著者
太田 雅己 堀江 邦明 土井 誠 田中 実 草場 公邦
出版者
東海大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

代数曲線,特に楕円モジュラー曲線の塔に付随する"大きな"p-進エタール・コモホロジー群の研究を行った.素数pと正整数N(pXN)を固定し,モジュラー曲線の塔{X^1(Np^γ)}(γ=1、2、……)を考える.昨年迄の研究により、これに付随するパラボリック・コモホロジー群の通常部分が良いp-進ホッジ構造をもつ事がわかっていた.即ち,この群に自然なp-進ホッジfiltrationが入り,それをA-進カスプ形式の言葉で記述することができ,"特殊化社塑像による個々のレヴェル,重さをもつコモホロジ群のp-進ホッジ構造が取り出せる事を示した。この研究の自然な継続,発展として開曲線の族{X_11(Np^γ)-{cusps}(γ=1,2,……)のエタノール・コノホロジー群の通常部分のp-進ホッジ構造の研究を開始した.これは上記結果をアイゼンシュタイン級数のp-進族を含む形に拡張する事を目標にしており、応用としてはアーベル対上のアーベル体上のアーベル拡大の具体的構成が見込まれている。未だ理論の全体が構築された訳ではないが,今年度の研究により次の諸点が明らかになった:・上記コホモロジー群が∧-加群としてうまくcontrolできる事;・モジュラー形式に関する,異なった重さに対応する"大きな"p-進ヘッケ環の通常部分が重さによらない事:・モジュラー形式の射影系と∧-進モジュラー形式の間に,カスプ形式の場合と同様の対応がある事;・一般ヤコビ多様体を用いて,上記コホモロジー群を記述するp-divisible群が構成できる事;等である.この研究は来年以降も継続して行う.尚,A. WKilesによりフェルマ-の最終定理が証明されたが,それについての解説的仕事も行った.
著者
吉﨑 涼花 土井 誠 斉藤 千温
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.75-85, 2022-08-25 (Released:2022-08-29)
参考文献数
56
被引用文献数
2

We evaluated the effects of 23 insecticides and 9 fungicides on the mite Neoseiulus barkeri(Hughes)collected from melon and gerbera greenhouses. The insecticides nitenpyram, acetamiprid, flufenoxuron, chlorantraniliprole, pyridalyl, acequinocyl, cyenopyrafen, cyflumetofen, and pyflubumide, and the fungicide flutianil+mepanipyrim had no effect on the survival and fecundity of adult females. In contrast, the insecticides spinosad, spinetoram, abamectin, emamectin benzoate, milbemectin, and fluxametamide, and the fungicide quinoxaline were toxic. The period of residual toxicity on the survival and fecundity of adult females was about 28 days for fluxametamide and less than 4 days for spinosad, spinetoram, abamectin, emamectin benzoate, milbemectin, and quinoxaline.
著者
吉﨑 涼花 土井 誠 斉藤 千温
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.149-157, 2022-11-25 (Released:2022-12-09)
参考文献数
43
被引用文献数
1

We evaluated the effectiveness of using an indigenous generalist predatory mite, Neoseiulus barkeri(Hughes)(Acari: Phytoseiidae), to control Thrips palmi Karny(Thysanoptera: Thripidae)in greenhouse melons. In a growth chamber experiment, the density of T. palmi was lower on plants exposed to 20 N. barkeri per plant than on plants grown without a biological control. In a greenhouse experiment, the density of T. palmi was lower in the N. barkeri release plots than in the no-release plots. These results suggest that N. barkeri is an effective biological control agent against T. palmi.
著者
土井 誠 中野 亮平 石川 隆輔 片山 晴喜
出版者
関東東山病害虫研究会
雑誌
関東東山病害虫研究会報 (ISSN:13471899)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.64, pp.113-117, 2017-12-01 (Released:2019-03-01)
参考文献数
11

葉ネギのネギハモグリバエを対象に静岡県の主要産地で使用頻度が高い薬剤及び近年登録された薬剤あわせて8剤について,圃場での散布試験を行った。薬剤処理後のマイン増加数により防除効果を評価した結果,シアントラニリプロール水和剤とスピネトラム水和剤の効果が高かった。また,ネギハモグリバエとネギアザミウマに対する殺虫剤(チアメトキサム水溶剤,クロチアニジン水溶剤,スピネトラム水和剤,クロラントラニリプロール水和剤)と展着剤の加用および気門封鎖型殺虫剤(脂肪酸グリセリド乳剤)の混用による効果の違いを比較した。 両害虫が発生している圃場に薬剤処理したネギ苗を配置し,それぞれの寄生数を比較した結果,クロチアニジンでは一部展着剤で加用による両害虫に対する防除効果の向上が認められた。スピネトラムではネギハモグリバエに対していずれも無加用と差がなく,ネギアザミウマに対しては加用により防除効果が低下した展着剤が認められた。チアメトキサムでは両害虫に対して,無加用と展着剤加用で防除効果に差がなかった。クロラントラニリプロールでは評価対象としたネギハモグリバエに対して無加用と展着剤加用で防除効果に差がなかった。各殺虫剤と脂肪酸グリセリドの混用による防除効果の違いについては,クロチアニジンではネギハモグリバエに対して単用に比べて発生蛹数が有意に少なかったが,それ以外の殺虫剤では両害虫に対して単用と混用との防除効果の差は認められなかった。さらに,ネギハモグリバエを対象に各種展着剤等を加用した時のクロラントラニリプロール水和剤の効果について,室内試験を行った。薬剤処理後の成虫放飼および幼虫期の薬剤処理について試験を行った結果,加用する展着剤および処理時期によって効果が向上するものが認められた。また,本剤と脂肪酸グリセリドの混用では単用に比べ防除効果が向上した。
著者
片井 祐介 石川 隆輔 土井 誠 増井 伸一
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.1-6, 2015
被引用文献数
13

温室メロン栽培の重要害虫であるミナミキイロアザミウマに対して,メロンの播種直後からLED電球による赤色光(波長620-630nm)を1×10 18photons・m-2・s-1の光強度で照射したところ,成幼虫数は24時間連続照射区および昼間12時間照射区で無照射区と比較して有意に少なかった。また,ガラス温室において定植後のメロン株に赤色光(同上)を光強度4.7×10 18photons・m-2・s-1の光強度で照射したところ,成幼虫数は赤色照射区が無照射区より有意に少なかった。また,ビニールハウスにおいて定植後のメロン株に赤色光(同上)を1×10 18photons・m-2・s-1で照射したところ,成幼虫数は赤色照射区が無照射区より有意に少なかった。これらのことから,温室メロン栽培において,赤色LED光の照射はミナミキイロアザミウマの防除に有効であると考えられた。
著者
岡 三喜男 土井 誠志
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.837-842, 2003-12-20 (Released:2011-08-10)
参考文献数
34

目的・方法. トポイソメラーゼI阻害剤の塩酸イリノテカン (CPT-11) とプラチナ製剤のカルボプラチン (CBDCA) には交叉耐性がなく, 副作用のプロファイルが比較的異なり, またin vitro併用で相乗効果がみられている. ここでは肺癌におけるCPT-11+CBDCA併用療法の成績とタキサンを加えた3剤療法について述べる. 結果. 第1相とII相試験の成績では, CPT-11+CBDCAの奏効率は小細胞肺癌に対して79~89%, 進行非小細胞肺癌に対して22~36%と1年生存率37.6~42.2%である. タキサンを加えた3剤併用では奏効率32~56%, 中間生存期間は11~16カ月であるが有害事象の頻度は高い. 主な有害事象は白血球減少, 好中球減少, 血小板減少, 下痢である. 結論. CPT-11+CBDCAは他の併用療法と比較的同等の有用性を示し, とくにシスプラチン投与ができない症例, 心機能や腎機能低下症例, 外来治療には推奨される. (肺癌. 2003; 43: 837-842)
著者
土井 誠 善 正二郎 奥田 充 中村 宏子 加藤 公彦 花田 薫
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.181-188, 2003-08-25
被引用文献数
8

1998年1月及び1999年6月に静岡県で,また2001年には佐賀県で施設栽培のトルコギキョウに,葉にえそやえそ輪紋等の症状が発生した.これら発病株からウイルスを分離し,T2, T3, SGA及びSG1分雑株を得た.4分雑株の汁液接種によりトルコギキョウで原病微が再現された.T2及びT3分離株の宿主範囲は狭く,13科25種の植物のうちで,3科4種のみに全身感染した.T2及びSG1分離株はミカンキイロアザミウマでは媒介されず,ネギアザミウマのみにより媒介された.発病株を電子顕微鏡で観察した結果,平均粒子径85nmの球状粒子が認められた.DAS-ELISA法でT2及びT3分離株ともにIYSV抗体と強く反応したが,TSWV及びINSV抗体には反応しなかった.4分離株のヌクレオキャプシドクンパク質のアミノ酸配列を解析した結果,T2及びSG1分離株はオランダで発生したIYSVと相同性がそれぞれ97.8%,97.1%であり,T3及びSGA分離株はブラジルで発生したIYSVとのそれが97.4%, 97.8%であった.以上から,4分離株をIYSVと同定した.本病害をえそ輸紋病と命名する.IYSVのトルコギキョウヘの病原性は系統により多少異なることと,IYSVに対するトルコギキョウの感受性には品種間差があることが明らかとなった.