著者
河村 知輝 土田 修平 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2021-HCI-195, no.42, pp.1-8, 2021-11-23

他人から注目を浴びると普段以上の成果を出そうとする心理効果をホーソン効果と呼ぶ.ホーソン効果は人の行動に良い影響を与える効果として主に挙げられている.例えば,医療の現場において他人から見られているといった状況から手指の消毒回数が増え,衛生施行状況が改善されたり,集中的に患者を治療すると症状が改善されたりする.しかし,これと似た効果がウェアラブルセンサを用いた動作計測実験においては大きな問題を引き起こしている可能性がある.具体的には,センサの装着自体が,実験者の「装着部位を動かして欲しい」といった期待を表し,それが被験者の動きに影響している可能性がある.もし,センサ装着位置の身体部位は大げさに動かしてしまう,などの影響が現れていれば,ウェアラブルセンサを用いてこれまで行われてきたあらゆる評価実験の信頼性に疑問が生じることになる.そこで本研究では,同じ動作をセンサ装着部位を変えながら行わせる実験をすることで,センサを装着すること自体が被験者のジェスチャ軌跡に与える影響を評価する.筆者らが行った先行研究では,センサ装着部位の違いによって動作が変化することを目視にて確認した。本稿では,被験者すべての映像を定量的に解析する.
著者
福間 愛富 土田 修平 西山 奈津美 田中 真一 工藤 亮 幸田 健介 益子 宗 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.313-321, 2021-08-23

新型コロナウイルスの感染拡大で,イベント終了時の混雑緩和は重要な課題となった.本研究では,スマートフォンアプリケーションを通じたイベント終了後の情報提示などによって,無意識での帰宅分散の実現を目指す.そのための事前調査として,スポーツイベント参加者の帰宅行動分析を行い,その結果を踏まえて情報提示用アプリケーション設計指針の策定,提案アプリケーションのデザインを行った.
著者
福間 愛富 土田 修平 西山 奈津美 田中 真一 工藤 亮 幸田 健介 益子 宗 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.305-312, 2021-08-23

新型コロナウイルスの感染拡大で,イベント終了時の混雑緩和は重要な課題となった.本研究では,スマートフォンアプリケーションを通じたイベント終了後の情報提示などによって,無意識での帰宅分散の実現を目指す.そのための事前調査として,コロナ禍におけるリアルイベント参加者に対するアンケート調査を行い,帰宅分散実現に必要な要素の検討を行った.
著者
鈴木 勇波 川本 真也 肥田 不二夫 土田 修
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.211, 2014 (Released:2014-07-04)

これは産学共同プロジェクトの一つとして行った手洗い衛生環境を考えたハンドドライヤーのデザイン開発研究である。 近年、流行性感冒はじめ様々な感染による疾病発生により人々の手指衛生に対する意識・要請が高まってきている。従来型のハンドドライヤーの多くは送風により手に付いた水滴を吹き飛ばし、手を乾かすだけで多くの水滴は霧状となり様々な細菌とともに周囲に飛散飛沫させていることが近年明らかになってきた。このような衛生問題を改善するため完全吸引循環式ハンドドライヤーの普及を進めている(株)T社と連携し、理想的な手指衛生環境を実現させるために現在業務用機を民生用機として公共の場にも設置する必要があると考えている。 本研究はデザイン本来の目的の一つである人の心理、行為に訴える「機能」と「造形」の高い次元での調和であるが、 人々の安全・衛生を守り健康的な生活を送ることが「幸せ」 な生活の基本であることをその根本において人間工学とユニバーサルデザインの観点から人に優しく親近感のあるデザインを目標に進めて来た研究成果報告である。
著者
土田 修一
出版者
日本獣医畜産大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

被毛や虹彩の退色を伴う症候性難聴がいくつかの犬種で報告されている。当施設で維持されている症候性難聴症例について、人での類似疾患であるワーデンブルグ症候群2型の原因遺伝子であるメラニン合成経路に働く遺伝群(MITF,PAX3,SOX10)に着目し、それらの遺伝子の発現ならびにタンパクコード領域の塩基配列について検討した。犬のMITF遺伝子では2つのアイソフォームが報告されているが、今回健常犬で従来報告されているMITF-MおよびMITF-Hの2つのアイソフォームに加え、新たに人のMITF-Aに相当するアイソフォームが検出された。MITF-HおよびMITF-A沼は多くの臓器に広く発現が認められたが、MITF-M腎臓、大脳、小脳、心臓、上部消化管などで顕著な発現が認められ、臓器特異性が観察された。症例犬のMITFの3つのアイソフォームの発現と塩基配列を解析したが健常犬との間に差異は検出されなかった。次いでPAX3遺伝子の構造解析を試みた。健常犬のPAX3遺伝子構造を確認後、各エクソン領域を増幅するためのプライマーを作成し、PCR増幅後、塩基配列を決定した。しかし、症例犬のPAX3遺伝子にも疾患に関連する変異を見出すことはできなかった。さらに健常犬のSOX10 cDNAをクロニングして塩基配列を決定した後、ゲノム構造を解析してタンパクコード領域のPCR増幅を可能とした。症例犬のSOX10遺伝子のタンパクコード領域の塩基配列は健常犬と一致し、変異は検出されなかった。本研究で対象とした先天性難聴の症例では解析した3つの遺伝子に変異は検出されなかったが、本研究で人のワーデンブルグ症候群に関連する遺伝子の犬における構造解析と解析方法が確立されたことより、今後他の犬種の先天性難聴症例についても解析を進め、関連遺伝子の同定を試みたい。
著者
土田 修平 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.193-196, 2015-09-18

移動ロボットがある特定の動作を実際に行っていなくても,その動作を行っているように見せる手法について調査を行う.例えば,球体型LED を移動ロボットに搭載し,移動ロボットの移動に合わせて球体が転がっているかの如く光らせる.これにより,単に球体が転がっていると錯視させられるかどうか調査する.このような錯視を起こすことができれば,俊敏性と特定の動作の二つの機能を備えた移動ロボットが実現できる.
著者
宇田川 智野 鄭 英和 市東 正幸 河上 剛 多田 尚美 落合 和彦 石岡 克己 土田 修一 近江 俊徳
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.68-75, 2011-10-11 (Released:2011-12-16)
参考文献数
18

ミトコンドリア脱共役蛋白質(uncoupling protein;UCP)は、ミトコンドリア内膜での酸化的リン酸化反応を脱共役させ、エネルギーを熱として散逸する機能を有している。UCP2遺伝子とUCP3遺伝子は、UCPファミリーに属する分子でイヌでは21番染色体にタンデムに位置している。我々は、今回ビーグル犬由来の骨格筋よりイヌUCP2とイヌUCP3の5,非翻訳領域および翻訳領域のcDNA単離を試み、UCP2 cDNA 1251bp(GenBank Accession No. AB611704)およびUCP3 cDNA 1301bp(GenBank Accession No. AB611705)の塩基配列を決定した。また、イヌゲノム構造およびヒトのUCP遺伝子構造との比較解析により、ヒト同様にイヌUCP2遺伝子は8つのエクソンをまたイヌUCP3遺伝子は7つのエクソンで構成されていることを明らかとした。27種類の組織由来のtotal RNA(市販品)を用いたRT-PCR法による遺伝子発現解析では、両遺伝子はこれまで報告されている通り、組織での遺伝子発現パターンに差異が認められた。ヒトにおいては、UCP2やUCP3はUCP1と共に、肥満や糖尿病に関連している事が明らかになっている。今回の結果は、イヌにおけるエネルギー代謝のバランスに両遺伝子がどのような影響を及ぼしているのかを分子遺伝学的に解析するために必要な基礎的知見と考える。