著者
上田 実 入江 一浩 渡邉 秀典 品田 哲郎 小林 資正 叶 直樹 岡本 隆一 松永 茂樹 井本 正哉 半田 宏 渡辺 肇 佐々木 誠 木越 英夫 西川 俊夫 石橋 正己
出版者
東北大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

共同研究による本学術領域の推進により、多くの天然物の標的決定が行われた。これは、天然物化学者と生物学者の共同研究によって、ビーズテクノロジーの天然物への応用が拡大したこと、ならびに数多くの標的同定法が試行されたためである。これらの成果によって、多くの天然物が種標的と同時に複数のオフターゲットと結合することが明らかになった。天然物リガンドは、従前の理解のように、生体内において「鍵と鍵穴」の様に極めて特異性の高い作用機構を持つのではなく、生体内で「鍵束」のように機能し、複数の錠前と相互作用することを示している。本領域の研究成果によって、天然物リガンドの作用に関する理解は大きく変化したと言える。
著者
叶 直樹 吉木 美穂 茨木 駿志
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.736-740, 2021 (Released:2021-08-01)
参考文献数
25

近年,タンパク質の分解を誘導する有機分子が,疾患治療の新しいモダリティとして注目を集めている.PROTACと総称されるこの新しい創薬モダリティは,様々なタンパク質の分解誘導が可能であり,タンパク質異常が原因の疾患で苦しむ患者や,治療に難渋する医療者に対し,新しい治療薬の選択肢となることが期待されている.本稿では,最新のPROTAC研究の動向を,論文報告された分子の特徴と活性・性能評価の観点から紐解いた。