著者
坂田 隆 市川 宏文
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
日本油化学会誌 (ISSN:13418327)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.1205-1212, 1997-10-20 (Released:2009-10-16)
参考文献数
58
被引用文献数
3 4 18

大腸内細菌は酢酸, プロピオン酸, 酪酸のような短鎖脂肪酸をつくる。大腸内での短鎖脂肪酸生産の主要な制御要因は基質の種類と流入速度, 大腸内での内容物の滞留速度である。短鎖脂肪酸は大腸上皮細胞の主要エネルギー源であるとともに, 全身のエネルギー収支に貢献する。また, 短鎖脂肪酸は大腸での水や溶質の吸収, 大腸粘膜の血流, 腸上皮増殖, 腸運動, 膵臓外分泌などの機能に影響する。
著者
後藤 徹 田崎 淳一 東谷 暢也 今井 逸雄 塩井 哲雄 丸井 晃 坂田 隆造 舟木 健史 堀川 恭平 安部倉 友 宮本 享 木村 剛
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.465-470, 2013 (Released:2014-09-13)
参考文献数
7

症例は77歳, 女性. 脳梗塞の既往あり, 胸部大動脈瘤 (70mm) を指摘され当院受診した. 手術ハイリスクのためステントグラフト内挿術 (thoracic endovascular aortic repair ; TEVAR) を施行した. 術前評価にてAdamkiewicz動脈がTEVARに伴い閉塞することが明らかであり, スパイナルドレナージ (cerebrospinal fluid drainage ; CSFD) を挿入したうえで, TEVARを施行した. 外腸骨動脈の石灰化および狭窄のため大腿動脈からのTEVAR用シース挿入困難であり, 後腹膜アプローチにて総腸骨動脈からシースを挿入し, TAGステントグラフトを留置した. シース抜去時に血管壁を損傷したため, 術中から輸血を要し, 外科的に修復して閉腹した. 術後, 播種性血管内凝固症候群 (disseminated intravascular coagulation syndrome ; DIC) となり輸血を要したが, 翌日に意識混濁と右共同偏視を認め, CTで右急性硬膜下血腫を認めたため, 緊急開頭血腫除去術を施行した. 開頭術後は頭部再出血および出血による神経学的後遺症は認めず, 輸血治療によりDICは改善した. TEVAR施行後にendoleakは認めず, 術後47日目に転院となった.  TEVARによる重篤な合併症の1つに対麻痺があるが, その予防目的にCSFDは有用な手段である. 急性硬膜下血腫はCSFDの予後にかかわる重大な合併症であるが, TEVARにおけるCSFD後の急性硬膜下血腫の頻度は報告されていない. 今回われわれは, 早期発見と他科との連携により後遺症を残さず救命に成功した症例を経験したので報告する.
著者
久次米 真吾 野呂 眞人 中島 香織 板倉 英俊 森山 明義 沼田 綾香 熊谷 賢太 酒井 毅 手塚 尚紀 中江 武志 原 久男 坂田 隆夫 杉 薫
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.97-107, 2005

<BR>【症例】33歳,女性.<BR>【主訴】動悸.<BR>【経過】生後より,全内蔵逆位・右胸心・右室性単心室・肺動脈弁狭窄症・共通房室弁閉鎖不全症と診断され,3歳時にBlalock-Taussig短絡術を,8歳時にWaterston手術を受けている.23歳時に心房内リエントリーを機序とする心房頻拍(AT)に対してカテーテルアブレーション(CA)を行い,以後,動悸は消失した.最近,週に1回程度の動悸を自覚するようになり来院,Holter心電図でQRS幅の狭い持続性頻拍を認めたため入院した.電気生理学的検査の結果,この頻拍は,前回と類似した房室接合部近傍を起源とするATであり,少量のATPで停止した,AT中の最早期興奮部位に通電したところ,通電中にATは停止し,その後は誘発されなくなった.<BR>【まとめ】成人期まで生存し得た右室性単心室症例に合併した,AT再発例に対するCA成功例を経験したので報告する.
著者
嶋田 義仁 坂田 隆 鷹木 恵子 池谷 和信 今村 薫 大野 旭 ブレンサイン ホルジギン 縄田 浩志 ウスビ サコ 星野 仏方 平田 昌弘 児玉 香菜子 石山 俊 中村 亮 中川原 育子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

家畜文化を有したアフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明が人類文明発展の中心にあった。家畜は蛋白資源生産(肉、乳、毛、皮)に止まらない。化石エネルギー使用以前人類が利用しうる最大の自然パワーであった。移動・運搬手段として長距離交易と都市文明を可能にし、政治軍事手段としては巨大帝国形成を可能にした。これにより、旧大陸内陸部にグローバルな乾燥地文明が形成された。しかしこの文明は内的に多様であり、4類型にわけられ。①ウマ卓越北方冷涼草原、②ラクダ卓越熱帯砂漠、③小型家畜中心山地オアシス、④ウシ中心熱帯サヴァンナ、である。しかし海洋中心の西洋近代文明、化石燃料時代の到来とともに、乾燥地文明は衰退する。
著者
芳賀 めぐみ 坂田 隆
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.213-220, 2007-08-10 (Released:2009-01-30)
参考文献数
15
被引用文献数
5 5

食塩摂取量推定法として全尿採取による尿中ナトリウム排泄量の推定法がある。この方法の大前提は正確な24時間尿量の把握である。そこで, 3-5歳児の蓄尿方法の検討および24時間尿量の推定を試みた。宮城県内の3歳から5歳の健常幼児を対象に早朝尿の採取と24時間尿の採取とを2003年と2005年に計4回実施した。分析対象は, 4回の蓄尿方法において採尿記録により, 取りこぼしがなかったと判断された対象者242名 (52.8%) のうち, 著しく体調を崩していた児および基礎データの欠損があった児5名を除いた237名とした。性別と測定回を要因とした2元の分散分析を行ったところ, 早朝尿, 24時間尿, 身長あたりの尿量等のすべての項目について, 交互作用も性の効果も有意ではなかった。いずれも2003年の値よりも2005年の値のほうが有意に大であった。24時間尿量の変動係数は, 2003年調査では42%, 2005年調査では35%であった。24時間尿量と早朝尿量との相関係数は, 2003年調査ではr=0.54, 2005年調査ではr=0.60で, ともに有意な相関はあったが, 相関係数は必ずしも高くなかった。2005年度の調査において得られた24時間尿量を目的変数として体重, 身長, 体表面積および除脂肪体重との間には有意な相関は認められたが, いずれも相関係数はr=0.26であった。今回対象とした3-5歳児の尿量は, 早朝尿量165 (mL/日), 24時間尿量533 (mL/日), 身長あたりの尿量518 (mL/m) と考えてよい。
著者
熊谷 賢太 杉 薫 円城寺 由久 坂田 隆夫 川瀬 綾香 酒井 毅 手塚 尚紀 中江 武志 高見 光央 野呂 眞人 池田 隆徳 平井 寛則
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.114-119, 2002

症例は25歳男性.突然死の家族歴あり.繰り返す失神の精査目的に入院.標準12誘導心電図では下壁誘導と側胸部誘導に0.2mVのST上昇と下壁誘導でQRS終末にnotchを認めた.Holter心電図で最短R-R間隔が200msで最大15連発の非持続性心室頻拍が認められた.エドロフォニウム投与下の右室流出路からの2連早期刺激で血行動態破綻を来す多形性心室頻拍が誘発された.各種検査で器質的心疾患を認めなかったが,失神の既往がありICD植込みを行った.ICD植込み後の失神時心内心電図記録で心室細動が確認された,植込み後約2年の観察期間中Brugada様の心電図特徴(右胸部誘導のST上昇,不完全右脚ブロック)は認められなかったが,pilsicainide負荷によりV2誘導でcoved typeのST上昇が生じNa channelの障害が示唆された.典型的心電図特微を示さず注意すべきBrugada症候群の一亜型と考えられたので報告する.
著者
中田 朋宏 池田 義 南方 謙二 山﨑 和裕 阪口 仁寿 上原 京勲 坂本 和久 中津 太郎 平間 大介 坂田 隆造
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.32-36, 2016-01-15 (Released:2016-02-02)
参考文献数
17

総肺静脈還流異常症(TAPVC)において,稀に左心系が非常に小さく,左心低形成症候群様の血行動態を示すものがあり,その対応に苦慮することがある.症例は1生日の女児,心エコーおよびCT検査にて下心臓型TAPVC,左心系の低形成(hypoplastic left heart complex),両側上大静脈,右鎖骨下動脈起始異常と診断された.肺静脈狭窄のため,1生日に準緊急的にTAPVC修復を行い,心房中隔欠損(ASD)作製術および両側肺動脈絞扼術(BPAB)も併せて行った.術後経過は良好であったが,術後の左心系の成長乏しく,47生日にNorwood手術(肺血流は右室-肺動脈導管5 mm人工血管で再建)を行った.その後もやはり左心系の成長乏しく,単心室型治療を選択することを決定し,6カ月時に両方向性Glenn手術,1歳11カ月時に完全右心バイパス手術を施行した.TAPVCを合併した左心系のボーダーライン症例に対して,TAPVC修復+BPAB+ASD作製を行うことで,左心系の発育を待ち,単心室/二心室型の治療方針を決定する方針は妥当と思われた.
著者
片田 佳希 中川 俊作 田上 裕美 津田 真弘 都築 徹教 端 幸代 小高 瑞穂 米澤 淳 萱野 勇一郎 矢野 育子 南方 謙二 坂田 隆造 松原 和夫
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.14-22, 2016-01-10 (Released:2017-01-10)
参考文献数
14
被引用文献数
4 7

Vancomycin (VCM) is a first-line antibiotic used for methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA), and therapeutic drug monitoring (TDM) is recommended to minimize the risk of nephrotoxicity and ensure successful therapeutic outcomes. In Kyoto University Hospital, we have developed a new approach of pharmacist intervention in the medication with VCM, which is named “Protocol-Based Pharmacotherapy Management (PBPM).” PBPM is based on a protocol approved in a hospital committee, which mentioned that pharmacists could order TDM and propose the most appropriate treatment plans with VCM to surgeons. From April 2011 to September 2014 in Kyoto University Hospital, a total of 54 patients hospitalized for cardiovascular surgeries received VCM without the treatment of hemodialysis. Twenty-nine patients before introducing PBPM were the control group. The VCM treatment according to PBPM was applied to 25 patients (protocol group). The incidence of acute kidney injury (AKI) due to VCM therapy, the retention rates of VCM blood concentration maintained in the therapeutic range (10-20 µg/mL) and in the toxic range (over 20 µg/mL) were retrospectively surveyed. The incidence of AKI was significantly lower in the protocol group than that in the control group (8.0% vs 31.0%, P < 0.05). The retention rates maintained in the therapeutic blood concentration range and in the toxic blood concentration range were significantly different between the control group and the protocol group. These results demonstrate that pharmaceutical intervention based on PBPM for MRSA treatment is effective for maintaining VCM blood concentration in the therapeutic range, resulting in a reduction of adverse drug reactions.
著者
野田 奈津実 小川 宣子 久慈 るみ子 坂田 隆 山崎 泰央 大竹 美登利 佐々井 啓 中島 明子 宮野 道雄 浜島 京子 加藤 浩文 萬羽 郁子 吉井 美奈子 生田 英輔
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.288, 2016 (Released:2016-08-04)

目的 東日本大震災では、多くの被災者が仮設住宅への転居を余儀なくされた。本研究は、仮設住宅への転居が住民の食生活に与えた影響を明らかにすることを目的とした。方法 震災後、石巻市市街地の仮設住宅に入居した60代女性(食生活改善推進員、震災前は同市雄勝地区)を対象に、震災前後の食生活(料理の種類、保存食、食事形態)について聞き取り調査を行う(2015年3、9、12月)とともに料理の画像記録を依頼した。結果 震災前に比べ、仮設住宅での料理の種類の減少や食事形態に変化が見られた。その原因として、1.地元で採(獲)れた大豆や米から味噌、柿やハモの乾物等の保存食を作り、これを利用して柿なますや雑煮等の郷土料理が作られていたが、食材の入手・保存場所の確保が困難になり、保存食を作ることが少なくなった。2.台所が狭くなり、保管・使用にスペースが必要な蒸し器やすり鉢を使う料理が減った。3.食卓が狭くなり、食器の種類や数も減ったため料理の盛り付けは銘々盛りから大皿盛りへと変化した。日常的に行われてきた食生活が震災を機に失われつつある。石巻の気候・風土を反映する多くの食材を活用した料理を記録として残し、継承していくことが求められている。本研究はJSHE生活研究プロジェクトの活動として実施し、科学研究費補助金(課題番号:24300243、25350040)、平成26年度(公財)浦上食品・食文化振興財団の助成を受けた。
著者
松田 光彦 坂田 隆造 伴 敏彦 曽根田 純一 西村 和修
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.1109-1112, 1986-04-15 (Released:2011-10-07)
被引用文献数
1

セルセーバーを用いて行われた心臓手術症例において、これを用いなかった症例との間で、術前後のヘマトクリット値、血中蛋白の変動について検討した。セルセーバー使用群では、時に術直後、ヘマトクリットが異常に高値をとったり、蛋白の改善が非常に遅い症例がみられた。特に、術後1日目のヘマトクリットが、セルセーバー使用群で高く、蛋白、特にグロブリンに低い値がみられ、これは術後の回復、感染に問題があると思われた。セルセーバーを心臓手術の症例全部に使用するには問題があり、使用する場合には一手術例あたりの使用回数(即ち、処理後の再利用血液量)に限界があると考えられる。
著者
村松 博士 田中 育太 庵原 秀之 三上 淳一 中谷 玲二 日下部 俊朗 渡辺 秀樹 北川 一彦 土田 茂 久居 弘幸 倉 敏郎 坂田 隆
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.611-616, 2018 (Released:2018-04-20)
参考文献数
32

液体栄養剤の半固形への形状変化が臨床経過に与える効果を検証する目的で無作為多施設共同比較臨床試験を行った。半固形化栄養群(以下、介入群と略)には半固形状の水分とペクチンとカルシウムを添加し半固形状とした経腸栄養剤を、液体栄養群(以下、対照群と略)には液体の水と経腸栄養剤を経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)施行翌日から胃瘻より投与開始、漸増した。介入群75例と対照群76例について術後2週間の臨床経過を比較した結果、誤嚥性肺炎の発症は介入群(1/75)で対照群(11/76)よりも有意に抑制された(p=0.0028)。また、PEG前は両群に差がなかったブリストル便形状スケールは2週間後で介入群が対照群よりも低くなり(4.9 ± 1.1 対. 5.6 ± 1.1)(p=0.00045)、便性状が改善した。PEG周術期において液体栄養剤を半固形状に変化させることによって誤嚥性肺炎と下痢を抑制した。
著者
山里 有男 伴 敏彦 安永 敏美 坂田 隆造 西脇 登 広瀬 瑞夫
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.12, no.12, pp.1434-1439, 1980

大動脈-左室トンネルの診断を受けていた5800g,10カ月の男児が,左無気肺,心不全をきたし緊急入院し,超低体温循環遮断下に開心術を施行した.術中所見は大動脈交連部で大動脈壁より離開した特殊な形の大動脈閉鎖不全症であり,膜性部中隔瘤も認められた.弁交連をフェルト付針糸で大動脈壁に縫着し中隔瘤を切除した.術後消失した大動脈逆流音が再び聴取されるようになり,1週間後再手術を行った.縫着した大動脈弁は完全に離開してあり,大動脈弁輪が14mmと小さく弁置換は行えなかったので,大動脈弁口をパッチで閉鎖したのち14mmのハンコック弁付人工血管による左室心尖-大動脈間の左室流出路形成を行ったが低心拍出症で失なった.<BR>左室心尖-大動脈バイパス手術はその手技も容易であり,先天性大動脈狭窄症や弁輪にまで強度の石灰化をきたした大動脈狭窄症などにも本手術法は有用であると考える.
著者
野田 奈津実 小川 宣子 久慈 るみ子 山崎 泰央 坂田 隆 大竹 美登利 佐々井 啓 中島 明子 宮野 道雄 浜島 京子 加藤 浩文 萬羽 郁子 吉井 美奈子 生田 英輔 奥山 みどり
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的</b> JSHE生活研究では、石巻市にて「郷土料理の伝承」「特産物を生かした料理の提案」を目的とした料理教室と料理コンテストを行ってきた。これらの活動による参加者の意識・意欲の変化を明らかにする。<b></b><br><b>方法 </b>郷土料理教室は3回(2012年3月~2013年12月)、わかめ料理コンテストは1回(2014年10月)実施し、それぞれ参加者へアンケート、聞き取りを行った。<br><b>結果 </b>郷土料理教室の1、2回目は仮設住宅入居者を対象として行ったが、以前から郷土料理を作り、食べている参加者が多かったため、3回目は仮設住宅入居者を講師とし、大学生を対象に行った。終了後、大学生からは「石巻の食文化を知ることができた」「家族や友人に教えたい」、仮設住宅入居者からは「若い人たちと話せて楽しかった」「やりがいを感じた」という感想が多く、「郷土料理の伝承」の新たな形としての可能性が感じられた。わかめ料理コンテストは地域住民34組から応募があり、最終審査は10組で行われた。参加者からは「わかめだけでなく、他の石巻の食材も調べた」「参加者同士で意見交換できた」との声も聞かれ、両活動とも郷土料理や特産物に対する関心や愛着、誰かに伝えたいという意欲を生み、さらに地域関係者も含めたコミュニケーションの場となった。<br>本研究は科学研究費補助金(課題番号:24300243、25350040)、平成25年度(公財)浦上食品・食文化振興財団の助成を受けた。
著者
榎本 善成 野呂 眞人 伊藤 尚志 久次米 真吾 森山 明義 熊谷 賢太 酒井 毅 坂田 隆夫 杉 薫
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.44, no.SUPPL.2, pp.S2_111-S2_116, 2012 (Released:2013-09-18)
参考文献数
12

症例は29歳,男性.17歳時に不整脈原性右室心筋症(ARVC)による心室頻拍(VT)から心肺停止となり,植込み型除細動器(ICD)を植え込み経過観察していた.2011年3月11日の東日本大震災以降,動悸の訴えあり3月14日ICD作働を認めたため,当院緊急入院となった.入院時心電図は,左脚ブロック型,右軸偏位のHR100台の心室頻拍(VT)であり,over-drive pacing,各種抗不整脈投与でも停止しないため鎮静下でVTコントロールを開始した.約1週間の鎮静でコントロール後,持続するVTは消失したため,第48病日に独歩退院となった.しかし,その後も心不全悪化のために短期間で再入院を繰り返し,6月4日に再入院となった.心臓超音波検査(UCG)では,右心系の著明な拡大のみならず左室駆出率10%程度の両心不全の状態であり,入院後再度VT storm状態となった.鎮静下でのコントロールも無効であったため,補助循環装置(PCPS)導入したが,VT stormが鎮静化することなく,死亡した.震災を契機にVT storm状態となり心機能悪化が助長されたARVCの1例を経験した.
著者
加護野 忠男 石井 淳蔵 猶本 良夫 川上 智子 松嶋 登 坂田 隆文 水越 康介 横山 斉理 日高 優一郎
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、医療経営のマネジメントに関する研究を行うことを目的とする。具体的には、医療分野の固有性をふまえつつ、研究上の方法論整備を行い、トヨタ生産方式を中心としたマネジメントノウハウの意義についての研究がすすめられた。研究の結果、方法論として、制度論や実践論に基づく研究の可能性が示された。また、具体的な対象については、トヨタ生産方式はもとより、より包括的に次章を捉える為にも、ITの意義や、ガバナンスの必要性などが確認された。