著者
中橋 孝博 分部 哲秋 北川 賀一 篠田 謙一 米田 穣 土肥 直美 竹中 正巳 甲元 眞行 宮本 一夫 小畑 弘己
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

In order to elucidate the homeland of immigrant Yayoi people and Jomon people, we performed morphological, mtDNA, and stable isotope analysis on ancient human skeletal remains of China, Russia, Mongolia, Okinawa and Taiwan, where people' s exchange with the Japanese archipelago in prehistoric age have been assumed. As a result, we obtained a lot of new, useful data regarding the ancients people in these area. And, in Ishigaki Island, we determined the age of human fossil(about 20, 000 years ago) and have contributed to the discovery of the first Pleistocene human fossil in this area.
著者
加藤 克知 イルダ ビダル 篠田 謙一 真鍋 義孝 北川 賀一 小山田 常一 六反田 篤
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学医学部保健学科紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.13-17, 2002-12

頭蓋骨折と思われる傷痕を有するインカ時代ペルー先住民のTrepanation(頭蓋穿孔)施術頭蓋3例を観察し,骨折痕と頭蓋穿孔の関連について考察した.頭蓋穿孔痕は,一例は骨折受傷部と異なる部位に,残り2例は骨折受傷部に一致して存在した.これらの観察から得られた所見は,頭蓋穿孔が何らかの治療的意図を持って骨折痕に対してとられた処置であることを示唆する.すなわち,特にインカ時代は戦闘行為による頭蓋骨折発生頻度の高い時期であり,当時人々は頭蓋穿孔が骨折受傷後の状態や予後の改善に有効であることを経験的に認識していたと考えられる.Three trepanned skulls with fracture traces in ancient Peru (Inca period) were presented, and whether the trepanations were intended to the fracture lesions or the following symptom was briefly discussed. The skull fractures, probably resulting from violence, was located in the frontal or parietal regions. In one case, the trepanations were performed in different regions from the fracture lesions, and in other two cases the operations were probably done at the correspondent regions to the lesions. The observation on these skulls suggests the possibility of trepanations as an intended therapeutic procedure of the skull fractures in Inca period of Peru, where people might frequently experienced the traumatic injuries by violence such as the fight.
著者
篠田 謙一 加藤 克知 北川 賀一 米田 穣
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究ではプレインカからインカ帝国成立期の人骨試料を用いて、集団の系統関係の解明と古代社会の多元的な復元を試みた。その結果、アンデス南海岸地域では、紀元前には北部海岸地域と遺伝的に似ているが、時代とともに山岳地域からの集団の移入を受け,インカ時代には集団の置換が起こったことが判明した。一方北海岸においては人口規模の違いから、集団の遺伝的組成に変化はなく、文化変容が遺伝的な変化を伴わないものであることが判明した。これらの結果は古代アンデスにおける文化変容を解釈する際に新たな重要な情報を付け加えることになった。
著者
篠田 謙一 加藤 克知 北川 賀一 真鍋 義孝 中橋 孝博
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

インカによる統一以前のアンデスには、多数の地域国家が存在した。これらは生業形態や地理的環境から大きく海岸地帯と山岳地域または南部と北部に分類することができる。今回の研究では、かつてこれらの地域に存在した集団の遺伝的な関係と、集団内部の血縁関係を考察する目的で、骨と歯の形態学的な研究と人骨から抽出したDNAを解析した。4年間の研究で、ペルー北海岸では紀元前後から11世紀までの遺跡、アンデスの山岳地域ではインカ時代の遺跡、そして南部の海岸地域では紀元前後から7世紀にかけての遺跡を調査して、合計で2百体以上の人骨の研究を行うことができた。得られたサンプルに対し、形態学的な研究からは、各集団の歯の形態学的な特徴の抽出、頭蓋骨の形態学的な研究、そして頭蓋変形と開頭術の時代的な変遷についての解析を行った。また、DNA分析では、抽出したDNAを用いてPCR法でミトコンドリアDNAのD-loop領域とcoding領域の一部を増幅した。この塩基配列データ解析することによって、遺跡内部での血縁関係の追求と、周辺遺跡との系統的な関係についての考察を行った。北海岸のシカンの遺跡では、埋葬された人物間の血縁関係をDNA分析によって推定し、歯の形態学的な研究結果や考古学的な証拠と併せて考察を行った。また、モチェとガイナッソの遺跡を研究し、双方の関係について考察した。それらの知見と考古学的な証拠とを総合的に判断した結果、基本的には北海岸と南の海岸及び山岳地域とは、集団の構成に違いがあることが明らかとなった。また、アンデスのウルバンバ川周辺の遺跡のDNA解析からは、現代の先住民につながる人々がこの時代から居住していたことが明らかにした。