- 著者
-
吉成 浩一
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬理学会
- 雑誌
- 日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
- 巻号頁・発行日
- vol.134, no.5, pp.285-288, 2009 (Released:2009-11-13)
- 参考文献数
- 12
薬物動態学的な相互作用の多くは代謝に関連したものであり,その大半はチトクロムP-450(CYP)の酵素阻害に基づくものである.CYPの阻害様式は,1)複数の基質による競合阻害,2)薬物の窒素を含む複素環がCYP活性中心のヘム鉄に配位することによる非特異的阻害,3)反応性に富む代謝物がCYPと複合体を形成することで不可逆的に酵素を不活性化する阻害,に大別される.CYP阻害に基づく相互作用は,治療効果の変化や重篤な副作用の発現に繋がることがある.したがって,より安全な医薬品の開発には,代謝に関わるCYP分子種の同定と共に,CYP阻害作用が欠かすことのできない評価項目となっている.本稿では,CYPの阻害様式と阻害に基づく相互作用の発現機序について,具体例を挙げて解説するとともに,創薬における相互作用評価法について簡単に紹介する.