著者
北田 雅子
出版者
札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
雑誌
札幌学院大学総合研究所紀要 = Proceedings of the Research Institute of Sapporo Gakuin University (ISSN:21884897)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.37-45, 2017-03

本研究では,バーンアウトの予防要因として個人的要因,面談技術の向上について検討するために,面談スキルの向上ならびに面談技術の習得として動機づけ面接に着目した.2014年から2015年にかけて動機づけ面接に関連する研修会およびワークショップに参加した専門職を対象に自記式調査を行い,動機づけ面接が,対人援助職のバーンアウトの予防に対してどのような影響を与えるかについて,横断的調査から示唆を得ることを目的とした.その結果,動機づけ面接を面談の中に取り入れている群の方が,面談ストレス,仕事負担度が有意に低く,バーンアウト尺度の3つの下位尺度の中の「個人的達成感」という項目が有意に高いことが明らかとなった.以上の事から,動機づけ面接を面談に取り入れることが,対人援助ストレスの軽減に貢献する可能性が高い.今後さらに縦断調査を経てバーンアウト予防のメカニズムを明らかにする必要があると考える. In this study, we focused on motivation interviewing as an improvement of interview skills and acquisition of interview skills in order to examine improvement of individual factors and interview technique as a prevention factor of burnout.A self-questionnaire survey was conducted for human services workers who attended workshops related to motivational interviews from 2014 to 2015. The purpose of this study was to obtain suggestions about how MI helps to prevent Burnout for human services workers from a cross-sectional survey. As a result,the group who use the motivational interviewing in daily interview,the interview stress and the work burden were significantly lower than the group who did not use MI. And the item of "personal accomplishment"in the three subscales of the burnout scale was revealed that score of MI use group was significantly higher than others group. This study showed that using MI into an interview will contribute to reduce the stress related interpersonal assistance. We need to necessary to clarify the mechanism of burnout prevention through further RCT study.論文
著者
北田 雅子 望月 友美子
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.153-161, 2014 (Released:2015-01-13)
参考文献数
17

目的:本稿では,第21回ヘルスプロモーション・健康教育国際連合(IUHPE)世界会議において報告されたタバコ規制に関する調査研究の動向を概観し,世界のタバコ規制の現状と今後の方向性を考察するとともに,日本の課題を検討することを目的とした.方法:学会抄録附属DVDを用い,タバコ規制に関する発表88演題(口頭発表,ワークショップおよびポスター)の抄録を全てレビューした.結果:演題内容は,タバコ規制の政策や戦略24,若者や未成年の喫煙防止13,禁煙サポート18,受動喫煙からの保護20,メディアやマーケティングによるタバコ規制等13であった.世界会議開催国タイからの演題は44と全発表の半数を占めた.これらの演題レビューの結果から,世界のタバコ規制は2005年に発効したFCTCにより,その取り組みが一気に加速しており,国家レベルで包括的な取り組みが展開されていることが明らかとなった.結論:日本の今後の課題は,他国のようにFCTCに沿ったタバコ規制を国内で推し進めることである.そのためには,ヘルスプロモーションの専門家は,一般市民のタバコリテラシーの向上を目指し,タバコ産業の活動(特に社会貢献活動,CSR)に抗する対策を考え,タバコの害から全ての人を守るための「政策決定の橋渡し(アドボカシー)」の役割を果たすことが必要であると思われた.