著者
鈴木 真輔 辻 正博 椎名 和弘 小谷野博正 小泉 洸 川嵜 洋平 佐藤 輝幸 山田 武千代
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.183-190, 2018 (Released:2018-11-13)
参考文献数
12

クマ外傷は顔面を含む頭頸部に多いとされ,しばしば複雑で重篤な損傷を伴う。今回われわれが経験したクマ外傷13例について報告し,クマ外傷の特徴と治療における注意点を考察する。対象となる13症例はいずれも顔面に外傷を伴っていたが,10例では顔面骨の骨折が認められ,うち1例では頭蓋底骨折を伴っていた。頭頸部以外では上肢に損傷が多く,3例では上肢や体幹の骨折が認められた。また3例では出血性ショックを合併していた。顔面の皮膚欠損を伴った4例では皮弁や植皮による欠損部の再建術を要した。クマ外傷への対応ではその特徴を理解するとともに,それぞれの損傷部位に応じた適切で迅速な治療が重要である。
著者
松原 篤 坂下 雅文 後藤 穣 川島 佳代子 松岡 伴和 近藤 悟 山田 武千代 竹野 幸夫 竹内 万彦 浦島 充佳 藤枝 重治 大久保 公裕
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.123, no.6, pp.485-490, 2020-06-20 (Released:2020-07-01)
参考文献数
6
被引用文献数
13 35

近年になり, スギ花粉症などのアレルギー性鼻炎の増加が指摘されている. 馬場らが中心となって1998年と2008年に全国の耳鼻咽喉科医師ならびにその家族を対象としたアンケートによる鼻アレルギー疫学調査が行われ, 有病率の推移が詳細に報告されている. 今回われわれは,前回の調査から11年後の2019年に同様の調査を行い, スギ花粉症, 通年性アレルギー性鼻炎ならびにスギ以外の花粉症の有病率を同定した. アレルギー性鼻炎全体の有病率は49.2%, スギ花粉症単独の有病率は38.8%と前回調査に比べ大きく増加していた. さらに10歳代でスギ花粉症が著明に増加していることも明らかとなった.
著者
森 繁人 斎藤 等 木村 有一 高橋 昇 山田 武千代
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.38, no.Supplement3, pp.220-227, 1995-08-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
27

エリスロマイシンをはじめとするマクロライド系抗生剤が慢性副鼻腔炎に対して有効であることが報告されており, 抗菌作用以外の作用が示唆されているが, なお不明な点が多く残されている。今回われわれは, マクロライド系抗生剤の有効機序の一端を明らかにする目的で, 14員環のエリスロマイシン (EM), ロキシスロマイシン (RXM) および16員環のアセチルスピラマイシン (SPM) を, 培養鼻副鼻腔粘膜に作用させ, 繊毛運動に与える影響を電気光学的に検討した。その結果EMでは内服の際の組織移行濃度である0.002%(2.0×101mg/L) 以上で充進を認めた。0.05%(5.0×102mg/L) 以上の高濃度になると, はじめ亢進し, やがて障害されるという二面性を呈した。RXMでも組織移行濃度の0.0005%(5.0mg/L) 以上で作用直後から充進が認められ, EMよりも長時間賦活状態が持続する傾向を認めたが, 0.005%(5.0×101mg/L) になると充進傾向は減弱した。SPMではほとんど充進作用を認めなかった。以上の結果から, マクロライド系抗生剤の慢性副鼻腔炎に対する作用機序の一つとして, 繊毛運動賦活作用が想定された。また14員環マクロライドは16員環マクロライドよりも, RXMはEMよりも優れた繊毛運動活性化作用を有していると考えられた。
著者
本多 徳行 斎藤 等 山田 武千代 野田 一郎 大坪 俊雄
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.Supplement63, pp.154-157, 1993-07-25 (Released:2012-11-27)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

We encountered a case of hyoid bone elongation characterized by a clicking sound on swallowing. A 32-year-old man complained of a foreign body sensation and painless clicking sound on the left side of his neck when swallowing. CT scan of the neck revealed that the left greater cornu of the hyoid bone was elongated. Both greater cornu were surgically removed, and his symptoms disappeared.
著者
水野 知美 中澤 操 佐藤 輝幸 高橋 辰 山田 武千代
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.52-58, 2019-02-28 (Released:2019-03-14)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

要旨: 秋田県で新生児聴覚スクリーニング (Newborn hearing screening: 以下 NHS と略) が開始されてから17年が経過し, 2012年からは受検率が94%を超えている。 NHS システムを構築する中で, NHS 後も聴こえに関心を持ち続けるための啓発や, 関係機関との連携ができ, NHS 後に難聴児が発見された場合の対応も確立されたと考えられる。 今回の調査で, 聴力型により NHS では発見できない難聴児がいること。 遅発性や進行性の難聴児がかなりの数存在することが示唆され, NHS パス後も引き続き聴覚に気を配り, 関係機関との連携を強化していく必要性が示唆された。 今回画像診断が不完全な症例が含まれたことや, 今後遺伝子診断をする例の増加が予測されること, 先天性サイトメガロウィルス感染症のフォローアップ例が増えている事などから, 今後は遅発性及び進行性難聴の原因について明確にしていく必要性があると考えた。
著者
山田 武千代 坂下 雅文 窪 誠太 藤枝 重治
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

スギ抗原で刺激されたヒト好塩基球の培養上清により、気道粘膜由来線維芽細胞からのTSLP産生は有意に増加した。スギ花粉症患者自己IgG(高濃度)、キメラ分子で作用させることにより、ヒト好塩基球による気道粘膜由来線維芽細胞からのTSLP産生を抑制した。気道粘膜由来線維芽細胞にIL-4存在下でヒスタミンを付加するとTSLP産生は有意に増強した。刺激ヒト好塩基球の培養上清による線維芽細胞からのTSLP産生は抗IL-4Ra(CD124)阻止 抗体、抗ヒスタミン(H_1)受容体抗体の処理により有意に減少することを明らかにした。スギ抗原刺激によりヒト好塩基球からのヒスタミン遊離とIL-4とIL-13の産生が有意に増加することを確認した。 スギ花粉症でも好塩基球がIgE依存性アレルギー疾患の責任細胞であり、Th2応答や適応免疫応答である2次抗体産生を制御していると考えられる。好塩基球は、アレルギーなどの抗原特異的な免疫反応で、司令塔として重要な役割を果たしていると考えられる。