著者
大嶽 能久 新田 克己 前田 茂 小野 昌之 大崎 宏 坂根 清和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.986-996, 1994-06-15
被引用文献数
3 2

法的推論システムHELIC?IIについて述ぺる。法的推論を計算機上で実現するためには、個々の事件の事実関係に解釈を与え、それに法的な概念を対応させる過程をいかに実現するかが大きな問題の一つとなる。HELIC?IIは条文と判例を知識源とするhybridシステムである。条文に基づく推論はルールベース推論によって、判例に基づく推論は事例べ一ス推論によってそれぞれ実現されている。判例に墓づく推論は過去の類似の判例を参照して法的な概念を生成する。条文に基づく推論はこれらの法的な概念を使って罪責を演繹的に求める。両者は相補的に機能し、あらゆる一可能な法的判断を生成する。ルールベース推論エンジンは、並列定理証明器 MGTP(Model Generation Theorem Prover)をべ一スにして、それに幾つかの拡張を施した。事例べ一ス推論エンジンは、推論を類似事例の検索と適用の2段階に分けることにより、事例の記述を容易にすると同時に並列推論の効果を高めた。出カとしては、これらが導かれた過程を表す推論木がユーザに提示される。さらに推論木の理解を容場にするために、自然言語風の詳細説明も提示することができる。HELIC?IIは並列推論マシン上にインプリメントされ、並列推論によって高速に結論を導き出す。例題として刑法を対象とする実験システムを構築し、並列推論の効果を実証した。
著者
前田 茂則 椋木 雅之 美濃 導彦 池田 克夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.1617-1625, 1999-10-25
被引用文献数
8

画像検索システムでは,利用者が頭にイメージした検索したい画像の内容をいかに的確に引き出せるかが重要である.そのため最近,概略画,類似画像等の画像を検索キーに採用し,利用者のイメージの表現の自由度を高める試みが多くなされているが,画像は多義性が大きいため,従来のキーワード等の言語を検索キーに用いる方式に比べて検索キー自体の示す内容のあいまいさが増大し,利用者の意図が適切にシステムに伝わらない場合がある.そこで本研究では,画像検索をシステムと利用者とのイメージコミュニケーションという観点から見直して問題点を検討し,これをもとに,画像を検索キーに用いながらもそのあいまいさの増大を抑える対話機構を提案する.この対話機構では,検索結果が得られた理由等を示す釈明情報をシステムから利用者に提示し,それに基づいて利用者が検索キーの修正をして再検索を行う.実際にこの対話機構を画像検索システムに実現し,実験によりその有効性を確認した.