著者
山添 康 永田 清
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.103-112, 2002-03-10 (Released:2008-12-26)
参考文献数
11

Genetic polymorphism of drug metabolizing enzymes such as cytochrome P450 influences individual drug efficacy and safy through the alteration of pharmacokinetics and disposition of drugs. Considerable amounts of data are now accumulated for allelic differences of various enzymes. Here, current understanding of genotype information is summarized for their use on individual optimization of drug therapy.
著者
宮田 昌明 高野 泰樹 山添 康
出版者
日本環境変異原学会
雑誌
環境変異原研究 (ISSN:09100865)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.247-251, 2004 (Released:2005-12-24)
参考文献数
23

Co-intake of grapefruit juice with drugs results in a substantial increase in oral drug bioavailability. In contrast, DNA damage in target organ induced by a food-derived carcinogen, 2-amino-1-methyl-6-phenylimidazo[4,5-b]pyridine (PhIP), was reduced in rats by grapefruit juice intake. Aflatoxin B1-induced DNA damage was also suppressed in rats treated with grapefruit juice and an ethyl acetate extract of grapefruit juice. A significant decrease in hepatic CYP3A content, but not in CYP1A, CYP2C, glutathione S-transferase and microsomal epoxide hydrolase contents was observed in rats after grapefruit juice intake. No significant differences in the portal blood and liver concentrations of aflatoxin B1, nor in blood concentration of PhIP, were observed between control rats and rats ingesting grapefruit juice. Thus, grapefruit juice intake causes suppression of carcinogen-induced DNA damage at least in part through decreased metabolic activation in rat liver.
著者
山添 康
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第37回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.1, 2010 (Released:2010-08-18)

薬効解析が最も鋭敏な作用を指標に薬理作用を選抜するのに対して,過剰な薬物によって生じた混 乱にうごめく群衆の中から毒性箱の鍵を開けた者を見つけ出すような毒性機序の解析は指標を見つけ にくく,複雑で,多面的なアプローチを必要としている。このため毒性学における,化学物質の毒作 用の記述から機序の解明そして予測への歩みはゆっくりとしたものであった。 近年,機能タンパク発現機序の解析,in vitro手法の開発,分析手段の発展,網羅的手法の導入によっ て同時に起こる複数の生体内変化を,時間的推移を含めて知ることができるようになった。これら手 法の導入で毒作用の全体像を迅速に理解し,鍵を見つけることが可能になりつつある。 化学物質の毒作用にはしばしば種差が認められ,その現れ方にも相対的な感受性の差,標的臓器の 違い,さらには特定に種のみあるいはヒトでのみ毒作用が出現するような違いがある。このような違 いは,機序解析のツールとして利用されてきたが,一方でヒトにおける安全性評価を難しくしている 要因の1つでもある。 上記の手法の導入で,現在,動物種間の毒性感受性の違いを,特定機能の能力差として理解できる ようになってきている。毒性要因は,大きく薬理と動態に区別できるが,化学物質が起こす明瞭な種 差には両者がともに関与していることが多い。そこで分子レベルで毒性との関連解析が進んでいる薬 物および脂質の代謝動態の研究から幾つかの毒性事象を例に取り上げ,代謝能力の違いと毒性の種差 がどのように関連するのかを考察したい。
著者
畑 竜也 宮田 昌明 吉成 浩一 山添 康
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第38回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.20018, 2011 (Released:2011-08-11)

胆汁酸の肝内濃度上昇は細胞を障害し、肝障害を誘起する。このため、肝内の胆汁酸レベルは厳密に制御されている。肝内胆汁酸レベルは、肝臓におけるコレステロールからの胆汁酸の合成調節によって維持されている。近年、胆汁酸合成を抑制する因子として、回腸で発現するfibroblast growth factor (FGF) 15/19が注目されている。最近当研究室では、マウスへの抗菌薬投与時に認められる肝内胆汁酸レベルの上昇に、ヒトFGF19の相同分子種であるFGF15の発現低下が関与することを明らかにした。FGF15/19の発現は胆汁酸によって調節されると考えられているが、転写レベルの発現調節の機序に関しては不明な点が多い。そこで、本研究では、胆汁酸による転写レベルのヒトFGF19の発現調節を検討した。FGF19遺伝子のプロモーター領域約9 kbを含むレポーターコンストラクトを作製し、ヒト結腸がん由来LS174T細胞を用いてレポーターアッセイを行った。ヒトの主要胆汁酸のchenodeoxycholic acid (CDCA)を単独処置した時、コントロール群に比べて明確な応答が見られなかったが、同時に胆汁酸をリガンドとする核内受容体のfarnesoid X receptor (FXR)を細胞に発現させると、CDCA処置時に応答が見られた。次に、約9 kbのプロモーター領域を段階的に欠失させ、応答を解析したところ、複数の胆汁酸/FXR応答領域の存在が示唆された。また、ゲルシフトアッセイによりFXRの結合が確認された。さらに、本研究で見いだした胆汁酸/FXR応答領域とこれまでに報告されているFGF19遺伝子の第2イントロン上のFXR結合配列が胆汁酸によるFGF19遺伝子の転写活性化に対しどの程度寄与しているかレポーターアッセイにより検討した。その結果、本研究で見いだした胆汁酸/FXR応答領域を含むプロモーター領域のコンストラクトではCDCA/FXRで約8倍、第2イントロンを含むコンストラクトでは約4倍活性が上昇した。さらに、両コンストラクトを同時につなげた時は約16倍活性が上昇し、相乗的な作用が見られた。以上の結果より、胆汁酸はFXRを活性化し、第2イントロンのFXR結合配列のみならずプロモーター領域の複数のFXR応答領域を介して相乗的にFGF19遺伝子の転写を亢進している可能性が示された。