- 著者
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篠田 謙一
佐藤 丈寛
安達 登
角田 恒雄
神澤 秀明
- 出版者
- 独立行政法人国立科学博物館
- 雑誌
- 新学術領域研究(研究領域提案型)
- 巻号頁・発行日
- 2018-06-29
昨年度行った縄文人のゲノム解析の成果の一部を本年に論文発表した。また同時に、得られたSNPデータからこの人物の形質の特徴を抽出して復顔像を作成し、プレス発表を行った。このニュースは多くのマスコミの取り上げられ、大きな反響があった。北部九州と南西諸島の縄文時代相当期の人骨の持つミトコンドリアDNAの分析を進め,両者が1万年ほど前に分離した集団である可能性があることを明らかにし、沖縄で行われた学会で発表を行った。更に、初年度の分析で縄文人のゲノム解析に関してある程度の成果を得たので,本年は日本人の成立を考える上で重要な,弥生時代人骨を中心にゲノム解析を進めた。縄文人の末裔と考えられている西北九州の弥生人のゲノム解析によって,彼らが既に渡来系集団と混血した集団であることを明らかにし,論文発表した。また,渡来系集団の起源地と考えられる韓国の6千年前の貝塚人骨である加徳島の新石器時代の遺跡から出土人骨のゲノム解析を行い,彼らが現代の韓国人よりも縄文的な要素を多く持っていることを見いだし報告した。更に渡来人の遺伝的な特徴を更に詳しく知るために,弥生相当期に当たる韓国の人骨の分析を進めている。日本国内でも渡来系とされる弥生人集団のゲノム解析を進めた。特に大量の人骨が出土した弥生時代後期の鳥取県青谷上寺地遺跡から出土した人骨について,網羅的な解析を行った。その結果,彼らの遺伝的な特徴は現代日本人の範疇に入るものの,多様性は大きいことが判明した。このほか,全国の大学研究機関や埋蔵文化財センターに所蔵されている縄文~古墳時代人骨を収集し,ミトコンドリアDNAの分析を進めた。更にその中でDNAの保存状態の良い個体については核ゲノムの解析も実施している。