著者
中屋 慎 小谷口 美也子 北村 進一
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.5, pp.288-297, 2015 (Released:2018-04-23)
参考文献数
11

定量分析を行うと,必ず「有効数字」や「誤差」が付きまとう。そして,統計学や推計学のやっかいになることになるが,なかなか教科書を開く気になれない。本解説は,身近な実例を引きながら,分かり易くそれらの概念を紹介したもので,定量分析に関わる方に(私も含めて),一読をお勧めしたい。
著者
橋本 まき 小谷口 美也子 松本 裕貴 琴浦 聡 湯浅 浩気 青木 基 中根 正人 北村 進一
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-23-00058, (Released:2023-09-27)

機能性表示食品の機能性関与成分のルーチン分析で求められるスループット性を考慮して, 構築したNP-HPLC簡易法の定量値の妥当性を検証した. ソフトカプセル2粒当たりのプラズマローゲン量をNP-HPLC簡易法と2D-HPLC法で分析し, 得られた定量値と比較したところ, 有意差はみられず定量値の妥当性が確認できた. NP-HPLC簡易法はソフトカプセルやその他の食品中プラズマローゲン含有量について日々のモニタリングに活用できると考える.
著者
内海 好規 吉田 真由美 Perigio B. Francisco Jr. 澤田 隆行 北村 進一 中村 保典
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.215-222, 2009 (Released:2010-01-29)
参考文献数
42
被引用文献数
9 15

植物はデンプンを合成するために進化の過程で異なる機能を持つ酵素アイソザイムを分化させてきた.デンプン枝作り酵素(BE)はα-グルカンのα-1,6グルコシド結合を形成する唯一の酵素であり,アミロペクチンのタンデムクラスター構造の形成に必須である.アミロペクチン分子の分岐結合の位置と数に認められる高度の規則性はBE反応により制御されており,アミロペクチン構造のバリエーションはデンプンの性質を決定する重要な因子である.したがってデンプン構造の生合成調節メカニズムを解明する上でBEの特性に関する理解は不可欠であるが,BEの反応メカニズムは依然ほとんど不明である.BE特性解明の第一歩は酵素動力学的解析であるが,再現性良く活性を定量し,しかも多数のサンプルを簡便に分析できる方法がなかった.本研究では,BE枝作り反応の結果,生ずるα-1,6グルコシド結合を枝切り処理後,増加する還元末端数を定量することによって活性を直接測定する方法を確立することを目的とした.まず,還元末端数を定量できる銅-ビシンコニニック酸法(BCA法)の基本特性を調べた.その結果,1)BCA法では,560 nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定することにより,測定液150 μLあたり0-3.75 nmol(0-25 μM相当)のマルトースを定量することができ,その吸光度は呈色反応終了後10時間まで安定であった.2)グルコースからグルコース数平均重合度(DPn)1658の酵素合成アミロースに対して,分子数あたりの還元糖量は一定で,DP値の影響を受けなかった.3)大腸菌に発現させたイネリコンビナントBEIIb(rOsBEIIb)の活性と特性を調べた結果,酵素合成アミロースやアミロペクチンに対して信頼性の高いKm値やVmax値を求めることができた.結論として,BCA法は従来法に比べて,BE活性を定量するための優れた方法であることが明らかになった.
著者
日比 喜子 小林 喜美枝 北村 進一 久下 喬
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.743-749, 1986

うるち米飯 (米飯) およびもち米飯 (強飯) を5℃に放置したときの性状変化について, 澱粉の老化の面から検討を行い, 次の結果を得た.<BR>1) 水可溶性画分は, 強飯のほうが米飯より多かった.画分中の全糖量は, 米飯では, 冷蔵3時間後に最高値を示した後, 減少した.強飯では, 冷蔵3時間までほぼ一定で, その後, 減少した.<BR>これらの糖についてGPC分析を行い, 分子サイズ分布を調べ, その経時変化を追跡した.<BR>2) 冷蔵中における糊化度は, 強飯のほうが, 一般に, 米飯より高かった.米飯では, 冷蔵3時間後に糊化度が最高値を示した後, 低下した.強飯では, 冷蔵1時間後までほぼ一定で, その後, 徐々に低下した.<BR>3) 米飯, 強飯とも, 加熱前のA図形の結晶構造は, 加熱により消失し, 米飯では, 微量のらせん状複合体の形成を示すV図形, 強飯では, 非晶形のV図形を示した.冷蔵24時間後から結晶性の回復がみられ, 144時間後には, B図形へと変化した.
著者
中屋 愼 北村 進一 水野 淨子 庄條 愛子 藤原 永年 小谷口 美也子 高橋 良輔
出版者
大阪府立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2017-08-25

葉菜類であるクレソンはさまざまな健康増進効果をもつことが知られているが、そのメカニズムなど科学的根拠が明確には示されていない。我々はクレソンがもつ食品の3次機能(健康機能性)を調べ、クレソンが脂質代謝改善効果を示すことを動物実験により明らかにし、さらにこの改善効果をもたらす機能性成分を調べた。その結果、フェネチルイソチオシアネートおよび1,3-ジフェネチルウレアである可能性が高いことが分かった。特に、1,3-ジフェネチルウレアは、微量でありながら強い改善効果を示したことから、クレソンに含まれる主要かつ新規な機能性成分であると考察している。