著者
コマロフ アンソニー 高橋 良輔 山村 隆 澤村 正典
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.41-54, 2018-01-01

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は6カ月以上持続する疲労感,睡眠障害,認知機能障害などを生じる疾患である。ME/CFSは自覚症状により定義されているため疾患概念そのものに対する懐疑的意見もあるが,近年の研究では神経画像,血液マーカーの解析,代謝,ミトコンドリアなどの研究でさまざまな客観的な異常が報告されている。特に脳内外での免疫系の活性化がきっかけとなり,炎症性サイトカインが放出されることで病気が発症する可能性が指摘されている。この総説ではME/CFSについての客観的なエビデンスを中心に解説する。
著者
田村 哲樹 千葉 眞 加藤 雅俊 藤田 菜々子 武田 宏子 杉田 敦 森川 輝一 五野井 郁夫 乙部 延剛 齋藤 純一 吉田 徹 中田 瑞穂 山崎 望 高橋 良輔
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、資本主義と民主主義は今後も両立可能なのか、もし両立可能だとすればどのような形でなのか、というテーマを探究する。これは大きな問題であり、かつての社会科学あるいは政治学の主題の一つだったが、次第に顧みられなくなった。本研究は、このテーマそのものを今日的状況を踏まえつつ復興するとともに、両立可能性と不可能性のあり得る複数のシナリオを政治理論的に解明する。そして、この作業を通じて、「経験的事象に根差した政治理論」研究の新たなモデルの提示を目指す。
著者
高橋 良輔 黒木 一央 坂本 和隆 村田 雅和 熊谷 謙治 河野 昌文 重松 和人
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.148-151, 2015-03-25 (Released:2015-05-22)
参考文献数
10

組織学的にサルコイドーシスが疑われた抗酸菌症を経験した.症例)67歳男性.既往:糖尿病.右手背部腫瘤を主訴に来院した.右手背部に2.5×3.0×0.5cmの弾性軟の腫瘤を認め,軽度圧痛を除くと血液検査,X線検査上,有意な所見はみられなかった.MRIでは手背~手関節に伸筋腱腱鞘の腫瘍性肥大と液体貯留を認めた.軟部腫瘍,感染等による肉芽腫を疑い,切開生検を施行した.肉眼的には腱鞘周囲に腫瘍性病変がみられた.病理検査では壊死を伴わない類上皮細胞様の細胞増殖が主体をなしサルコイドーシスと診断された.手術後3週間でMycobacrerium marinumが検出され,抗菌薬治療を開始した.考察)本症例では病理組織学的に腫瘤内に乾酪壊死を検出できなかったので,積極的に抗酸菌症は診断されず,サルコイドーシスの所見と考えられた.しかし抗酸菌症とサルコイドーシスの治療法は全く異なるので鑑別は重要である.診断不確定な腫瘍では適切な病歴聴取,MRIや抗酸菌検査を含めた細菌培養が望まれる.
著者
鷲田 和夫 加藤 有希子 川又 純 高橋 良輔
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.1, pp.147-149, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
7

症例は58歳,男性.パーキンソン病発症14年目に寡動が増悪したため,非麦角系ドーパミンアゴニストであるプラミペキソールの投与を開始したところ深刻な病的賭博症状が出現した.薬剤変更により病的賭博行為は可逆的かつ速やかに消失したが,社会経済的に不可逆的な損害が生じた.病的賭博の発症理由として大脳辺縁系に位置するドーパミンD3受容体へのドーパミンアゴニストによる特異的刺激が関与していると考えられている.
著者
高橋 良輔 金子 文成 柴田 恵理子 松田 直樹
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.59-67, 2018 (Released:2019-09-01)
参考文献数
28

本研究の目的は, 肩関節外旋運動反復トレーニングが肩関節外転運動中の棘下筋を支配する皮質脊髄路興奮性を増大させるのか明らかにすることである. 外旋反復運動をトレーニング課題として, その前後に外転運動中の皮質脊髄路興奮性を経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位で評価した. 外旋反復運動は15分毎に100回を3セット実施した. 運動誘発電位は外旋運動反復トレーニング前に2回, 各トレーニング直後, そして3回目のトレーニング直後から30分後と60分後に測定した. 棘下筋の運動誘発電位振幅は3回目のトレーニング直後から60分後まで有意に増大した. 本研究結果から, 肩関節外旋運動反復トレーニングによって, トレーニングと異なる運動である肩関節外転運動中に棘下筋を支配する皮質脊髄路興奮性が持続的に増大することが示された.
著者
高橋 良輔 角野 拓真 東条 かおり 岡崎 慎一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.3, no.J2, pp.1053-1058, 2022 (Released:2022-11-12)
参考文献数
8

近年,極端豪雨により激甚化する豪雨災害の一つとして,局所洗掘による橋脚の損傷やそれに伴う落橋等が日本各地で頻発している.この種の災害に対する維持管理では,被災リスクが高い橋脚を抽出し,計画的な予防保全措置を実施するとともに,橋脚の健全度を把握するために適切な残存耐力評価が必要となる.本研究では,機械学習を援用し実効雨量を説明変数とした河川水位予測モデルを提案するとともに,局所洗掘の進展に応じた橋脚の残存耐力評価モデルを提案する.これらモデルを組み合わせることで,気象変動により変動する河川水位および局所洗掘の進展に応じた橋脚の残存評価が可能となる.
著者
若林 佑介 棟近 雅彦 梶原 千里 高橋 良輔
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.229-239, 2017-11-10 (Released:2018-05-26)
参考文献数
29

Hospitals need to introduce and promote Business Continuity Management (BCM) to continue providing medical care during a disaster. Methods of introducing and promoting BCM have been presented in various documents including published international standards. However, they are abstract and definitive procedures have not been specified. In this study, we actually introduced BCM into Hospital X and extracted the problems in introducing BCM. We then investigated methods to solve the identified problems and propose introduction method of BCM. By using the proposed method, we can introduce BCM more effectively than possible previously and gradually build BCM.
著者
中屋 愼 北村 進一 水野 淨子 庄條 愛子 藤原 永年 小谷口 美也子 高橋 良輔
出版者
大阪府立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2017-08-25

葉菜類であるクレソンはさまざまな健康増進効果をもつことが知られているが、そのメカニズムなど科学的根拠が明確には示されていない。我々はクレソンがもつ食品の3次機能(健康機能性)を調べ、クレソンが脂質代謝改善効果を示すことを動物実験により明らかにし、さらにこの改善効果をもたらす機能性成分を調べた。その結果、フェネチルイソチオシアネートおよび1,3-ジフェネチルウレアである可能性が高いことが分かった。特に、1,3-ジフェネチルウレアは、微量でありながら強い改善効果を示したことから、クレソンに含まれる主要かつ新規な機能性成分であると考察している。
著者
山中 宏二 小峯 起 高橋 英機 三澤 日出巳 内匠 透 錫村 明生 竹内 英之 高橋 良輔 山下 博史 遠藤 史人 渡邊 征爾
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

筋萎縮性側索硬化症(ALS)のモデルマウスを用いて、グリア細胞の一種であるアストロサイトの異常に着目して研究を行った。ALS患者・マウスのアストロサイトでは、サイトカインTGF-β1が異常に増加し、グリア細胞による神経保護環境を阻害することにより、病態を加速していることが判明した。TGF-β1の阻害剤投与により、ALSマウスの生存期間が延長したことから、TGF-β1はALSの治療標的として有望であると考えられた。また、ALSマウスの病巣では異常に活性化したアストロサイトが見られ、その除去機構として、自然免疫分子であるTRIFが関与するアポトーシスが関与していることを見出した。
著者
木村 公俊 北條 浩彦 福岡 聖之 佐藤 和貴郎 高橋 良輔 山村 隆
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.390a, 2016 (Released:2016-09-03)

エクソソーム(exosome)は細胞間情報伝達に関わる微小胞で,miRNA等を内包している.miRNAはT細胞分化を含めた免疫機構に深く関わっており,多発性硬化症(MS)等の自己免疫疾患においてexosomeの関与が推察される.本研究では,血漿中exosomeに含有されるmiRNAを解析し,健常人に比してMS患者において発現が亢進しているmiRNA 4種(miR-A, B, C, D)を同定した.また,T細胞にMS患者由来のexosomeを添加・培養すると,健常人由来のexosome群に比して制御性T細胞の頻度が低下した.制御性T細胞の頻度は,添加されたexosome中のmiR-Aの量と逆相関していた.また,T細胞へのmiR-Aの導入で,同様に制御性T細胞が減少した.さらに,naive CD4 T細胞から制御性T細胞への分化誘導時にも,miR-Aの導入で頻度が低下したことから,miR-Aは制御性T細胞の分化を阻害すると推察された.次に,制御性T細胞の減少に関与すると考えられる,miR-Aのターゲット遺伝子候補を検討し,miR-A導入によるprotein-Aの発現低下を確認した.また,protein-A発現をsiRNAで阻害すると,制御性T細胞が減少することを確認した.実際に,MS患者の末梢血CD4 T細胞において,protein-Aの発現低下を認めた.さらに,MS患者では制御性T細胞が減少しており,その頻度とnaive CD4 T細胞のprotein-Aの発現量に正の相関を認めた.本研究により,miRNAと制御性T細胞の分化抑制を介した,exosomeによる新たな疾患メカニズムが示唆された.
著者
高橋 良輔 芝崎 厚士 山崎 望 大庭 弘継 川名 晋史 今井 宏平 伊藤 丈人 佐藤 史郎 中内 政貴
出版者
青山学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

当初の研究計画では最終年度となる平成29年度は、総括的研究を実施した。そのため共同研究の焦点は、”政治的資源としての時間”の位相の解明/時政学の構築に置かれている。研究推進の具体的方法としては、基礎的研究段階で各研究者が提示した研究構想に沿って課題を追究する個別研究と、その研究の進捗状況について報告・討議を行う研究会という二つの側面から実施された。まず平成29年8月24日(木)13:00-18:00 青山学院大学で開催された第5回研究会では、前半で研究アプローチについて検討したうえで、個別の研究状況を報告・討議を行い、時政学研究の成果公開の方法について協議をしている。当日のプログラムは以下の通り。1.前回までの研究会の振り返り&時政学研究のアプローチについての確認、2.個別研究(事例班)からのご報告:大庭先生/今井先生/八木先生(各自20分程度で個別の時政学研究についてご報告いただき、20分程度の議論)、3.時政学研究の成果についての検討、4.共著書刊行の検討、5.今後のスケジュールについて、6.その他。また平成30年1月28日(日)13:00―18:00に青山学院大学で開催された第6回研究会では、個別研究の報告を踏まえて、共著書企画案の共有・執筆者アンケートの共有、研究アプローチの類型化を行っている。当日のプログラムは以下の通り。1.個別研究からのご報告と討論(佐藤先生、伊藤先生 各20分報告+質疑応答)、2.共著書企画案のご説明、3.執筆者アンケ―トの共有、4.共著書構成および研究アプローチの検討、5.その他(今後のスケジュール・研究会開催など)。上記2回の研究会の結果、共同研究の成果を4つの類型に整理したうえで、ミネルヴァ書房からの共著書刊行を目指すことが合意された。
著者
武田 俊一 廣田 耕志 山田 亮 岡田 徹也 笹沼 博之 清水 宏泰 清水 宏泰 高橋 良輔
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

変異原性化学物質をハイスループットに検出するバイオアッセイを、ニワトリDT40細胞由来のゲノム編集細胞(DNA損傷修復遺伝子の欠損細胞)を使って創った。開発した試験の妥当性を、米国National Toxicology Program (NTP) の化学物質ライブラリー(約10,000種類)を解析した。感度および特異性ともに高いことが示された。上記の変異原性試験は、ニワトリ細胞を使っていることを問題点として指摘された。そこでCRISPR/Cas9手法を使い、OECD諸国政府が変異原性化学物質検出に使う標準ヒト細胞株(TK6)をゲノム編集し、DNA損傷修復遺伝子の欠損細胞を創った。
著者
西谷 真規子 庄司 真理子 杉田 米行 宮脇 昇 高橋 良輔 足立 研幾 大賀 哲
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008-04-08

本研究では、国際規範の発展における規範間の競合または複合のプロセスを明らかにすることを目的とした。グローバル、リージョナル、ナショナルの各レベルにおいて、①規範的アイディアの競合や複合が、どのような制度変化をもたらすか、②多様な行為主体(国家、国際機構、市民社会、企業等)が競合または複合の過程にどのように関っているか、または、競合や複合から生じる問題をどのように調整しているか、の二点を中心的な問いとして、事例分析を行った。成果は、国際・国内学会発表や論文発表を通じて逐次公開した。最終的には、編著『国際規範の複合的発展ダイナミクス(仮題)』(ミネルヴァ書房)として近刊予定である。
著者
野村 靖幸 大熊 康修 高橋 良輔 金子 雅幸 友部 浩二 篠塚 達雄 出雲 信夫 殿岡 啓子 浜名 洋
出版者
横浜薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

HRD1は小胞体の変性タンパク質の分解を促進し、アルツハイマー病の原因タンパク質アミロイドβの前駆体APPを基質とする。本研究では、アルツハイマー病患者脳においてHRD1が酸化ストレスにより不溶化することで減少する可能性を示した。また、HRD1と類似した新規の酵素について、Aβの産生に関与するものを新たに見出した。さらに、タンパク質の凝集を阻害することで、パーキンソン病に関連したタンパク質の蓄積を防ぐ薬物を作成した。