著者
佐藤 拓也 梁 英樹 吉田 一成 山下 由紀
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.2439-2443, 2010 (Released:2011-04-01)
参考文献数
12
被引用文献数
2

発症原因の異なる上腸間膜動脈症候群2例に対して十二指腸空腸吻合術を施行した.症例1:66歳,男性.3年ほど前より繰り返す嘔吐,腹痛,体重減少で来院.上部消化管造影検査と腹部造影CTで高度の胃拡張と十二指腸水平部の狭窄を認め上腸間膜動脈症候群と診断した.病悩期間が長いため手術の適応と考え十二指腸空腸吻合術を施行した.術後経過は良好であった.症例2:77歳,男性.30年前に直腸癌に対して前方切除術を施行されている.今回2型横行結腸癌に対して左結腸切除術施行.術後9日目に嘔吐出現.上部消化管造影検査,腹部CTにて上腸間膜動脈症候群と診断.保存的治療で改善傾向なく,術後21日目に十二指腸空腸吻合術施行.再手術後の経過は良好であった.発症原因として症例1は体重減少による十二指腸周囲脂肪織減少が,症例2は前方切除後の左結腸切除術により上腸間膜根部の過伸展に伴ってSMAが尾側に偏位したことが考えられた.
著者
河原 純子 兵藤 透 太田 昌邦 平良 隆保 日台 英雄 石井 大輔 吉田 一成 馬場 志郎
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.695-698, 2011-08-28 (Released:2011-09-28)
参考文献数
13

蛍光眼底造影剤は,眼科領域では網脈絡膜疾患の診断,治療効果の判定に不可欠な検査である.今回,糖尿病性腎症にて血液透析中の44歳女性に対し眼底出血の疑いのため蛍光造影剤(フルオレサイト®静注500mg,以下一般名フルオレセインと記す)を使用した.造影後に透析を行った際,透析液排液ラインに造影剤の蛍光色が視認できたため,独自に作製したカラースケールを用いて廃液ラインの排液色の変化による造影剤除去動態を1週間経過観察した.結果,カラースケール値では,1日目開始時90,1日目終了時50,3日目開始時20,3日目終了時10,5日目開始時0,5日目終了時0であったが,5日目終了時500mL程度排液を集めると,僅かに色を確認することができた.
著者
山永 成美 江川 裕人 蛭子 洋介 大澤 良介 小野 稔 剣持 敬 十川 博 名取 洋一郎 日比 泰造 矢野 晴美 芳川 豊史 吉川 美喜子 吉田 一成 湯沢 賢治
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.55, no.Supplement, pp.194_1, 2020 (Released:2021-09-18)

2019年末からの中国武漢での報告後、瞬く間に世界中に拡散した新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)は、現在も収束することなく、2020年8月31日時点で全世界で2500万人以上が感染していると報告されている。COVID-19は、移植医療の在り方に大きな影響をもたらし、世界中の多くの移植施設で、生命に関わる臓器の移植を除き、生体移植を中心とした待機可能な移植は一時停止を余儀なくされた。ドナーからの伝播の可能性、院内感染の可能性、移植患者への感染対応など、様々な状況を想定し、院内のコンセンサスを得ることで、現状では多くの施設が移植医療の提供を再開した。しかし、安心安全な移植医療を提供するためには、COVID-19以前とは異なる、新しい移植医療の様式を実践していく必要がある。また、移植患者は免疫抑制剤を服用しており、ウイルス感染症に脆弱である一方、COVID-19は、感染後期での免疫抑制剤使用による重症化抑制も知られている。相反する病態を理解し、免疫抑制剤調整を含めた移植患者の管理を適切に行うことも重要である。これまでに得られたCOVID-19と移植医療に関する文献的報告をレビューし、新しい移植医療の様式について提言したい。
著者
河原 純子 兵藤 透 太田 昌邦 平良 隆保 日台 英雄 石井 大輔 吉田 一成 馬場 志郎
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.695-698, 2011-08-28

蛍光眼底造影剤は,眼科領域では網脈絡膜疾患の診断,治療効果の判定に不可欠な検査である.今回,糖尿病性腎症にて血液透析中の44歳女性に対し眼底出血の疑いのため蛍光造影剤(フルオレサイト<SUP>®</SUP>静注500mg,以下一般名フルオレセインと記す)を使用した.造影後に透析を行った際,透析液排液ラインに造影剤の蛍光色が視認できたため,独自に作製したカラースケールを用いて廃液ラインの排液色の変化による造影剤除去動態を1週間経過観察した.結果,カラースケール値では,1日目開始時90,1日目終了時50,3日目開始時20,3日目終了時10,5日目開始時0,5日目終了時0であったが,5日目終了時500mL程度排液を集めると,僅かに色を確認することができた.