著者
鈴木 真輔 辻 正博 椎名 和弘 小谷野博正 小泉 洸 川嵜 洋平 佐藤 輝幸 山田 武千代
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.183-190, 2018 (Released:2018-11-13)
参考文献数
12

クマ外傷は顔面を含む頭頸部に多いとされ,しばしば複雑で重篤な損傷を伴う。今回われわれが経験したクマ外傷13例について報告し,クマ外傷の特徴と治療における注意点を考察する。対象となる13症例はいずれも顔面に外傷を伴っていたが,10例では顔面骨の骨折が認められ,うち1例では頭蓋底骨折を伴っていた。頭頸部以外では上肢に損傷が多く,3例では上肢や体幹の骨折が認められた。また3例では出血性ショックを合併していた。顔面の皮膚欠損を伴った4例では皮弁や植皮による欠損部の再建術を要した。クマ外傷への対応ではその特徴を理解するとともに,それぞれの損傷部位に応じた適切で迅速な治療が重要である。
著者
水野 知美 中澤 操 佐藤 輝幸 高橋 辰 山田 武千代
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.52-58, 2019-02-28 (Released:2019-03-14)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

要旨: 秋田県で新生児聴覚スクリーニング (Newborn hearing screening: 以下 NHS と略) が開始されてから17年が経過し, 2012年からは受検率が94%を超えている。 NHS システムを構築する中で, NHS 後も聴こえに関心を持ち続けるための啓発や, 関係機関との連携ができ, NHS 後に難聴児が発見された場合の対応も確立されたと考えられる。 今回の調査で, 聴力型により NHS では発見できない難聴児がいること。 遅発性や進行性の難聴児がかなりの数存在することが示唆され, NHS パス後も引き続き聴覚に気を配り, 関係機関との連携を強化していく必要性が示唆された。 今回画像診断が不完全な症例が含まれたことや, 今後遺伝子診断をする例の増加が予測されること, 先天性サイトメガロウィルス感染症のフォローアップ例が増えている事などから, 今後は遅発性及び進行性難聴の原因について明確にしていく必要性があると考えた。
著者
佐藤 輝幸 井上 彰 福原 達朗 榊原 智博 太田 洋充 海老名 雅仁 西條 康夫 貫和 敏博
出版者
The Japan Lung Cancer Society
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.257-261, 2009

<b>背景</b>.上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブは,活性型EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺癌患者に対して著明な抗腫瘍効果をもたらすが,後に生じる耐性化への対策は十分に検討されていない.<b>方法</b>.2004年6月∼2007年6月の間に,当施設で活性型EGFR遺伝子変異陽性と診断され,ゲフィチニブ治療が開始された進行非小細胞肺癌患者を対象に,増悪形式に関連した臨床的特徴をレトロスペクティブに解析した.<b>結果</b>.51例にゲフィチニブ治療が行われ,奏効率,病勢制御率は各々71%(36/51),86%(44/51)であった.病勢制御できた44例のうち,2008年4月末時点で33例に増悪を認め(無増悪生存期間中央値14ヶ月),21例は胸郭内,12例は遠隔臓器での増悪(うち10例は脳転移)であった.脳転移増悪例の過半数では放射線治療とともにゲフィチニブが3ヶ月以上継続され,生存期間中央値は28.2ヶ月と極めて良好であった.耐性遺伝子変異T790Mは全て原発巣近傍から検出された.<b>結論</b>.ゲフィチニブ治療例においては異なる増悪形式が認められ,それぞれの機序をふまえた治療法の開発が望まれる.<br>