著者
南山 泰之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.11, pp.533, 2020-11-01 (Released:2020-11-01)

2020年11月号の特集は「DX時代の情報管理と法情報リテラシー」です。近年,データの持つ価値が資産として強く認識されるにつれ,情報管理に関わる法制度の整備も急速に進みつつあります。それに伴い,情報管理業務もこれまで以上に複雑化しており,従来までの知的財産の保護という観点のみならず,データを積極的に利活用する視点が強調されるようになってきました。しかしながら,従来インフォプロの業務とされてきた情報検索,情報管理業務を,どのように発展させていけばよいのか,どのような取り組みが求められるのか,については試行錯誤が繰り返されている段階と言えそうです。そこで,本特集では6名の専門家へご執筆をお願いし,具体例から関連する法制度を概観することで,今後のインフォプロ業務の方向性を考えるアプローチを企図しています。まず初めに,インフォプロが法情報を調べ,読み解くために必要な知識と手法を振り返る観点から,岩隈道洋氏(中央大学国際情報学部)に法情報リテラシーに関する詳細なご解説をいただきました。続いて,市毛由美子氏,濱中利奈氏(のぞみ総合法律事務所)からは,令和2年4月より本格的に施行された民法改正の影響を踏まえ,アジャイル型ソフトウェア開発における契約の在り方について詳細な解説と実践事例をご紹介いただきました。佐藤有紀氏(創・佐藤法律事務所 丸の内オフィス),砂田有史氏(創・佐藤法律事務所)からは,昨今注目を集めている情報銀行の概要,及び導入に当たり事業者視点での注意点を詳細にまとめていただきました。中崎隆氏(中崎・佐藤法律事務所)からは,企業におけるデータ戦略の構築の重要性と,法務的観点から見た留意点や具体的事例をご紹介いただきました。本特集が,情報管理における昨今の動向を把握し,今後インフォプロがどのように向き合っていくべきかを議論するための一助となることを期待します。(会誌編集担当委員:南山泰之(主査),海老澤直美,今満亨崇,野村紀匡,水野澄子,中川紗央里)
著者
常川 真央 朝岡 誠 大波 純一 河合 将志 林 正治 南山 泰之 藤原 一毅 込山 悠介
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-51, no.10, pp.1-11, 2020-08-27

学術機関における IT センターや図書館が提供するリサーチデータマネージメント (RDM) サービスは,の研究活動を支援するサービスであり,研究データのライフサイクルを形成できるように設計されていることが重要である.特に,RDMサービスは,研究者の研究活動に密着したサービスであり,従来の論文検索サービスのように,研究者に直接提供されるサービスだけでなく,研究者に間接的に提供される研究支援サービスとの高度な連携も必要になる.そのためには,RDM サービスに関連するシステムの開発担当者が共通のユーザーストーリーを有し,円滑に連携できるように機能を設計する必要がある.そこで,本研究では RDM サービスの事例研究として,ユーザーの研究活動の適合性という観点から筆者らが開発する研究データ基盤である NII Research Data Cloud (NII RDC) のシステム機能要件を検討した.検討にあたってはユーザー中心設計の理念に則り,(1) NII RDC が想定するユーザーストーリーの集約 (2) ペルソナマーケティング (3) ユーザーストーリーマッピングを実行した.その結果,RDM サービスのシステム機能要件として,研究計画に沿った研究データ環境の構成や,研究終了後の研究データ公開プロセスに関する機能について,単純にシステム間の接続だけでなく,キュレーションの業務プロセスの共有など,高度な支援が必要であることが分かった.今後の展望としては,NII RDC の基盤間連携にあたり相互運用性を高めるための API や共通データモデルの策定などを検討したい.
著者
南山 泰之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1, 2020-01-01 (Released:2020-01-01)

2020年初の特集は「東京オリンピック1964-2020」です。今年は東京オリンピック・パラリンピックが大きな社会的テーマの一つとなることに疑いはなさそうです。ウェブ記事や新聞に留まらず,学術雑誌でも特集テーマが組まれるほど幅広い影響があり,弊誌でも本テーマを取り上げることになりました。本特集では進化する情報技術や標準化技術を用いた取り組みを中心に紹介しつつ,1964年東京オリンピックとの比較も随所に交えながら,多様な角度からオリンピック・パラリンピックに関わる情報へ光を当てていくことを企図しています。このような企画趣旨のもと,今回は5名の方々にご執筆をお願いしました。黒田優香氏(一般財団法人日本規格協会)からは,オリンピック・パラリンピックにおける案内用図記号の活用につきご紹介いただきました。松本祐一氏(東京都オリンピック・パラリンピック準備局)からは,オリンピック・パラリンピック期間における交通網のマネジメントに関する取り組みをご紹介いただきました。渡邉英徳氏(東京大学大学院情報学環)からは,デジタルアース・コンテンツ「東京五輪アーカイブ1964-2020」の制作と活用事例をご紹介いただきました。福嶋聖淳氏(国立国会図書館関西館)からは,国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)によるオリンピック・パラリンピック関連サイト保存の取り組みを中心にご紹介いただきました。本橋充成氏(総務省情報通信政策課)からは,オリンピック・パラリンピックを背景に総務省が推進するICT化アクションプランにつきご紹介いただきました。オリンピック・パラリンピックを支える社会的/文化的なインフラに目を向けると,そこには本特集でご紹介するような思いがけない技術の粋が込められています。本特集が読者の皆様に新たな視点を提供し,東京オリンピック・パラリンピックをより楽しむための一助となることを期待します。(会誌編集担当委員:南山泰之(主査),今満亨崇,渋谷亮介,當舎夕希子)
著者
南山 泰之
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.103, pp.16-23, 2016-03-04 (Released:2017-09-29)

近年,オープンサイエンスに関する議論を契機として,組織的な研究データ管理の必要性が高まりつつある。本稿では,国内外の研究データ管理の動向を概観しつつ,研究データ管理は大学図書館が取り組むべき課題であることを指摘する。続いて,研究データリポジトリ運営に向けた検討を加え,国内における研究データ管理・支援に向けた課題や取り組みを紹介しつつ,保存・整理の専門家として大学図書館員に今後求められる能力やサービスを考察する。
著者
南山 泰之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1, 2019-01-01 (Released:2019-01-01)

2019年初の特集は「インフォプロのキャリアパス」です。インフォプロの「働き方」や「人材育成」というテーマは,弊誌でも度々特集を組んできており,近年では2016年12月号に「インフォプロの仕事術」,2017年8月号には「図書館の人材育成」について取り上げました。INFOSTA界隈では日常的に使われる言葉であり,インフォプロとはどういう人か,何らかのイメージをお持ちの方も多いと思います。しかしながら,インフォプロは「情報専門家:Information Specialist」とどう違うのでしょうか。また,客観的には何をもって「インフォプロになった」と言えるのでしょうか。INFOSTAでも度々シンポジウム等で議論を重ねておりますが,未だに統一的な見解は生まれていない,と言わざるを得ないようです。しかしながら,Googleの登場,AI技術の進展などを背景に,従来までの検索技術者や図書館員などの役割が変容せざるを得ない中,「インフォプロ」を再定義しその専門性をもって情報を発信することは,今後もインフォプロであり続けるために急務と言えるのではないでしょうか。このような問題意識のもと,今回の特集では従来の「インフォプロのような人」の枠組みだけではなく,より広範な「様々な情報専門職のキャリアパス」という視点から現在の「インフォプロ」の全体像を外延的に素描することを試みています。具体的には,背景の異なる5名の方々:1)サーチャー(アズテック株式会社 橋間渉氏),2)アナリスト(旭化成株式会社 和田玲子氏),3)システムベンダー(あるいはシステム・ライブラリアン)(株式会社ブレインテック 関乃里子氏),4)サブジェクト・ライブラリアン(ミシガン大学 横田カーター啓子氏),5)アーキビスト(アーカイブズ工房 松崎裕子氏),にご執筆をお願いし,ご自身や有識者,あるいは職場でのバラエティに富んだ経験を寄せていただいております。さらに,本特集に合わせた特別企画として,INFOSTA三役による特別座談会の記録を掲載しています。「インフォプロ」について自由に思うことを述べていただいた本座談会は,INFOSTAが推し進めてきた「インフォプロ」の歴史を振り返り,現在を見つめるための一つの材料を提供するものと考えています。本特集が,情報を取り扱う専門職の方々の相互理解や交流を促進し,ポジティブな未来を描くための議論の一助となることを期待します。(会誌編集担当委員:南山泰之(主査),長屋俊,寺島久美子,光森奈美子,稲垣理美)
著者
梅村 宜生 田中 良昌 中野 慎也 南山 泰之 阿部 修司
巻号頁・発行日
2018-06-18

Japan Open Science Summit 2018(JOSS2018)2018年6月18日(月)・19日(火)学術総合センター主催:国立情報学研究所、科学技術振興機構、物質・材料研究機構、科学技術・学術政策研究所、情報通信研究機構、学術資源リポジトリ協議会
著者
南山 泰之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.441-441, 2017-09-01 (Released:2017-09-01)

2017年9月の特集は「データベースの設計,構築,活用」です。「データベース」の定義は,著作権法第二条の十の三によれば「論文,数値,図形その他の情報の集合物であつて,それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの」とあります。また,データベースは一定の要件のもと,著作物として保護されることが定められており(同法第十二条の二),データが体系的に集まることで新たな価値を生むことは法的にも自明となっています。では,望ましい「体系化」とはどのようなものでしょうか。データは検索するためだけではなく,そのデータを利活用する,あるいは長期保存するために整理されますが,その構造は一様ではありません。データのサイズやフォーマット,あるいは社会的な配慮を要するデータの存在など,データベースの構造は形式面,内容面の違いに大きく依存します。そして,近年におけるデータベースに関わる理論面の進展やその実践によって,データベースに求められる機能や得られる価値も変わり始めています。「望ましい」体系化は,今どう移り変わっているのでしょうか。本特集では,上記のようなデータベースの変容を多角的に見つめ,その潜在的な価値を再考するという特集趣旨のもと,7人の方々から異なる視点の論考をいただきました。データベースを「設計」する,という視点において,慶應大学文学部の谷口祥一氏からは,データベースを設計するための概念モデル構築について論考をいただきました。また,株式会社教育測定研究所の西原史暁氏からは,利活用を前提としたデータ形式の設計に役立つ「整然データ」の概念につき,詳細な解説をいただきました。データベースを「構築」する,という視点において,北海少年院庶務課の那須昭宏氏からは,刑事情報連携データベースの構築事例についてご寄稿いただきました。また,国立国会図書館電子情報部の木目沢司氏,情報通信研究機構の村山泰啓氏からは,データの長期保存の事例としての国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)の利用や,電子情報の長期保存の規格であるOAIS参照モデルに関する考察をいただきました。最後に,データベースを「利用」する,という視点において,OKA情報技術コンサルテーションの岡紀子氏からは,「データベースの検索」を根底においた検索の歴史,技術やノウハウの紹介をいただきました。また,東邦大学習志野メディアセンターの眞喜志まり氏からは,医学・薬学系分野の出版特性を反映したデータベースの検索手法につき,詳細な解説をいただきました。いずれも,様々なデータを背景に構築されたデータベースのあり方が現された論考であり,「ある単一の検索システムをデータベースと呼ぶ」伝統的な理解を超える幅広さが示されています。本特集が,広くデータの取り扱いに関心のある全ての方々にとって,「データベース」をより深く理解し,今後のあり方を考える一助となることを期待します。(会誌編集担当委員:南山泰之(主査),増田智子,長屋俊,水野翔彦)
著者
三角 太郎 南山 泰之 青山 俊弘 香川 朋子
出版者
機関リポジトリ推進委員会

期間:2016年3月1日~3日会場:一橋大学一橋講堂(日本, 東京)
著者
南山 泰之
出版者
機関リポジトリ推進委員会

日時:2016年2月22日~25日場所:オランダ アムステルダム Mövenpick Hotel