- 著者
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大串 隆之
内海 俊介
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2016-04-01
セイタカアワダチソウの成長パタンの季節動態が、日米両国間および各国の地域間でも大きく異なることがわかった。日本の圃場では日本産のセイタカの方が米国産のセイタカよりも植物サイズと葉数がいずれも3倍以上であった。さらに、植物の成長期間は滋賀と佐賀の圃場では8月中旬には完了したが、北海道の圃場では9月以降まで続いた。主な植食者の個体群動態は、日米両国間および各国の地域間でも大きく異なることがわかった。セイタカヒゲナガアブラムシの出現パタンと密度は圃場間で異なった。佐賀と滋賀の圃場ではアブラムシの密度のピークは6月上旬であったのに対し、北海道では9月下旬から10月上旬にかけてピークを迎えた。さらに、北海道では他の地域に比べて、密度は10倍以上も高かった。アワダチソウグンバイは佐賀と滋賀では高い密度であったが、北海道では全く見られなかった。滋賀では9月上旬にかけて密度のピークが見られたが、佐賀では6月下旬から10月上旬にかけて同程度の密度で推移した。グンバイの食害を受けた葉の割合は、滋賀では6月から7月下旬にかけて急激に増加し80%に達した。一方、佐賀では6月下旬に早くも食害率は100%に達した。食害率が高くなると植物の枯死が見られ、グンバイによる食害はセイタカの定着後の最大の死亡要因であることが示唆された。グンバイ以外の葉食者の食害は、滋賀では6月上旬から増加し、10月中旬にはピークに達したが、その時点でも食害率は12%程度であった。これに対して北海道では季節が進むにつれて食害率は増加し、最終的に40%近くになった。日米の比較によって、米国のミネソタとカンサスでは植食生昆虫の種多様性は日本に比べて高く、逆に南部のフロリダでは植食生昆虫の種多様性と密度は米国北部および日本に較べて低かった。