著者
嶋田 義仁 坂田 隆 鷹木 恵子 池谷 和信 今村 薫 大野 旭 ブレンサイン ホルジギン 縄田 浩志 ウスビ サコ 星野 仏方 平田 昌弘 児玉 香菜子 石山 俊 中村 亮 中川原 育子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

家畜文化を有したアフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明が人類文明発展の中心にあった。家畜は蛋白資源生産(肉、乳、毛、皮)に止まらない。化石エネルギー使用以前人類が利用しうる最大の自然パワーであった。移動・運搬手段として長距離交易と都市文明を可能にし、政治軍事手段としては巨大帝国形成を可能にした。これにより、旧大陸内陸部にグローバルな乾燥地文明が形成された。しかしこの文明は内的に多様であり、4類型にわけられ。①ウマ卓越北方冷涼草原、②ラクダ卓越熱帯砂漠、③小型家畜中心山地オアシス、④ウシ中心熱帯サヴァンナ、である。しかし海洋中心の西洋近代文明、化石燃料時代の到来とともに、乾燥地文明は衰退する。
著者
児玉 香菜子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.233-233, 2008

「生態移民」は環境保全を目的とした中国政府による環境政策である。また、同時に脱貧困という目的も掲げられている。それにもかかわらず、「生態移民」には、政策の目的とは逆に、環境悪化と貧困化の危険性がある。中国黒河下流域に位置する内モンゴル自治区アラシャー盟エゼネ(額済納)旗を事例に「生態移民」の現状とそれによるモンゴル牧畜民の社会的・文化的変容を明らかにする。
著者
Sarengerile 児玉 香菜子 Badma コダマ カナコ KODAMA Kanako
出版者
千葉大学ユーラシア言語文化論講座
雑誌
千葉大学ユーラシア言語文化論集 (ISSN:21857148)
巻号頁・発行日
no.12, pp.187-203, 2010-03

This oral history was told by Ms. Badma (1932, born in Ejene) on May 11, 2005. She was a herder and now she lives in the center of the Ejene banner with her retired husband. Ms. Badma is a great camel herders and her oral history gives us about her rich knowledge and experiences. She brought up her children by herself on grassland because her husband was a cadre. In her oral history, she often told not us but her husband about her hardship of heading. The oral history teaches us about history of the Ejene banner, relationship with Mongolia, nomadic life and changes of life and so on.
著者
楊 海英 児玉 香菜子
出版者
静岡大学
雑誌
人文論集 (ISSN:02872013)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.A59-A184, 2003-07-31
被引用文献数
1

衆所周知,研究中国的学子経常嘆訴説没有高精度的資料可用.究其細情不外有二.其一是説,中国是個非常保密的国家,不願意其文献資料外流.此種現象主要与中国長期淪為殖民地半殖民地従而遭受外人略奪其文化財産的歴史有関.還有一種説法話為,中国的資料尤其是宮方発表的各種資料,経過了某種帯有特定意図的操作.亦即是説,資料与現実之間有着相当大的出人和距離.本文以公布各種統計資料為目的.此類統計資料均由執筆者収集於内蒙古自治区伊克昭盟即今之鄂爾多斯市地区民間.資料全部為当地宮方所発表的有関畜牧業,農業和工業方面的基本情況.在文中,執筆者対資料的真偽不進行評論,亦不対具体数字的性質進行弁別工作.本文作者認為,統計工作的出寵過程和統計行為同様重要.統計工作的形成過程是一種「文化現象」,和数字同様反映了該社会的不同側面.也就是説,本文所提示的資料,在「数字」和「本質」両方面,都具有同様重要的文化意義.
著者
児玉 香菜子 小長谷 有紀
出版者
国際ボランティア学会
雑誌
ボランティア学研究 (ISSN:13459511)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.5-18, 2008-02-29
被引用文献数
1

内モンゴルにおける植林活動を事例に、植林ボランティアの緑化思想を現地の人びとの認識と実践から相対化し、乾燥地における植林ボランティアの活動評価のあり方を考察する。相対化するにあたって現地の人びとに着目するのは、かれらがその風土のなかで培ってきたみずからの経験と価値観をもつからである。牧畜民と日本人の植林ボランティアの間には風土の違いにもとづく認識と経験の差がある。植林ボランティアはこの差を埋めることなく、みずからの緑化思想をそのまま乾燥地の中国内モンゴルにもちこんでいるといえる。そして、植林が「ボランティア」という形で実施されることによって、行為とその影響が無批判に是とされ、植林活動を評価する仕組みの欠如が許されている構造を指摘した。植林活動の評価には、事前に長期的な視点に立った自然環境と社会経済への影響を検討し、現地に暮らす人びとの視点からその必要性を検討することが肝要である。そのうえで、現地の人びとが培ってきた経験を活かす形で活動を立案することが求められる。ボランティア活動の事前評価の重要性は環境問題に限らず、開発援助、教育など、あらゆるボランティア活動においても通じるであろう。