著者
コマロフ アンソニー 高橋 良輔 山村 隆 澤村 正典
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.41-54, 2018-01-01

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は6カ月以上持続する疲労感,睡眠障害,認知機能障害などを生じる疾患である。ME/CFSは自覚症状により定義されているため疾患概念そのものに対する懐疑的意見もあるが,近年の研究では神経画像,血液マーカーの解析,代謝,ミトコンドリアなどの研究でさまざまな客観的な異常が報告されている。特に脳内外での免疫系の活性化がきっかけとなり,炎症性サイトカインが放出されることで病気が発症する可能性が指摘されている。この総説ではME/CFSについての客観的なエビデンスを中心に解説する。
著者
鷲田 和夫 加藤 有希子 川又 純 高橋 良輔
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.1, pp.147-149, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
7

症例は58歳,男性.パーキンソン病発症14年目に寡動が増悪したため,非麦角系ドーパミンアゴニストであるプラミペキソールの投与を開始したところ深刻な病的賭博症状が出現した.薬剤変更により病的賭博行為は可逆的かつ速やかに消失したが,社会経済的に不可逆的な損害が生じた.病的賭博の発症理由として大脳辺縁系に位置するドーパミンD3受容体へのドーパミンアゴニストによる特異的刺激が関与していると考えられている.
著者
高橋 良輔 芝崎 厚士 山崎 望 大庭 弘継 川名 晋史 今井 宏平 伊藤 丈人 佐藤 史郎 中内 政貴
出版者
青山学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

当初の研究計画では最終年度となる平成29年度は、総括的研究を実施した。そのため共同研究の焦点は、”政治的資源としての時間”の位相の解明/時政学の構築に置かれている。研究推進の具体的方法としては、基礎的研究段階で各研究者が提示した研究構想に沿って課題を追究する個別研究と、その研究の進捗状況について報告・討議を行う研究会という二つの側面から実施された。まず平成29年8月24日(木)13:00-18:00 青山学院大学で開催された第5回研究会では、前半で研究アプローチについて検討したうえで、個別の研究状況を報告・討議を行い、時政学研究の成果公開の方法について協議をしている。当日のプログラムは以下の通り。1.前回までの研究会の振り返り&時政学研究のアプローチについての確認、2.個別研究(事例班)からのご報告:大庭先生/今井先生/八木先生(各自20分程度で個別の時政学研究についてご報告いただき、20分程度の議論)、3.時政学研究の成果についての検討、4.共著書刊行の検討、5.今後のスケジュールについて、6.その他。また平成30年1月28日(日)13:00―18:00に青山学院大学で開催された第6回研究会では、個別研究の報告を踏まえて、共著書企画案の共有・執筆者アンケートの共有、研究アプローチの類型化を行っている。当日のプログラムは以下の通り。1.個別研究からのご報告と討論(佐藤先生、伊藤先生 各20分報告+質疑応答)、2.共著書企画案のご説明、3.執筆者アンケ―トの共有、4.共著書構成および研究アプローチの検討、5.その他(今後のスケジュール・研究会開催など)。上記2回の研究会の結果、共同研究の成果を4つの類型に整理したうえで、ミネルヴァ書房からの共著書刊行を目指すことが合意された。
著者
武田 俊一 廣田 耕志 山田 亮 岡田 徹也 笹沼 博之 清水 宏泰 清水 宏泰 高橋 良輔
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

変異原性化学物質をハイスループットに検出するバイオアッセイを、ニワトリDT40細胞由来のゲノム編集細胞(DNA損傷修復遺伝子の欠損細胞)を使って創った。開発した試験の妥当性を、米国National Toxicology Program (NTP) の化学物質ライブラリー(約10,000種類)を解析した。感度および特異性ともに高いことが示された。上記の変異原性試験は、ニワトリ細胞を使っていることを問題点として指摘された。そこでCRISPR/Cas9手法を使い、OECD諸国政府が変異原性化学物質検出に使う標準ヒト細胞株(TK6)をゲノム編集し、DNA損傷修復遺伝子の欠損細胞を創った。
著者
西谷 真規子 庄司 真理子 杉田 米行 宮脇 昇 高橋 良輔 足立 研幾 大賀 哲
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008-04-08

本研究では、国際規範の発展における規範間の競合または複合のプロセスを明らかにすることを目的とした。グローバル、リージョナル、ナショナルの各レベルにおいて、①規範的アイディアの競合や複合が、どのような制度変化をもたらすか、②多様な行為主体(国家、国際機構、市民社会、企業等)が競合または複合の過程にどのように関っているか、または、競合や複合から生じる問題をどのように調整しているか、の二点を中心的な問いとして、事例分析を行った。成果は、国際・国内学会発表や論文発表を通じて逐次公開した。最終的には、編著『国際規範の複合的発展ダイナミクス(仮題)』(ミネルヴァ書房)として近刊予定である。
著者
野村 靖幸 大熊 康修 高橋 良輔 金子 雅幸 友部 浩二 篠塚 達雄 出雲 信夫 殿岡 啓子 浜名 洋
出版者
横浜薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

HRD1は小胞体の変性タンパク質の分解を促進し、アルツハイマー病の原因タンパク質アミロイドβの前駆体APPを基質とする。本研究では、アルツハイマー病患者脳においてHRD1が酸化ストレスにより不溶化することで減少する可能性を示した。また、HRD1と類似した新規の酵素について、Aβの産生に関与するものを新たに見出した。さらに、タンパク質の凝集を阻害することで、パーキンソン病に関連したタンパク質の蓄積を防ぐ薬物を作成した。
著者
北村 彰浩 猪原 匡史 内田 司 鷲田 和夫 長谷 佳樹 小森 美華 山田 真人 眞木 崇州 高橋 良輔
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.384-389, 2010-07-25 (Released:2010-09-14)
参考文献数
12

【症例】52歳女性.高血圧,高脂血症,肥満あり.約1週間の経過で徐々に発動性低下が進行した.麻痺等の局所神経症状はなくNIHSS 0点であったため,当初はうつ病も疑われたが,頭部MRIで左内包膝部に脳梗塞像を認め左中大脳動脈穿通枝のbranch atheromatous disease (BAD)と診断した.神経心理学的検査や脳波検査から,軽度のうつ状態,認知機能障害,左前頭葉の機能低下を認めた.抗血栓療法等で徐々に症状は改善し約2カ月で職場復帰した.【考察】内包膝部は視床と大脳皮質を結ぶ種々の神経経路が通過する要所である.本例では前頭葉と視床との機能連絡の遮断により前頭葉機能が低下し発動性低下を来たしたと考えられた.また,BADは進行性の運動麻痺を呈しやすいことで知られるが,本例のように明らかな局所神経症状が無く発動性低下が亜急性に進行する症例でも内包膝部のBADが重要な鑑別になると考えられた.
著者
高橋 良輔
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.124, no.6, pp.375-382, 2004 (Released:2004-11-26)
参考文献数
37
被引用文献数
3

パーキンソン病は,ドパミンニューロンの選択的変性による進行性の運動障害を主症状とする神経変性疾患である.家族性パーキンソン病の一型である常染色体劣性若年性パーキンソニズム(AR-JP)の病因タンパク質であるParkinは,基質タンパク質を特異的に認識し,プロテアソームによる分解を促進する酵素,ユビキチンリガーゼ(E3)である.このためE3の不活性化により,基質タンパク質が異常蓄積してAR-JP発症に至ると考えられる.その仮説に基づいてParkinの基質タンパク質が探索された結果,現在では約10種類の異なる分子がParkinの基質として報告されている.その中で我々が見出したパエル受容体(Pael-R)は黒質ドパミン細胞に高度に発現する,リガンド不明のGタンパク質共役型受容体である.Pael-Rは折れたたみ(フォールディング)が困難なタンパク質で,新生タンパク質の約50%がフォールディングに失敗し,構造が異常で機能をもたないミスフォールドタンパク質になる.ParkinはE3として構成的にミスフォールド化Pael-Rをユビキチン化し,その分解を促進している.AR-JPではParkinが不活性化されるために分解されなくなったミスフォールド化Pael-Rが小胞体に蓄積し,小胞体ストレスによって細胞死を引き起こすと考えられる.Pael-Rは培養細胞でアポトーシスを起こすだけでなく,ショウジョウバエのニューロンで過剰発現させてもドパミンニューロン選択的細胞死を引き起こすことが示された.一方Parkinノックアウトマウスではドパミンニューロン死は起こらず,既知の基質の蓄積もみられないことから,病因となる基質の特定は困難な状況である.Pael-R蓄積による小胞体ストレスがAR-JPの神経変性をどこまで説明できるのか,最新のデータに基づいて議論する.