著者
本間 真人 平野 俊彦 湯沢 賢治 大河内 信弘 剣持 敬
出版者
一般社団法人 日本臓器保存生物医学会
雑誌
Organ Biology (ISSN:13405152)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.76-80, 2017 (Released:2017-03-31)
参考文献数
7

Questionnaire survey concerning practical use of generic immunosuppressive agents and the European Society for Organ Transplantation (ESOT) guideline was conducted in 130 clinical institutions including transplant hospitals where the members of The Japan Society for Organ Preservation and Biology were working. Forty five institutions answered the questionnaire survey (the recovery rate: 34.6%). Use of generic immunosuppressive agents in the institutions has been different among the agents; tacrolimus (6.7%), cyclosporin (8.9%) and mycophenorate mofetil (8.9%) and corticosteroid injection (51.1%). The results indicated that use of generic immunosuppressive agents, especially in the agents that require therapeutic drug monitoring (TDM) for dose adjustment, have not been spread in Japan. The most of the institutions (greater than 62%) agreed with the ESOT guideline for generic substitution of immunosuppressive agents. It is considered that the Japanese guideline is also required to prepare according to ESOT guideline, though the use of generic products have not been popular yet Japan.
著者
剣持 敬 伊藤 泰平 星長 清隆
出版者
一般社団法人 日本臓器保存生物医学会
雑誌
Organ Biology (ISSN:13405152)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.159-164, 2013-07-10 (Released:2014-11-26)
参考文献数
3

The organ procurement team must evaluate whether the organs such as liver, small intestine, pancreas, kidney can be procured or not by the donor conditions, past history, present illness, blood chemistry and ultrasonography. Before donor operation, multiorgan procurement teams should discuss about the order of organ procurement, crossclamp, blood drainage, perfusion technique and the division of the vessels. Donation of the abdominal organs from brain-dead donor is performed with the procedure of multiorgan donation technique. In the abdominal organs, small intestine is first extracted followed by the extraction of the liver and pancreas separately or en bloc. When the liver is solitary procured, en bloc procurement of pancreas and kidneys is popular in Japan. In the back table, the pancreas was isolated from the kidney grafts followed by the separation of both kidney grafts. Both kidneys are divided by the division of the aorta, the vena cava and the connective tissues. The kidney grafts are perfused with UW solution before packing on ice.
著者
會田 直弘 伊藤 泰平 栗原 啓 剣持 敬
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.57, no.Supplement, pp.s154_2, 2022 (Released:2023-02-23)

移植医療の進歩に伴い,移植後の生活の質は向上している.移植後に挙児を希望する患者も増加しており,すでに多くの患者が児をもうけている.男性移植患者に限ってみると,米国のNational Transplantation Pregnant Registryの報告では2015年までに879名の移植患者が児をもうけているとされる.心臓,肺,肝臓,小腸,膵臓,腎臓移植のいずれの男性移植患者でも報告があり,このうち43名は多臓器移植患者であった.このようにいずれの男性移植患者でも児をもうけることは可能である.移植後の妊娠・出産においては,主に女性を中心とした報告が注目を集めている.しかしながら,男性移植患者においても継続的な免疫抑制剤の内服が必要であり,薬剤の妊孕性への影響について移植医は十分に認識すべきである.多く使用されるカルシニューリン阻害薬は動物実験において精子数を減少させる可能性が指摘されており,mTOR形成阻害薬はテストステロンの低下,精子数の減少による受精能力の低下が指摘されている.一方でミコフェノール酸モフェチルは妊孕性への影響の報告はない.また、受精後の周産期合併症や胎児への影響についてはリスクが高いと示すものはなく、健常者と同等であると考えられる.男性移植患者の妊孕性や注意点についてガイドラインに基づき解説する.
著者
剣持 敬 福嶌 教偉 肥沼 幸 牛込 秀隆 久保 正二
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.393-401, 2014-12-10 (Released:2014-12-26)
参考文献数
21

The number of organ transplantations from donation from brain-dead (DBD) donors has recently increased because of the enforcement of the revised Organ Transplantation Law in 2010 in Japan. More than 500 kidney transplant recipients, more than 30 liver transplant recipients, and two recipients of simultaneous pancreas and kidney transplantations have already experienced pregnancy and childbirth in our country. Along with the increase of DBD donors, pregnancy and childbirth must be an important issue for the recipients of heart and lung transplantations as well as kidney and liver transplantations. The Japan Society for Transplantation has decided to make a guideline for pregnancy and childbirth in patients after organ transplantation.The contents of this guideline are planned to be classified into two chapters. One concerns common problems after organ transplantations, such as the use of drugs, including immunosuppressive agents and vaccines. The second chapter is planned to focus on problems particular to reach organ transplantation. Furthermore, this guideline will include the problems of living donors for kidney and liver transplantations and male recipients who underwent organ transplantations.
著者
山永 成美 江川 裕人 蛭子 洋介 大澤 良介 小野 稔 剣持 敬 十川 博 名取 洋一郎 日比 泰造 矢野 晴美 芳川 豊史 吉川 美喜子 吉田 一成 湯沢 賢治
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.55, no.Supplement, pp.194_1, 2020 (Released:2021-09-18)

2019年末からの中国武漢での報告後、瞬く間に世界中に拡散した新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)は、現在も収束することなく、2020年8月31日時点で全世界で2500万人以上が感染していると報告されている。COVID-19は、移植医療の在り方に大きな影響をもたらし、世界中の多くの移植施設で、生命に関わる臓器の移植を除き、生体移植を中心とした待機可能な移植は一時停止を余儀なくされた。ドナーからの伝播の可能性、院内感染の可能性、移植患者への感染対応など、様々な状況を想定し、院内のコンセンサスを得ることで、現状では多くの施設が移植医療の提供を再開した。しかし、安心安全な移植医療を提供するためには、COVID-19以前とは異なる、新しい移植医療の様式を実践していく必要がある。また、移植患者は免疫抑制剤を服用しており、ウイルス感染症に脆弱である一方、COVID-19は、感染後期での免疫抑制剤使用による重症化抑制も知られている。相反する病態を理解し、免疫抑制剤調整を含めた移植患者の管理を適切に行うことも重要である。これまでに得られたCOVID-19と移植医療に関する文献的報告をレビューし、新しい移植医療の様式について提言したい。
著者
圷 尚武 丸山 通広 大月 和宣 石田 健倫 齋藤 友永 西郷 健一 長谷川 正行 青山 博道 剣持 敬 野口 洋文
出版者
一般社団法人 日本臓器保存生物医学会
雑誌
Organ Biology
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.175-179, 2017

1型糖尿病に対する膵島移植が国内で始まったものの,依然として大きな問題はドナー不足である.その解決手段のひとつとして,心停止下ドナーのような,条件の悪いいわゆるマージナルドナーより採取された膵臓の有効な利用である.LifePort<sup>TM</sup>(LP)はOrgan Recovery Systems社により開発された臓器搬送用の持続冷却灌流装置であり,現在欧米において障害を伴った腎臓の搬送に臨床応用され,その有効性が確認されている.本装置はマージナルドナーから採取された臓器移植,特に虚血再潅流障害を受けやすい膵臓の保存に有用で,膵島移植の安全性や成績の向上に有効であると考えられる.本研究では,ビーグル犬を使用し,障害膵モデルより膵臓を摘出し,LPにより持続冷却灌流保存することにより,膵臓の障害が最小限に抑えられ,従来法であるUW液や2層法による浸漬保存に比べて分離膵島の収量や機能が改善でき,臨床膵島移植に応用し,成績向上に寄与することを目的とした.[方法]ビーグル犬から30分の温阻血時間をおいて全膵を摘出し,LPにて24時間持続冷却灌流保存(LP群),UW液にて24時間冷却浸漬保存(UW群),2層法にて24時間冷却浸漬保存(2層法群)し,膵島分離を行い,その形態・機能を比較検討した.[結果]形態的には,LP群でより大きく,形の良い膵島が分離できた.また,膵島収量については,純化前後でLP群においてUW群や2層法群に比べて良好であった.また,分離膵島のインスリン分泌能を評価するStatic Incubationの結果でも,LP群でUW群や2層法群に比べて良好な結果であった.[結論]心停止下ドナーよりの膵島移植を想定したモデルにおいて,LPによる障害膵の持続冷却灌流保存は,UW液や2層法による冷却浸漬保存に比べて,分離膵島の収量や機能保持に優れていることが示唆された.しかし,臨床応用のためには,さらなる保存条件や膵島分離法の改善が必要であると考えられた.
著者
小林 進 落合 武徳 堀 誠司 鈴木 孝雄 清水 孝徳 軍司 祥雄 剣持 敬 島田 英昭 岡住 慎一 林 秀樹 西郷 健一 高山 亘 岩崎 好太郎 牧野 治文 松井 芳文 宮内 英聡 夏目 俊彦 伊藤 泰平 近藤 悟 平山 信夫 星野 敏彦 井上 雅仁 山本 重則 小川 真司 河野 陽一 一瀬 正治 吉田 英生 大沼 直躬 横須賀 収 今関 文夫 丸山 紀史 須永 雅彦 税所 宏光 篠塚 典弘 佐藤 二郎 西野 卓 中西 加寿也 志賀 英敏 織田 成人 平澤 博之 守田 文範 梁川 範幸 北原 宏 中村 裕義 北田 光一 古山 信明 菅野 治重 野村 文夫 内貴 恵子 斎藤 洋子 久保 悦子 倉山 富久子 田村 道子 酒巻 建夫 柏原 英彦 島津 元秀 田中 紘一
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.231-237, 2000-10-01
被引用文献数
1

今回,千葉大学医学部附属病院において,本県第1例目となるウイルソン病肝不全症例に対する生体部分肝移植の1例を実施したので報告する。症例(レシピエント)は13歳,男児であり,術前,凝固異常(HPT<35%)とともに,傾眠傾向を示していた。血液型はAB型,入院時の身長は176.0cm,体重は67.0kgであり,標準肝容積(SLV)=1273.6cm^3であった。ドナーは姉(異父)であり,血液型はA型(適合),身長は148.0cm,体重は50.0kgと比較的小柄であり,肝右葉の移植となった。術後は極めて良好な経過をたどり,肝機能は正常化(HPT>100%)し,術後72病日で退院となった。