著者
山中 茂樹 北原 糸子 田並 尚恵 森 康俊
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

本研究は、今後30年以内に発生するだろうといわれる首都直下地震において発生する膨大な避難者たちの行動を予測するとともに、その対応策を考えるのが目的であった。ところが、2011年3月11日、東日本大震災が発生。加えて東京電力福島第1原発の事故で福島県民を中心に多くの強制避難・自主避難が生じた。そこで、同時進行している事象の実態把握と解析も進めた。3年間の成果として、住民票を移さずに避難した人達の在留登録制度の新設や避難元自治体と避難先自治体が避難住民の名簿を共有する避難者台帳の整備、広域避難者の支援に充てるファンドの創設など多くの政策・制度を提案した。
著者
北原 糸子
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.316-327, 2012-11-04

本論は災害史研究において、歴史資料の果たす役割を具体的に示すために、江戸・東京という日本の首都で発生した地震災害のうち、1703 年元禄地震、1855 年安政江戸地震、1923 年関東大震災を対象として、歴史資料を通して、時代の変遷のなかで災害像はどのように変化するのか、あるいは災害の歴史を通じて共通に認められる社会事象とはなにか、すなわち、災害の社会像について考察した。その結果、進歩や開発という理念を持たない近世社会は大災害に遭遇しても都市の基本構造を変えることはなかったが、近代の関東大震災のような都市を焼き尽くす大災害では、災害を好機と捉え、都市計画による都市の再生・復興が行われた。また、本論では特にいまだ元禄地震における江戸市中の被害が明らかになっていない理由が前後の火災の広範な延焼範囲によって地震被害の実相がマスクされた可能性が高いことを指摘した。