著者
岩田 誠
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.297-304, 2007 (Released:2007-11-27)
参考文献数
27

広い表面積で外界と接する腸管では,免疫細胞の配備が必須である.一般に,リンパ球の組織への配備は一定のルールに則って行われる.ナイーブT細胞は,リンパ節などの二次リンパ系器官には移入できるものの,非リンパ系組織には移入できない.二次リンパ系器官で抗原刺激を受けてエフェクター/メモリーT細胞となると,その二次リンパ系器官が所属する組織に選択的に移入(ホーミング)できるようになる.例えば,腸の二次リンパ系器官であるパイエル板や腸間膜リンパ節で抗原刺激を受けたT細胞は,小腸特異的ホーミング受容体(インテグリンα4β7とケモカイン受容体CCR9)を発現し,小腸に移入できるようになる.我々は,腸の二次リンパ系器官の樹状細胞がT細胞に抗原提示をすると同時にビタミンAからレチノイン酸を生成し与えることで,小腸特異的ホーミング受容体を発現させていることを見出した.同様に,ナイーブB細胞が抗原刺激を受け,小腸へのホーミング特異性を獲得するためにも,また,さらにIgA抗体産生細胞へと分化するためにもレチノイン酸が必須であることを明らかにした.

3 0 0 0 OA 神経学の伝統

著者
岩田 誠
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.91, no.8, pp.2245-2248, 2002-08-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
12
著者
岩田 誠一
出版者
Japan Society of Corrosion Engineering
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.336-342, 1991-05-15 (Released:2009-11-25)
参考文献数
19

Various problems concerning corrosion in ULSI (Ultra-large-scale Integration)'s are discussed. After a brief discussion on Al-line corrosion in plastic packages, two problems connected with ULSI manufacturing are explained and discussed. One is the selection of heat treatment atmosphere which does not oxidize tungsten gate electrodes, but can oxidize silicon at the same time. The other is the high-temperature stability of thin SiO2 films in refractory metal/SiO2/Si structures. Namely, the degradation of SiO2 occurs by H2 atmosphere and by the reaction between SiO2 and Si.
著者
岩田 誠 宋 時栄
出版者
徳島文理大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2010

腸とその関連二次リンパ系器官に存在するレチノイン酸(RA)産生能を持つ樹状細胞(DC)は、T細胞活性化の際に、RAを与えることによってT細胞に小腸ホーミング特異性を刷り込み、さらにTGF-β依存性の制御性T細胞分化を促進し、炎症に関与するTh17細胞の分化を抑制する。従って、これらのDCによるRA産生の制御は、腸管免疫の構築ばかりでなく、経口免疫寛容の誘導にも関与すると考えられてきた。しかし、実際に経口免疫寛容がビタミンA由来シグナルに依存するかどうかの確たる証拠はなかった。本研究では、DCにおいてRA産生の鍵を握る酵素retinal dehydrogenase 2(RALDH2,ALDHIA2)発現の制御と免疫寛容の誘導について、レチノイドシグナルの役割を軸として解析した。その結果、ビタミンA欠乏マウスでは経口免疫寛容が正常に誘導されないことを明らかにした。さらにその原因として、特に腸間膜リンパ節DCの性質変化が大きな関与をしていることを見出した。これらのDCは、コントロールマウスのDCより成熟型であり、活性化によって主に炎症性サイトカインを産生した。また、効率良くTh17細胞など好炎症性ヘルパーT細胞の分化を誘導する能力を有していた。従って、レチノイドシグナルは、T細胞の機能分化に影響を与えるばかりでなく、腸間膜リンパ節DCの性質制御にも大きな役割を果たしていることが示唆された。我々は誘導型Foxp^<3+>制御性T細胞(iTreg)の分化誘導におけるレチノイドシグナルについても解析した。生理的な主要RAであるall-trans-RAは、生理的濃度で核内受容体ヘテロダイマーRAR/RXRのRARに結合するが、RXRからの刺激がiTreg誘導に影響を与えるかどうか不明であった。RARだけでなくRXRからの刺激を加えることによってiTreg誘導が促進されることを見出した。
著者
岩田 誠 河村 満 菊池 雷太
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1531-1540, 2013-12-01

はじめに 河村 いまから100年前の1913年は,歌人で精神科医でもある斎藤茂吉(1882-1953)が最初の歌集『赤光』を出版した年です。同時に,フランスではマルセル・プルースト(Marcel Proust;1871-1922)が『失われた時を求めて』を出版しています。『失われた~』は,匂いが記憶を呼び覚ますという神経学的な背景を持った文学作品です。このように1913年は文学が,神経学または精神医学とかなり接近していた時代だったともいえると思います。 また,同じ年に,カール・ヤスパース(Karl Theodor Jaspers;1883-1969)が『精神病理学原論』を書いています。この本は,岩田先生から教えていただいたのですが,のちの精神医学,神経学に大変な影響を与えた本です。本対談はこの辺りをテーマにすれば,岩田先生から楽しいお話が伺えるのではないかと思い,企画しました。どうぞ,よろしくお願いいたします。
著者
岩田 誠
出版者
Japan Society of Neurovegetative Research
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.172-177, 2022 (Released:2022-07-16)
参考文献数
27

萬年は,第2仙髄前角のOnuf核はALSではおかされないが,尿便失禁を呈したShy-Drager症候群ではおかされることを見出した.Onuf核神経細胞が肛門および尿道の外括約筋支配ニューロンであることは,動物実験で確認された.また,Onuf核と第3仙髄の中間外側角には体部位局在があることが明らかになった.Onuf核には平均661個のニューロンがあり,その37%が保たれていれば尿便失禁はないが,13%以下になると尿便失禁が生ずる.Onuf核は,Onufによって解剖学的に記載され,萬年によってその機能的意義が明らかにされたため,Onuf-Mannen’s Nucleusと呼ばれるべきである.
著者
堤 由紀子 内山 真一郎 内山 由美子 佐々木 彰一 岩田 誠
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.75, no.9, pp.377-379, 2005-09

機械弁置換患者において閃輝暗点と栓子シグナルとの関連を検討した.閃輝暗点を有する4名の機械弁置換患者に経頭蓋ドプラ(DWL社,MultiDopX4)を用いて栓子シグナルを記録し,神経学的症状を検討した.閃輝暗点は抗血小板療法またはワルファリン増量により改善し,栓子シグナルも減少した.この結果から機械弁置換患者における閃輝暗点は微小塞栓による症状と考えられた.
著者
海野 聡子 永井 知代子 岩田 誠
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.224-230, 2003 (Released:2006-04-21)
参考文献数
18

神経ベーチェット病患者8例の神経心理学的所見について検討した。程度は異なるが共通して記憶障害があり,言語性/視覚性両課題における遅延再生の障害が特徴的であった。8例中4例に遂行機能検査での成績の低下があった。明白な人格変化を呈したのは1例であった。脳血流SPECTでは,前頭葉,側頭葉の血流低下があり,これらの障害を反映していた一方で,頭部MRI所見は,視床,基底核,脳幹などの皮質下構造の病変の検出にとどまり,これらの障害と対応していなかった。したがって,神経ベーチェット病の記憶障害の神経基盤は,頭部MRIで検出される皮質下構造の病変のみならず,大脳皮質の機能障害も関与していることが示唆された。
著者
吉川 昌江 佐久間 長彦 日比 野剛 池内 玲子 佐藤 貴昭 米山 明彦 岩田 誠司 川口 正展 神谷 吉宣 伊藤 純子 藤浪 隆夫
出版者
一般社団法人 日本動脈硬化学会
雑誌
動脈硬化 (ISSN:03862682)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2-3, pp.203-207, 1994-08-01 (Released:2011-09-21)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

The Oxidative modification of low-density lipoprotein (LDL) could contribute to atherosclerosis as a result of its cytotoxic effect, uptake by the scavenger receptor, and its influence on monocyte and macrophage migration. Ascorbate is an important watersoluble, chain-breaking antioxidant in humans.In this study, we examined the effect of ascorbate on the Cu2+-induced oxidative modification of LDL. LDL was incubated for 24 hours with 2.5μM copper (Cu2+) in phosphate-buffered saline (PBS) in both the presence and absence of ascorbic acid (20μg/ml, 25μg/ml, 30μg/ml, and 35μg/ml). Ascorbate significantly inhibited the oxidative modification of LDL, as indicated by both the decreased electrophoretic mobility and the linoleic acid content. Oxidative modification was prevented in a concentration-dependent manner by the addition of ascorbate.Our data suggests that ascorbate may play an important physiological role in protection against the oxidative modification of LDL.
著者
二木 宏明 松沢 哲郎 久保田 競 岡部 洋一 岩田 誠 安西 祐一郎
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1990

本研究では人間における言語機能の神経心理学研究とチンパンジ-における数の概念の研究を足がかりとして、思考や言語の基礎をニュ-ロンレベルで解明する手掛かりをつかむべく、サルの前頭前野のニュ-ロンにおける高次の情報処理の特徴を調べる。一方、思考と言語の脳内メカニズムのモデル化の研究においては、脳のような並列階層的システムが論理的推論をどのような形で行っているかという脳内表現の計算機構を説明できるモデルを提案することを目的としている。岩田は、H_2 ^<15>O PETを用いて漢字、仮名黙読時の脳血流を測定した。仮名単語の読字は漢字単語の読字より広汎に局所脳血流を増加させ、両側の角回も賦活されていることが明らかになった。松沢はチンパンジ-の数の概念の研究をおこなった。アラビア数字1から9までの命名を形成し、反応時間の分析をしたところ、ヒトと同様の二重の計数過程が示唆された。久保田は、アカゲザルで学習が進行するのに伴って、手掛かり刺激の色の違いに特異的に応答するニュ-ロンの数が増えることを明らかにした。二木は、ヒトのカ-ド分類と類似の課題を遂行中のサルの前頭前野のニュ-ロン活動を記録し、注目すべき次元の違いに依存して、ニュ-ロン活動の応答が異なることを明らかにした。岡部は、概念がどの様に運動ニュ-ロンにパタ-ン化されていくかについて2関節の指の運動のシミュレ-ションを行った。その結果、極めて自然な関節運動の得られることを確認した。以上のごとく、初年度にもかかわらず着実に成果がありつつある。