著者
藤原 一毅 鯉渕 道紘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.8, pp.1903-1912, 2013-08-01

スーパコンピュータの大規模化が進むにつれ,通信遅延が並列アプリケーションの性能に及ぼす影響が無視できなくなっている.このため,高次数スイッチを前提とした低遅延なネットワークトポロジーの活用が注目されている.これまでの研究で我々は,ランダムなショートカットリンクをもつトポロジーが低遅延性の点で優れていることを明らかにした.このようなランダムトポロジーは,一方で,ハイパキューブなどの規則的なトポロジーに比べて配線が非常に長くなるという問題を抱えていた.本研究において我々は,(1)不均一なランダムショートカットリンクを単純なトポロジーに付加し,(2)ラックレイアウトを施設配置問題として最適化することで,低遅延性を維持したまま総配線長を最大29%削減できることを示す.
著者
朝岡 誠 林 正治 藤原 一毅 岩井 紀子 船守 美穂 山地 一禎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.168-175, 2020-05-23 (Released:2020-06-26)
参考文献数
18

研究データの再利用を促進するためには,単純な公開だけではなく,条件付き公開(制限公開)に対するニーズを満たしたシステム基盤の整備が不可欠である.本研究では,制限公開データを提供している機関のワークフローを調査し,研究データを提供するフローの類型化を行った.さらに,汎用的なリポジトリシステムWEKO にその機能を実装し,JGSS 研究センターの制限公開ワークフローをシミュレートすることでその運用を検討した.
著者
後藤 丹十郎 石井 真由美 藤原 一毅
出版者
岡山大學農學部
巻号頁・発行日
no.100, pp.25-29, 2011 (Released:2012-12-03)

ブプレウルム(Bupleurum rotundifolium L.)は,種子のロットによって発芽や生育が異なることが生産上大きな問題となっている。本実験では種子のロット(No.021793,025090,026247,027668)および採種時期が生育,発芽および開花に及ぼす影響を調査した。ロットによって発芽率は異なった。発蕾および開花は025090で最も早く,026247で最も遅く,027668と021793はその中間だった。自家採種種子は採種時期により発芽が異なり,6月中旬から7月上旬の高温期に採種した種子は発芽率が著しく高かった。しかし,高温期採種種子は著しく開花が遅れ,節数が多く,切り花品質が低下したのに対し,低温期採種種子は開花が早く,切り花形質が優れる傾向があった。種子のロットによって生育や開花が異なった。親個体のロットによる違いがほとんど認められなかったので,採種種子の性質の違いは親個体のロットによる違いよりも採種時期の環境条件の方が大きく影響していると考えられた。
著者
朝岡 誠 林 正治 藤原 一毅 岩井 紀子 船守 美穂 山地 一禎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.168-175, 2020

<p> 研究データの再利用を促進するためには,単純な公開だけではなく,条件付き公開(制限公開)に対するニーズを満たしたシステム基盤の整備が不可欠である.本研究では,制限公開データを提供している機関のワークフローを調査し,研究データを提供するフローの類型化を行った.さらに,汎用的なリポジトリシステムWEKO にその機能を実装し,JGSS 研究センターの制限公開ワークフローをシミュレートすることでその運用を検討した.</p>
著者
藤原 一毅 常川 真央 合田 憲人 山地 一禎
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-51, no.11, pp.1-8, 2020-08-27

オープンサイエンスの普及にともない,公開された研究成果を第三者が容易に再現・再利用できるシステムが各所で開発されている.一口に「研究成果の再現・再利用」と言っても,対象ユーザー(汎用的なもの/特定の研究分野に特化したもの)や再現すべき事物(データ来歴を保証する/計算精度を保証する/etc)の点で各システムは性格を異にし,それぞれに特化したデータモデルを持っている.国立情報学研究所(NII)では,研究データ管理サービス NII Research Data Cloud(RDC)の一環として,研究成果の再現・再利用をサポートするデータ解析サービスを構想している.本サービスは,研究データ管理計画やデータリポジトリなどの関連システムと統合された一体的なユーザー体験の提供を目指している.その中で,関連システムとの連携にどのようなデータモデルを用いるべきかは,データ解析サービスが何を/誰を対象とするのかとも密接に関わる問題であり,サービスの将来像を踏まえて俯瞰的に検討するべき課題である.本稿では,研究再現性をサポートする既存システムの設計をサーベイするとともに,NII RDC データ解析サービスが持つべきデータモデルに関する検討内容を報告する.
著者
常川 真央 朝岡 誠 大波 純一 河合 将志 林 正治 南山 泰之 藤原 一毅 込山 悠介
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-51, no.10, pp.1-11, 2020-08-27

学術機関における IT センターや図書館が提供するリサーチデータマネージメント (RDM) サービスは,の研究活動を支援するサービスであり,研究データのライフサイクルを形成できるように設計されていることが重要である.特に,RDMサービスは,研究者の研究活動に密着したサービスであり,従来の論文検索サービスのように,研究者に直接提供されるサービスだけでなく,研究者に間接的に提供される研究支援サービスとの高度な連携も必要になる.そのためには,RDM サービスに関連するシステムの開発担当者が共通のユーザーストーリーを有し,円滑に連携できるように機能を設計する必要がある.そこで,本研究では RDM サービスの事例研究として,ユーザーの研究活動の適合性という観点から筆者らが開発する研究データ基盤である NII Research Data Cloud (NII RDC) のシステム機能要件を検討した.検討にあたってはユーザー中心設計の理念に則り,(1) NII RDC が想定するユーザーストーリーの集約 (2) ペルソナマーケティング (3) ユーザーストーリーマッピングを実行した.その結果,RDM サービスのシステム機能要件として,研究計画に沿った研究データ環境の構成や,研究終了後の研究データ公開プロセスに関する機能について,単純にシステム間の接続だけでなく,キュレーションの業務プロセスの共有など,高度な支援が必要であることが分かった.今後の展望としては,NII RDC の基盤間連携にあたり相互運用性を高めるための API や共通データモデルの策定などを検討したい.
著者
横山 重俊 浜元 信州 長久 勝 藤原 一毅 政谷 好伸 竹房 あつ子 合田 憲人
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-51, no.8, pp.1-7, 2020-08-27

データ駆動型科学研究分野で研究データの再利用を進めるためには,研究データの公開だけではなく,論文成果につながる実験結果にたどり着くまでの実験プロセス(実験手順や実験環境構築手順)を公開し共有する必要がある.これらが揃うことで,第三者である別の研究者がいつでも研究データを再利用し,研究の再現検証が可能となる.さらに,そのオリジナル研究に加えて自らの研究を派生させることがスムーズにできるようになる.本稿では,その実験プロセスをコミュニティで共有する方式に関する検討内容と今回提案する方式について述べ,その実装例および研究再現例についても報告する.