著者
宮川 歩夢 名和 一成 山谷 祐介 大滝 壽樹 杉原 光彦 奥田 隆 住田 達哉
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.63-76, 2020-04-27 (Released:2020-05-07)
参考文献数
17
被引用文献数
1

国立天文台VERA石垣島観測局を中心とした名蔵川流域において,地下の地質構造を反映すると考えられる重力異常を明らかにするために重力測定を実施した.この重力測定では絶対重力測定及び周辺での相対重力測定を組み合わせている.絶対重力測定は国立天文台VERA石垣島観測局の重力計基台において,また相対重力測定は周辺域の62地点において実施した.得られた重力測定結果に既存の重力データを加え,重力異常図を作成した.おもとこれにより,名蔵湾から於茂登岳だけに向かって,負の重力 異常が大きくなる傾向がみられた.これは,於茂登岳を構成する漸新世の珪長質深成岩が周囲のジュラ紀付加体に比べて密度が低いことによると考えられる.さらに於茂登岳麓から名蔵湾にかけて負の重力異常の帯が確認された.このことは,名蔵湾から於茂登岳に向かう局所的な基盤形状を反映し,密度の低い堆積層が埋める埋没谷の存在を示唆する.
著者
名和 一成 杉原 光彦 村田 泰章 風間 卓仁 西田 究 菅野 貴之 小山 悦郎 大久保 修平 奥田 隆
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.59-67, 2008 (Released:2013-02-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1

We carried out continuous gravity observation with a Scintrex CG-3M gravimeter at Asama Volcano Observatory from September 4 to October 22 in 2007.We tried to detect hydrological gravity effects after heavy rainfall by Typhoon 200709 (FITOW). To detect hydrological gravity effects we supposed a simple tank model as proposed for the Matsushiro superconducting gravimeter observation, which model represented immediate gravity increase and gradual decrease after rainfall. Parameters of the tank model were estimated using an ABIC minimization iversion method and precipitation data as inputs. As a result, hydrological gravity effects were extracted from gravity residuals although gravity residuals included a large non-linear drift. And the extracted hydrological gravity effects corresponded to temporal gravity changes simultaneously observed with an FG5 absolute gravimeter. Our success promises expanding opportunities of continuous observation by using CG-3M gravimeters in the future.
著者
名和一成 村田泰章 駒澤 正夫 森尻 理恵 広島 俊男 牧野 雅彦 村上 文敏 岸本 清行 大熊 茂雄 志知 龍一
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5-6, pp.183-208, 2005-08-15 (Released:2014-10-25)
参考文献数
41
被引用文献数
1 2

産総研地質調査総合センターでは,20 万分の1重力図の系統的整備を行っている.新たに測定したものを加えた陸域の重力データと,地質調査所GH83-1航海で測定した海域の重力データを統一的に処理・編集して,「宮崎地域重力図(ブーゲー異常)」を出版した.この重力図には,宮崎沖堆積盆地や九州外帯の屈曲構造に対応する長波長の異常や,人吉・小林・都城盆地に対応する短波長の異常が見られる.また,短波長を抽出したフィルター図では,宮崎平野下の負異常や,過去の研究でも指摘された宮崎平野北部と西部の高重力異常が確認できる.一方,九州山地にも高重力異常が分布するが,重力補正に用いた仮定密度と実際の山体の密度との差から生じる見かけのものである.このため,基盤構造推定に利用する際には,地形の影響を考慮する必要がある.
著者
大谷 竜 名和 一成
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

GPS連続観測網と歪計ネットワークによる歪観測を長期に比較することで,歪計による数週間以上の時間スケールでの歪場変動の計測特性を調べたところ,場所によっては歪計とGPS歪との間に相関が見られるところがあるものの,広域的に離れた7点の異なる観測点において,歪計とGPSとの間にははっきりした相関は見られず,歪計に不規則な大きな変動があることが分かった.また先島諸島で繰り返し発生しているゆっくり地震による歪場について,断層すべりの発生間隔を同定するとともに,ゆっくり地震に含まれる様々な空間成分の時間変動を明らかにした.