著者
守屋 純二 竹内 健二 上西 博章 赤澤 純代 元雄 良治 橋本 英樹 金嶋 光男 小林 淳二 山川 淳一
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.87-93, 2014 (Released:2014-10-17)
参考文献数
25
被引用文献数
1

慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome : CFS)は6ヵ月以上持続する,休息後も改善しない強い疲労感を主症状とする。発熱,睡眠障害,頭痛などの症状を呈し,著しく生活の質が損なわれる。原因として,ウイルスによる先行感染,免疫学的な変調,中枢神経系の,特に海馬における形態的・機能的変化などが報告されている。しかし,明らかな原因は不明で,診断マーカーや治療法は確立していない。今回報告する症例は16歳男子高校生で,インフルエンザ罹患後の持続する発熱と強度の倦怠感などを主訴とした。既に複数の医療機関において約1年間の精査・加療を受けるも原因は不明で,CFSと診断された。当科紹介時に再度CFSの診断基準を満たすことを確認し,三黄瀉心湯エキス7.5g/分3とデュロキセチンを併用したところ,4週後には疲労・倦怠感は軽減した。しかし,熱型は不変,食欲低下を認めたため,補中益気湯エキス7.5g/分3を追加したところ,劇的に症状が改善した。西洋医学的に治療に難渋するCFS のような疾患に対して,漢方治療が有効な治療方法として使用できると考え報告する。
著者
佐々木 裕伊 全 天候 元雄 良治 張 秀嬪 朴 宣柱 高 成奎 張 普亨 黃 德相
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.139, no.7, pp.1027-1046, 2019-07-01 (Released:2019-07-01)
参考文献数
52
被引用文献数
9

The application of systematic review (SR) has been increased rapidly in the field of cancer treatment. Complementary and alternative medicine (CAM) for cancer is no exception. The aim of this review is to evaluate and summarize systematic reviews on the CAM use in breast cancer patients. Search sources were Centre for Reviews and Dissemination (CRD), Cochrane Database of Systematic Reviews (CDSR), and PubMed. In addition, we assessed the quality of SR with the Assessing the Methodological Quality of Systematic Reviews (AMSTAR). This review did not consider control groups and outcomes. Thirty-four SRs met a set of criteria. According to interventions, there were twenty SRs which included yoga, acupuncture, and herbal medicines. Meta-analysis of 19 out of 34 reviews showed the followings: (1) acupuncture had a beneficial effect on the frequency of hot flushes, (2) yoga had a beneficial effect on depression and health-related QOL, (3) mindfulness-based stress reduction (MBSR) had a beneficial effect on anxiety and depression, (4) combination of herbal medicine and chemotherapy synergistically improved clinical outcomes, (5) acupuncture did not show significant effect on the severity of hot flushes and cancer-related pain, (6) yoga was unable to be confirmed as having an effect on cancer-related pain and physical well-being. Given the results of AMSTAR, 9 out of 34 reviews were of high quality and 3 reviews were deemed to be of low quality. In conclusion, since most SRs were at moderate or high quality levels, CAM could be helpful for treating specific symptoms related to breast cancer.
著者
守屋 純二 竹内 健二 上西 博章 赤澤 純代 元雄 良治 橋本 英樹 金嶋 光男 小林 淳二 山川 淳一
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.87-93, 2014
被引用文献数
1

慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome : CFS)は6ヵ月以上持続する,休息後も改善しない強い疲労感を主症状とする。発熱,睡眠障害,頭痛などの症状を呈し,著しく生活の質が損なわれる。原因として,ウイルスによる先行感染,免疫学的な変調,中枢神経系の,特に海馬における形態的・機能的変化などが報告されている。しかし,明らかな原因は不明で,診断マーカーや治療法は確立していない。<br>今回報告する症例は16歳男子高校生で,インフルエンザ罹患後の持続する発熱と強度の倦怠感などを主訴とした。既に複数の医療機関において約1年間の精査・加療を受けるも原因は不明で,CFSと診断された。当科紹介時に再度CFSの診断基準を満たすことを確認し,三黄瀉心湯エキス7.5g/分3とデュロキセチンを併用したところ,4週後には疲労・倦怠感は軽減した。しかし,熱型は不変,食欲低下を認めたため,補中益気湯エキス7.5g/分3を追加したところ,劇的に症状が改善した。<br>西洋医学的に治療に難渋するCFS のような疾患に対して,漢方治療が有効な治療方法として使用できると考え報告する。
著者
元雄 良治 済木 育夫 高野 文英 牧野 利明 石垣 靖人 島崎 猛夫
出版者
金沢医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

臨床的には22例の大腸癌患者のオキサリプラチン(L-OHP)を含む化学療法レジメン(FOLFOXorXELOX)に人参養栄湯(NYT)を併用したところ、全経過を通してgrade2までの末梢神経障害に留まった。動物実験では、マウスにL-OHPを腹腔内投与して誘導した冷痛覚過敏と機械的アロディニアに対してNYTの経口投与により有意な改善作用が認められた。細胞実験では、PC12細胞のL-OHP処理により短縮した神経突起をNYTが回復させた。
著者
田村 幸子 新谷 恵子 佐々木 栄子 元雄 良治
出版者
金沢医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

平成23年は全国がん診療連携拠点病院で外来化学療法を受けるがん患者を対象に、実態調査を行った。回収できた826名のデータから、身体側面では痛みやその他症状の実態、精神・心理側面では不安・うつの実態、社会側面では就業・同居家族の実態が、それぞれ明らかになった。またQOLの実態も明らかにした。平成24年は回収データの統計分析を行い、QOLと各問題との関連に基づいてケアの方向性を考察した。平成25年は具体的なケア方法を探求し、身体症状への看護介入として「症状マネジメントの統合的アプローチ」、不安・うつへの予防的看護介入として「がん体験の語り」が有用であると考察した。今後の課題は有用性の検証である。