著者
飯田 嘉一郎 吉浦 紀晃
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2017-IOT-36, no.31, pp.1-8, 2017-02-24

近年では個人情報保護の意識が高まっており,個人情報を伏せたままの通信を可能にする匿名化通信が注目されている.匿名化通信を実現するもので最も普及しているのは Tor (The Onion Router) である.Tor はインターネットにおいて通信経路の匿名化を実現できるが,この匿名化の犯罪利用が非常に多く,早急な対策が必要とされている.本論文では,Tor を利用してインターネット掲示板に悪質な書き込みをするユーザを特定することを目的とする.本論文では,Tor の通信をキャプチャし,そのパケットの特徴を Fingerprint とする.この Fingerprint を利用して,掲示板ヘ書き込みを行ったユーザを特定するシステムを提案する.さらに,本論文では,この機能を実装し,Tor ネットワーク上で実験を行なった.そして,Fingerprint を利用した従来のユーザ特定手法よりも高い精度でユーザの特定が可能となった.
著者
小川康一 吉浦紀晃
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.33-42, 2014-09-25 (Released:2018-12-09)
参考文献数
18

埼玉大学では,一般入学試験(個別学力検査等)の合格発表を大学ホームページで公開している.しかし,合格発表時に大学ホームページに閲覧者が殺到し,高負荷のためにWebサーバが機能不全に陥るといった現象が発生し,大学ホームページでの合格発表を閲覧できない状況となっていた.特に平成26年度前期日程の合格発表では影響が顕著であった.後期日程の合格発表では,複数のWebサーバを組み合わせる形で大学ホームページを構築しWebサーバプログラムに対してチューニング等の対策を行い,閲覧者にスムーズな閲覧環境を提供した.本論文は,後期日程合格発表時の大学ホームページへのアクセス集中に対する対策の報告である.この対策を実施する際に,平成26年度前期日程の合格発表時においては,Webサーバへのアクセス量などの情報等が重要であったが十分に得ることができなかった.そこで,限られた期間内で可能な限りに負荷に耐えうる大学ホームページのシステムを構築した.
著者
吉浦 紀晃 佐山 弘和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.484, pp.311-316, 2012-03-08

Access Control Listは、Layer3スイッチやFirewallなどのネットワーク機器において、どのようなパケットを通過させ遮断させるかを記述したものである.Access Control Listはネットワークトポロジーやセキュリティポリシーの変更、セキュリティインシデントの発生などで変更されることがある.ネットワーク管理者はその度に変更することになるが、この変更が積み重なるとAccess Control Listには冗長な記述が増えてくることがある.ネットワーク管理者がAccess Control Listを書き換える場合、その前後でAccess Control Listの意味が変わっていないことを確認する必要がある.本論文では、2つのAccess Control Listの等価性を判定するためのテストケースの作成方法を提案する.このテストケースはパケットであり、2つのAccess Control Listをそれぞれ設定したときのこのパケットを透過性をチェックすることで、2つのAccess Control Listの等価性を判定する.
著者
小川 康一 吉浦 紀晃
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2014-IOT-24, no.23, pp.1-6, 2014-02-20

災害時には,人々のネットワーク利用の殺到によって,災害地への重要な通信が優先的にネットワークに転送されにくくなる問題点がある.本論文では,災害地の通信を優先するといった,災害時のネットワークの対応策について提案する.対応策の具体的な方法は,ネットワークを流れるパケット内の IP アドレス情報から災害地の通信であると判断できた場合には,その通信に 「災害 ID」 を付与することである.ネットワーク機器はこの災害 ID を確認し,災害 ID が付いている場合には優先的に配送を行う.また,災害地からの通信,または災害地への通信を優先制御するために,通信が災害地からのものであるかを把握する必要がある.そのためには,IP アドレスと位置情報の対応関係の把握が必要となる.この対応関係の把握のためにデータベースを利用する.この対応策を具体的に実現する方法の 1 つとして OpenFlow を用いる.
著者
小川康一 吉浦紀晃
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.505-506, 2014-03-11

東日本大震災では,Twitterなどのソーシャルメディアや有志による災害情報サイトなどが立ち上がり、人命救助や安否確認、救援物資の確保など、多くの活用方法が見出され,情報伝達手段としてのインターネットの可能性が明らかになった.しかし,一方でデマや流言などが蔓延し,情報が不足した人々を不安に陥れた.そこで,本研究では災害時に発生するデマや流言を抑制し,災害に重要な通信を優先するネットワーク運用手法について述べる.
著者
小川 康一 吉浦 紀晃
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.9-18, 2017-11-30

我々は,大学ネットワーク管理者が利用者のネットワーク機器の状態を把握するため,小型コンピュータとカメラを利用した監視と,その監視情報について移動ロボットを用いて,遠隔操作で収集する手法や自動で収集する手法を提案している.しかし,移動ロボットと監視装置間の通信については,監視装置に蓄積された情報量や,移動ロボットと監視装置間の通信品質が考慮されていないために,移動ロボットとの適切な通信が成立しないという問題点があった.そこで本稿では,移動ロボットの制御により,移動ロボットと監視装置との通信を最適に行うための移動ロボットを制御する手法を提案する.本手法を実装し,大学内での実験により提案手法の有効性を確認した.
著者
小川 康一 吉浦 紀晃
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2017-IOT-39, no.1, pp.1-8, 2017-09-22

我々は,大学ネットワーク管理者が利用者のネットワーク機器の状態を把握するため,小型コンピュータと Web カメラを利用して監視装置を開発し,監視した情報を移動ロボットの遠隔操作によって収集する手法を提案している.しかし,移動ロボットの遠隔操作にはあらかじめ監視装置のある部屋の周辺環境についての前提知識が必要である.また,移動ロボットと操作端末間のネットワーク遅延を考慮することや,移動ロボットの操作経験などが要求され,操作を修得するまでに一定の時間を要する.そこで本稿では,移動ロボットに深度センサーやレーザ測距センサーを搭載し,あらかじめ環境地図を作成することによって,管理者が移動ロボットを直接操作せずに監視情報を半自動的に収集する手法を提案する.本手法を実装し,大学内にて遠隔操作による手法との比較実験により提案手法の有効性を確認した.
著者
吉浦 紀晃 小野里 好邦 木村 博茂
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.124, no.8, pp.1538-1545, 2004 (Released:2004-11-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1

In biometric authentication, the biometric data is registered and authentication is done by collation input biometric data with the registered biometric data. If the registered biometric data is stolen, there is a possibility that the the biometric data of registrants may be used improperly. It is very difficult to prevent such improper use because we no longer change biometric data. Therefore it is necessary to pay sufficient attention to the protection of biometric data. This paper proposes the application of one way function to biometric authentication in order to protect biometric data of registrants. We examine and discuss the possibility of application of one way function in biometric authentication.
著者
小泉 賢人 吉浦 紀晃
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2017-IOT-36, no.32, pp.1-8, 2017-02-24

近年,プライバシー保護等の観点から,インターネット利用におけるユーザの匿名性について関心が高まってきた.インターネットの通信経路を匿名化できる,最も普及しているソフトウェアとして The Onion Router (Tor) がある.Tor にはユーザとサーバの匿名性を保つ機能として,Hidden Service が利用できる.この機能を利用したサーバを匿名サーバと呼ぶ.本論文では,匿名サーバの通信の特徴を分析した結果について述べる.また,分析結果に基づき,匿名サーバの IP アドレスの収集手法を提案する.さらに,実験により提案手法の有効性を示す.
著者
田北 啓洋 藤井 雄作 太田 直哉 上田 浩 丸 浩一 吉浦 紀晃
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

防犯カメラの最大の欠点である「プライバシ侵害の可能性」を解消した,新たな防犯カメラシステム「e自警カメラ」の普及を目的とし,e自警カメラの開発・改良,社会実験を通した運用方法の開発を行ってきた.その過程で,屋外機の前を常時撮影し暗号化保存するドアホン「e自警ドアホン」の開発も行った.また,社会実験に参加した市民の意識の中で,e自警カメラを用いることで,プライバシ侵害に対する不快感・危惧が減少し,逆に,見守られない場合の不安感が増大する意識変化が生じてくることが確認できた.「事件の際,目撃情報が無いことが有り得ない社会」の実現に向け,前進することができた.
著者
丸 浩一 藤井 雄作 太田 直哉 上田 浩 吉浦 紀晃 田北 啓洋
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では, PCとカメラを活用して市民が身の回りを確実に見守る社会の実現を目指すコンセプトと,暗号化保存によりプライバシーの侵害を回避するためのコンセプトを合わせた新たな防犯カメラシステムのコンセプトの普及を目的とした技術開発および実験を行った.その成果として,プライバシー保護機能を付与した様々な防犯カメラシステムを開発し,本コンセプトの適用形態を大幅に拡大した.また,社会実験を通じた検証を行った.これらの活動により,本コンセプトの大規模な普及への足掛かりを得た.
著者
吉浦 紀晃 米崎 直樹
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.553-554, 1997-09-24
被引用文献数
1

論理の主たる目的は, 人間の行なう演繹的な推論を形式化することである。しかし, 古典論理における含意「ならば」は, 日常利用する「ならば」とは, 違和を感じる箇所もある。例えば, 古典論理では, 「2+3=5」が真であることから, 「雪は白いならば, 2+3=5」が真となる。しかし, このような推論は, 奇異に感じられる。古典論理の含意が持つこのような違和感は次のように3つに分類される。1. 関連性の違和感 A→(B→A), 2. 恒真性の違和感 (A∧¬A)→B, A→(B∨¬B), 3. 偶然性の違和感 A→((A→B)→B)。適切さの論理は, これらの違和感を除去することを目的として研究されてきた。Lewisによる関連性の違和感が除去された厳密含意の提案に始まり, 多くの適切さの論理の体系が提案されている。代表的な体系としては, ChurchやMohによる, 関連性と恒真性の違和感が除去された論理体系Rや, Ackennannによる, すべての違和感が除去された論理体系Eなどがある。関連性・恒真性の違和感は強い違和感とみなされ, ほとんどの体系で, これらは除去されている。一方, 適切さの論理では, 体系が弱いという問題がある。例えば, 自然演繹における推論規則Disjunctive syllogism (DS)が許されない。[numerical formula]この推論規則が認められない理由は, 以下のように(A∨¬A)+Bが証明可能となるためである。[numerical formula][5]では, DSが問題のある規則と見なされ, 適切さの論理では, この推論規則は除去されている。また, 違和感を含んでいない以下の式が, 適切さの論理では定理ではない。1. A→(B→(A∧B)), 2. A→(A∧(B∨¬B))。適切さの論理では, 1.が定理である場合, A→(B→A)が定理となり, また, 2.が定理である場合, A→(B∨¬B)が定理となるため, これら2つの式は定理とはならない。このように, 適切さの論理では, 違和感を除去するために, 結果として, 定理となることが自然であると考えられる式が定理とはならず, また, 自然な推論規則が成り立たない。本稿では, 関連性・恒真性の違和感が除去されており, 体系Rよりも強い論理体系ERを提案する。ERは, [4]に示されているsequentによる自然演繹の体系として与えられ, 各推論規則では, 式の属性が利用される。この属性は, 証明を制御し, 違和感を含む式の推論を防ぐために利用される。また, 属性を利用する点からみると, ERは, Labelled deductive systemの一種であるといえる。