著者
余 偉
出版者
日本メディア学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.87-105, 2021-01-31 (Released:2021-05-18)
参考文献数
21

The attribution of responsibility is a daily sight in the mass media and oneof the roles expected of journalism. While reporting on responsibility is perceivedas a routine event, this paper considers the next issue: the plurality of“responsibility” in the mass media. If the attribution of responsibility is determinedby certain rules, then the same result should always be achieved. However,more than one “responsibility” may be presented for a particular agendathat is controversial. The paper focuses on the plurality of “responsibilities” and conducts a theoreticalresearch of epistemology and methodology. The paper begins withShanto Iyengar’s work on the attribution of responsibility and identifies theproblems with this research. Next, the paper discusses the attribution theorydeveloped by Fritz Haider in social psychology to which Iyengar referred.Finally, in order to shift the perspective away from attribution theory, thepaper argue for the need to interpret the plurality of “responsibility” in a socialconstructionism way. The paper will explore specific methodologies from thisposition; for example, rhetorical analysis and framing analysis. As a result, the attribution of responsibility in the mass media is not simplydetermined by existing social norms and legal systems, but rather is a definingmovement of responsibility that is constructed through various interactions. Inthe defining movement of responsibility, the process of justifying specific attributionsof responsibility is an important subject of research. In terms of influencingthe attitudes of the audience, both rhetorical and framing analyses needto be conducted at the same time.
著者
佐々木 華織 菅野 洋光 横山 克至 松島 大 森山 真久 深堀 協子 余 偉明
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.881-894, 2004-12-31
参考文献数
25
被引用文献数
3

山形県庄内地方に発生する清川ダシの集中気象観測を行い,峡谷出口に強風域が局限される事例(Obs-1)と,全域で強風の事例(Obs-2,3)を観測した.峡谷出口でのパイバル2点観測の結果,東風成分の高度は事例によって異なり,Obs-2では下層200〜400mに最強風帯が,その上空付近には1m/s以上の強い上昇流が発生していた.峡谷出口の風速は,峡谷内の気圧傾度によって加速された,地峡風の風速と同様の傾向であったが,Obs-1ではばらつきが大きかった.付近の高層データから,全ての事例で逆転層が認められた.Obs-1では上流である仙台の逆転層が清川周辺の山脈と同程度と低く,フルード数は0.11であり,峡谷出口付近でHydraulic jumpが発生していた可能性がある.一方,Obs-2,3では仙台の逆転層が高く,フルード数は最高0.58で,強風が平野全域に現れやすい状況であったと考えられる.
著者
佐々木 華織 菅野 洋光 横山 克至 松島 大 森山 真久 深堀 協子 余 偉明
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.881-894, 2004
参考文献数
25
被引用文献数
3

山形県庄内地方に発生する清川ダシの集中気象観測を行い,峡谷出口に強風域が局限される事例(Obs-1)と,全域で強風の事例(Obs-2,3)を観測した.峡谷出口でのパイバル2点観測の結果,東風成分の高度は事例によって異なり,Obs-2では下層200~400mに最強風帯が,その上空付近には1m/s以上の強い上昇流が発生していた.峡谷出口の風速は,峡谷内の気圧傾度によって加速された,地峡風の風速と同様の傾向であったが,Obs-1ではばらつきが大きかった.付近の高層データから,全ての事例で逆転層が認められた.Obs-1では上流である仙台の逆転層が清川周辺の山脈と同程度と低く,フルード数は0.11であり,峡谷出口付近でHydraulic jumpが発生していた可能性がある.一方,Obs-2,3では仙台の逆転層が高く,フルード数は最高0.58で,強風が平野全域に現れやすい状況であったと考えられる.
著者
岩崎 俊樹 山崎 剛 余 偉明 大林 茂 松島 大 菅野 洋光 佐々木 華織 石井 昌憲 岩井 宏徳 野田 暁
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

ダウンスケール手法に基づくメソスケール予報システムを作成し、農業気象と航空気象へ高度利用法を検討した。予測精度を向上させるためには、物理過程を改良し、初期条件と境界条件を最適化することが重要であることが示された。農業分野では、清川だしの強風といもち病の予測可能性を明らかにした。航空分野では、ドップラーライダーとダウンスケールシステムを組み合わせた、空港気象監視予測システムの可能性を検討した。
著者
安田 延壽 余 偉明 山崎 剛 岩崎 俊樹 北條 祥子 松島 大
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

仙台市内の代表的幹線道路である国道48号線(北四番町通り、幅員27m)において、都市キャニオン(道路)内の窒素酸化物濃度(NOとN02のモル和)の高度分布を測定し、その特徴を明らかにしていたが、さらに乱流輸送理論に基づいて、その法則を明らかにした。高度約1.5m以下では、濃度は高さに依らず、等濃度層を成している。それより上空では、窒素酸化物濃度は、高度zの対数1nzの一次関数で表される。即ち接地気層と同様の対数則が成立する。等濃度層は、発生源が地表面より数十cm高いところにあることと、走行する車両によって強制混合されることにより形成されるものである。対数則層の濃度の高度分布より、摩擦濃度が決定される。この摩擦濃度は、等濃度層上端の濃度の関数であることが、大気境界層理論および観測により明らかになり、定式化された。さらに、一般には大気の温度成層は中立ではなく不安定あるいは安定成層をなす。この効果を、接地気層の理論に基づいて取り入れ、窒素酸化物の鉛直輸送量の日変化および地域分布を計算することが可能になった。広域に渡って窒素酸化物の鉛直輸送量を計算するためには、地上付近での窒素酸化物濃度のデータの他に、大気安定度に関する情報が必要である。この問題に対して、従来から東北大学気象学研究室で開発されてきた熱収支モデルをさらに改良して用いた。特に、東北地方では冬季には積雪があるので、そのような場合に対する熱収支モデルも開発し、窒素酸化物の鉛直輸送モデルに組み込んだ。これらの理論体系から、窒素酸化物の鉛直輸送量が評価された。1991年〜1998年の8年間の平均では、発生源である道路の場合、幅27m・長さ100mの道路より、N02換算で、年間625kgの窒素酸化物が上空に輸送されている。道路から離れた地域では、ほぼその1/3であった。