- 著者
-
内山 由美子
- 出版者
- 日本神経心理学会
- 雑誌
- 神経心理学 (ISSN:09111085)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.2, pp.155-162, 2018-06-25 (Released:2018-08-29)
- 参考文献数
- 33
注意は,様々な認知機能の基盤をなす機能で,その障害で日常,社会生活に支障が生じる.古典的に,脳幹,視床が含まれるalerting network,頭頂葉,前頭眼野皮質などの前頭葉が含まれるorienting network,前帯状皮質背側部,内側前頭皮質が含まれるexecutive networkが注意と関連するとされてきたが,近年,脳幹から大脳半球へのアセチルコリン,ノルアドレナリン投射系や,前頭前野腹側,前頭葉背外側面も含むcingulo-opercular networkやfrontoparietal networkなど,より広い脳領域の関与が想定されている.注意障害の臨床症状として半側空間無視,Bálint 症候群,保続性失書を取り上げた.局所の脳損傷だけでなく変性疾患,発達障害などでも注意障害を認め,これら疾患で生じる注意障害の特徴にも言及した.