著者
波田野 結花 吉田 弘道 岡田 謙介
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.151-161, 2015 (Released:2015-08-22)
参考文献数
27
被引用文献数
2 5

これまでの心理学データ分析では, 概して統計的仮説検定の結果は報告されるが, 効果量の報告や議論は軽視されがちであった。しかし近年の統計改革の中で, 効果量を活用することの重要性が再認識されている。そこで本研究では, 過去4年間に 『教育心理学研究』誌に掲載された論文中で報告された仮説検定について, 論文中の情報から対応する効果量の値を算出し, 検定におけるp値と効果量との間の関係を網羅的に調べた。分析対象は, 独立な2群のt検定, 対応のある2群のt検定, 1要因および2要因の被験者間分散分析におけるF検定であった。分析の結果, いずれの場合においても報告されたp値と効果量の相関係数は-0.6~-0.4であり, 両者の間には大まかな対応関係が見られた。一方で, 検定結果が有意であるにもかかわらず小さな効果量しか得られていない研究も決して少なくないことが確認された。こうした研究は概ね標本サイズが大きいため, 仮説検定の枠組みの中では検定力分析の必要性が考えられる。また仮説検定の枠組みに留まらず, メタ分析によって関心下の変数ごとに効果量の知見を蓄積することや, ベイズ統計学に基づく新たな方法論などが今後の方向性として考えられる。
著者
山本 駿一 家里 憲二 長谷川 茂 塚原 常道 近藤 洋一郎 吉田 弘道 寺野 隆
出版者
社団法人 日本腎臓学会
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.597-602, 2000-10-25 (Released:2010-07-05)
参考文献数
17

A 38-year-old woman was admitted to our hospital on for evaluation of thirst, bilateral backache and a feeling of abdominal fullness. She had hypokalemia, normotension, hyperreninemia, hyperaldostronism and hyperplasia of the juxtaglomerular apparatus on renal iopsy. Ultrasonography, intravenous pyelography and computed tomography showed marked bilateral renal calcification. Considering her history of persistent soft stool caused by chronic laxative abuse for 15 to 16 years and past diuretic abuse for several years since 1986, we diagnosed her as pseudo-Bartter's syndrome with nephrocarcinosis. The value of urinary Ca excretion was in the normal range, and acidification disturbance in NH4C1 loading test was revealed. In addition, she had taken analgesics for 2 to 3 years and interstitial nephritis on renal biopsy was seen. It is thus suggested that the cause of nephrocarcinosis in this case was the reduction of Ca solubility in the tubular cavity induced by incomplete renal tubular acidosis associated with analgesic nephropathy or interstitial nephritis caused by hypokalemia.
著者
波田野 結花 吉田 弘道 岡田 謙介
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.151-161, 2015
被引用文献数
5

これまでの心理学データ分析では, 概して統計的仮説検定の結果は報告されるが, 効果量の報告や議論は軽視されがちであった。しかし近年の統計改革の中で, 効果量を活用することの重要性が再認識されている。そこで本研究では, 過去4年間に 『教育心理学研究』誌に掲載された論文中で報告された仮説検定について, 論文中の情報から対応する効果量の値を算出し, 検定における<i>p</i>値と効果量との間の関係を網羅的に調べた。分析対象は, 独立な2群の<i>t</i>検定, 対応のある2群の<i>t</i>検定, 1要因および2要因の被験者間分散分析における<i>F</i>検定であった。分析の結果, いずれの場合においても報告された<i>p</i>値と効果量の相関係数は-0.6~-0.4であり, 両者の間には大まかな対応関係が見られた。一方で, 検定結果が有意であるにもかかわらず小さな効果量しか得られていない研究も決して少なくないことが確認された。こうした研究は概ね標本サイズが大きいため, 仮説検定の枠組みの中では検定力分析の必要性が考えられる。また仮説検定の枠組みに留まらず, メタ分析によって関心下の変数ごとに効果量の知見を蓄積することや, ベイズ統計学に基づく新たな方法論などが今後の方向性として考えられる。
著者
吉田 弘道
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 心理学篇 (ISSN:21858276)
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-8, 2012-03

これまでに行われている育児不安研究を概観し,育児不安の定義,育児不安の尺度,育児不安の要因について論じるとともに,それぞれの課題について検討した。すなわち,定義については,育児不安としては確立されつつあるが,育児ストレスとの区別が難しいこと,そのことが育児不安の測定尺度の問題として残されていることを述べた。また尺度の問題としては,育てている子どもの年齢の異なる母親について同じ項目を用いて測定することについて疑問があることを述べた。要因研究に関しては,要因相互の関係をみながら育児不安への影響を検証している研究がみられないことを述べた。以上の課題を検討することにより,今後育児不安研究は発展していくことが考えられる。