著者
板口 典弘 森 真由子 内山 由美子 吉澤 浩志 小池 康晴 福澤 一吉
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.436-443, 2019-12-31 (Released:2021-01-04)
参考文献数
16

本研究は, 日常的に利用できるタブレットから取得できる情報を用いて, 書字運動および書字障害を定量的に評価する手法を提案することを目的とした。頭頂葉を含む病変を有する症例 5 名 (以下, 患者群) と高齢健常者 5 名 (以下, 統制群) が参加した。提案手法によって, (1) 書字障害を呈する症例のみにおいて, 字画間にかかる時間が長かったこと, (2) 症状にかかわらず, 患者群の速度極小点の数が統制群の範囲を越えて大きかったこと, (3) 複数症例で, 字画間の時間と距離の関係が統制群と異なっていたこと, (4) 統制群の字画間の時間と距離の相関係数は, 比較的安定であったことが明らかとなった。この知見に基づき, タブレットによる書字運動評価の有用性について議論した。
著者
福澤 一吉
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.245-252, 2006 (Released:2007-10-05)
参考文献数
7
被引用文献数
1

一般に脳研究では神経細胞の働きや,脳損傷に由来する神経学的,または神経心理学的症状の記述,分析などのボトムアップ的なアプローチを取る。一方,脳の計算理論的アプローチでは脳が解こうとする問題は何か,それを解くにはどんな計算が必要か,その基本原理は何かをトップダウンに考える。脳が解く必要のある問題の 1 つは不良設定問題であり,到達運動のような単純な運動でも,ターゲットへ到達可能な無数の軌道から最適な軌道を 1 つ選択するための制約条件を決定しなくてはならない。たとえば,トルク変化最小モデルでは,到達運動では各関節に生じるトルクの時間変化の 2 乗の総和を運動軌道全体にわたり積分した値が最小となるような制約が腕にかけられているとしており,不良設定問題を解いている (川人 1996) 。本講演では運動の計算理論を背景に運動にまつわる神経心理学的症状 (失書症,失行症,視覚性失認の模写運動) の検討を試み,運動の計算理論と神経心理学の接点を模索した。
著者
野村 美明 福澤 一吉 奥村 哲史 久保山 力也 D・H Foote 蓮 行 太田 勝造 大澤 恒夫 江口 勇治 金 美善 竹内 俊隆 新田 克己 平井 啓 仁木 恒夫 森下 哲朗 加賀 有津子 小野木 尚
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

国内でも国際的にも交渉の必要性は増大しているが、一般市民にはその教育と学習の機会は少ない。本研究の課題は、交渉の非専門家や一般市民に交渉教育・学習へのアクセスを広げることである。本研究は、交渉の要素を説明する理論とこれらを解説する実例を組み合わせた要素理論表と「要素・理論・ケースサイクル」法によって、以上の課題の解決を図った。本研究によるよりよい交渉実践の普及が、秩序形成と価値創造を促進することが期待される。