著者
齋藤 小豊 星野 健 鈴木 順 山内 広平 井上 洋西 千葉 俊美 折居 正之 鈴木 一幸
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.1025-1032, 2008-12-01

潰瘍性大腸炎(以下,UC)では,ストレスとの関連が以前より指摘されている.そこでストレスの指標の1つとされている唾液中クロモグラニンA濃度(以下,CgA)をUC患者と正常対照で計測し,その後各種心理検査(SDS,STAI,POMS)と疾患特異的QOL質問票であるIBDQも行った.UC患者の唾液中CgAは,正常対照と比較して高い傾向があったが有意差はなかった.研究導入時の重症度で分けても,軽症と中等症で唾液中CgAに有意差はなかった.しかしステロイド抵抗性の難治群では正常対照より有意に唾液中CgAが高値であり(p=0.021),非難治群と比べても高値だった(p=O.O13).難治性UC患者でストレスの関与が示唆され,唾液中CgAはその評価方法となることが示唆された.
著者
千葉 俊美
出版者
岩手医科大学歯学会
雑誌
岩手医科大学歯学雑誌 (ISSN:03851311)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.133-139, 2019-03-29 (Released:2020-02-06)
参考文献数
18

症例は80 歳代女性.主訴は意識障害である.既往歴は 61 歳からラクナ梗塞の診断でバイアスピリンを内服しており,70 歳から慢性気管支炎で加療中である.本学歯科外来で義歯調整中に突然意識消失が出現し,直後にいびきと食物残渣の嘔吐を頻回認めた.歯科治療における薬剤の投与はなく,観血的治療も行っていなかった.意識障害のレベルは Japan Coma Scale で3桁であり,意識消失直後は最高血圧が 90mmHg 台まで低下し,経皮的動脈血酸素飽和度も 90% 前半まで低下したため,院内救急コールで救急外来に搬送となった.血液検査では血清 CRP 値の軽度上昇を認め,頭部CT 検査所見で両側大脳半球に低吸収域を認めたが,神経学的所見に明らかな異常を認めず,神経調節性失神の疑いの診断となった.本邦の歯科病院における救急症例数の発生頻度は 0.003-0.009% で,原因としては異常血圧上昇,異物誤嚥誤飲,血管迷走神経反射,過換気症候群の順である.救急症例発生時の迅速な対応は患者の予後を左右するため,常に患者の容体急変時の対処法の知識および技術の維持が求められる.
著者
千葉 俊美
出版者
日本医事新報社
雑誌
jmed mook = jmed mook
巻号頁・発行日
no.40, pp.19-21, 2015-10
著者
千葉 俊美
出版者
岩手医科大学歯学会
雑誌
岩手医科大学歯学雑誌 (ISSN:03851311)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.133-139, 2019

<p>症例は80 歳代女性.主訴は意識障害である.既往歴は 61 歳からラクナ梗塞の診断でバイアスピリンを内服しており,70 歳から慢性気管支炎で加療中である.本学歯科外来で義歯調整中に突然意識消失が出現し,直後にいびきと食物残渣の嘔吐を頻回認めた.歯科治療における薬剤の投与はなく,観血的治療も行っていなかった.意識障害のレベルは Japan Coma Scale で3桁であり,意識消失直後は最高血圧が 90mmHg 台まで低下し,経皮的動脈血酸素飽和度も 90% 前半まで低下したため,院内救急コールで救急外来に搬送となった.血液検査では血清 CRP 値の軽度上昇を認め,頭部CT 検査所見で両側大脳半球に低吸収域を認めたが,神経学的所見に明らかな異常を認めず,神経調節性失神の疑いの診断となった.本邦の歯科病院における救急症例数の発生頻度は 0.003-0.009% で,原因としては異常血圧上昇,異物誤嚥誤飲,血管迷走神経反射,過換気症候群の順である.救急症例発生時の迅速な対応は患者の予後を左右するため,常に患者の容体急変時の対処法の知識および技術の維持が求められる.</p>
著者
岩切 龍一 田中 聖人 後藤田 卓志 岡 志郎 大塚 隆生 坂田 資尚 千葉 俊美 樋口 和秀 増山 仁徳 野崎 良一 松田 浩二 下野 信行 藤本 一眞 田尻 久雄
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.1370-1396, 2018 (Released:2018-07-20)
参考文献数
160
被引用文献数
1

日本消化器内視鏡学会は,内視鏡診療ガイドライン作成作業の一環として,消化器内視鏡の洗浄・消毒標準化にむけたガイドラインを作成した.本邦と欧米先進国では消化器内視鏡医療の環境が異なる.欧米先進国では消化器内視鏡の施行は,ほぼ専門施設に限られ,厳格な洗浄・消毒の既定が遵守されている.本邦では小規模クリニックでも消化器内視鏡が行われ,年間に行われる消化器内視鏡数は膨大な数になる.内視鏡の洗浄・消毒法も医療機関によって差が認められるのも事実である.洗浄・消毒に関しての根拠は,エビデンスが乏しいのも事実であるが,内視鏡医療の発展のためにも消化器内視鏡の洗浄・消毒の標準化が必要である.
著者
猪股 正秋 照井 虎彦 遠藤 昌樹 久多良 徳彦 千葉 俊美 折居 正之 鈴木 一幸
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.1556-1567, 2005

内視鏡的十二指腸乳頭括約筋切開術(endoscopic sphincterotomy;以下EST)において出血を避けるためには,切開方向,高周波の出力波形の問題に加え,切開線周囲の凝固層の範囲をコントロールすることが重要である.切開方向は11時から12時の間,出力波形は切開波を選択する.通電は断続的に行い,(1)初期凝固の形成→(2)火花放電による切開→(3)通電の休止による冷却の過程を繰り返す.この断続的切開により,切開波のみでも一定の凝固層を形成しながらの切開が可能となる.ハチマキ襞付近までは膵管口へのダメージの防止を優先し,迅速な切開で凝固層の範囲を最小限にとどめる.ハチマキ襞より口側への切開では径の太い動脈枝の存在する可能性があり,十分な凝固層を形成させつつゆっくりと切開する.切開の過程では「メスが走る」事態に注意する.「メスが走る」事態を避けるためには,ブレードを張りすぎず押しつけ過ぎないことに加え,(1)漏電を回避する,(2)ブレードと組織の接触面積を極力小さくする,(3)「counter traction」の3点に留意し,切開がスムーズに開始されるようにすることが重要である.