した。同時に雑草の著しい侵入を受けた。しかるに翌春1,2番刈には再び牧草収量は回復した。従ってこの草地では年間収量は1,2番刈収量に左右される。少窒素の場合には個体数の減少が少ないので年間を通じて安定した生産をするが,年間の総乾物量および粗蛋白質の生産はやはり少窒素ほど少なかった。マメ科を混ずる草地でも同様の傾向を認めたが,窒素を多く与えた場合の刈取毎の収量の変動はイネ科草地ほど大きくはなく,初年度は雑草の侵入もなかった。(3)高温,乾燥の長引いた1964年においては,Perennial ryegrass,Red clover,Ladino cloverなどはOrchardgrassに比べて個体の減少が著しかった,この地帯でのイネ科牧草としてはPerennial ryegrassはあまり期待がもてないようである。(4)マメ科を混ずる草地では窒素の多用につれてマメ科の生長が抑制されると共に,イネ科の播種量がイネ科単播の場合より少ない時には,イネ科牧草の生産量も著しくは増えず,結局窒素多用の効果が顕著に表われない。
著者
佐藤 庚
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.311-318, 1980-01-31

暖地型・寒地型それぞれ4草種を供試して5段階の温度(昼温15°〜35°,夜温はそれぞれの昼温より5°低い)と2段階の日長(SD:9時間日長,LD:14時間日長,何れも自然光)を組み合わせたファイトトロンで栽培し,草種ごとにそれぞれ同一の生育ステージに達した時にサンプルして生育状況と窒素,炭水化物含量を比較した。1.寒地型の出葉は比較的低温で早く,暖地型では高温ほど早かった。草丈は暖地型では25/20°で最高,寒地型では低温ほど高く,いずれも長日の方が高い。茎数はいずれも低温ほど多いが,分げつ速度は寒地型では低温ほど大きく暖地型では低温ほど小さい。低温下では長日より短日の方が多い傾向があった。2.暖地型の相対生長率RGRは寒地型のほぼ2倍であった。暖地型のRGRは高温ほど大きく(JMのみは25/20°で最大),寒地型では低温ほど(TFのみは昼温20〜25°で最大)大きかった。長日下のRGRは短日下のそれより大きい。RGRは相対葉面積生長率RLGR,純同化率NARと有意の正相関を示した。暖地型のRGRが寒地型のそれより大きかったのは主にNARが大きいからであった。長日のRGRが短日のRGRより大きいのは,RLGR,NAR両者が大きいからであったが,ことに後者の影響が大きい。3.1日当り窒素蓄積量は暖地型のPM,SGでは低温ほど減少し,JM,RGでは中間温度で最大であった。寒地型では一般に低温ほど蓄積が多かった。単位蓄積窒素量あたりの乾物生産量,TAC蓄積量は,暖地型は寒地型より,長日は短日よりそれぞれ大きかった。4.暖地型の中ではJM,寒地型の中ではTFがそれぞれ他の草種とやや異なり,前者はやや低温で,後者はやや高温で生長がよかった。
著者
佐藤 庚 西村 格 伊東 睦泰
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.9-15, 1969-04-20

オーチャードグラスの品種Frodeの中から選んだ4クローンを用いて2段階の密度に混植した草地を作り,窒素施用量,1番草刈取りの早晩が構成クローンの役割などに及ぼす影響をしらべた。刈取り処理は1番草を穂孕期(5月17日),出穂期(5月24日),開花盛期(6月6日)および結実期(6月20日)の4回に行ない,2番草はそれぞれの1番刈り6週間後に刈った。1.競争の少ない粗植区の生育からみたクローンの特性は次のようである。クローン1:草丈高く茎数は少ない。クローン2:草丈はクローン1より低いが茎数は多い,クローン3:草丈はクローン2よりさらに低いが茎数は多く,葉身の窒素濃度は他のクローンに比べかなり低い,クローン4:草丈は最も低く分けつ性も弱い。2.光,養水分などに対する競争の少ない生育初期に1番草を刈る場合には,草丈はある程度低いが分けつ性の強いクローン2,3の生育量が多く,草地の収量および密度に対する貢献度が高かったが,1番草の刈取り時期がおそくなるにつれ草丈の高いクローンが次第に優勢となり,収量に対する貢献度は最高となった。クローン1は遺伝的な分けつ性が低いと思われたのに茎数密度に対する貢献度も増加した。次いでやや草丈の低いクローン2が収量貢献度高く,クローン3,4の順に低下した。3.1番刈り後の再生においても1番草とほぼ同様なクローン間の序列を示したから,1,2番刈り合計収量における各クローンの寄与の程度は,早刈りの場合にはクローン2,3が,晩刈りの場合にはクローン1がそれぞれ最も高かった。草丈の高い直立性のクローンは乾草ステージの刈取りで,草丈の低い多けつ性のクローンは放牧ステージの刈取りでそれぞれ草地の密度においても収量においても優勢となった(Fig.s.5,7)。4.環境や栽培管理法によって粗植条件で示されたクローンの特性が大きく変動することは注目を要するところで,粗植のときの特性から直ちに草地における得失は論ぜられない。