著者
坂無 淳
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.592-610, 2015 (Released:2016-03-31)
参考文献数
31

本稿では, 大学教員の研究業績の男女差について分析を行う. 多くの先行研究では, 平均的には男性の業績が多い傾向が示されている. しかし, 研究業績には性別という属性以外に多くの規定要因があり, それらの要因を統制したうえでも, なお性別が規定要因となるかを明らかにする必要がある. そこで, 2010年に日本の地方国立大学で行った調査から, 大学教員の1年間の論文数を従属変数とした統計的な分析を行う. その結果, 単純に平均値を比較すると, 年1本ほど男性の論文数が多い傾向があった. つぎに, 性別に加え, キャリア年数, 研究以外の業務量 (授業担当数や学内会議数), 出張日数, 分野, 職階を独立変数に入れた重回帰分析と, 低い値に偏る従属変数の分布に適合した負の二項分布回帰を行った. その結果, 性別は規定要因とならず, むしろ分野や出張日数が強い規定要因となった. 具体的には, 分野では医歯薬学と比べて, 他分野では少なく (農学は除く), 出張日数が多い人は論文数が多い傾向がある. また, 婚姻や育児状況, それらと性別の交互作用など家族面の要因を独立変数としても, それらは規定要因とはならなかった. 結論として, 他の要因を統制すると, 性別は研究業績の規定要因とならず, 性別という属性に基づく研究業績の差は見られない. くわえて, 出張日数が研究業績に与える影響の大きさと, 多様な状況にある研究者への出張支援の重要さが示唆される.
著者
坂無 淳
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.19-36, 2007-06-10 (Released:2009-11-16)
参考文献数
25

本論文ではハラスメントと大学研究室の構造の関係を北海道大学の大学院生へのインタビュー調査から考える。大学研究室の構造には固定メンバーが長時間すごす閉鎖的な特徴があり,上下の関係としては研究室の権力がトップの教員に集中している。またジェンダーの関係として,ホモソーシャルな構造がみられる。具体的には,女性に対して(1)男性から女性への性的なジョーク,(2)少数派である女性が男性院生の友人を作りにくい状況,(3)研究が女性には向いて吟ないという偏見,(4)少数者である女性は会話の選択を強いられるという4点があり,同性愛に対しては同性愛ジョークがある。一方で,研究室では少数である女性院生の抵抗の戦略をみることもできた。上記のような閉鎖的でホモソーシャルな構造が大学研究室にできやすいようであるが,権力が集中する教員,また院生においても男性が多い。そこでは教員や多数派である男性院生に都合の良いように研究室の慣習がつくられ,下位で少数の女性院生が不利益を強いられることが多い。インタビューと『学生生活実態調査』からは「普通」の研究室にもハラスメントの潜在例は多く,大学の対応システムにのらない例も多い。また閉鎖的で教員の権力が強い,ホモソーシャルな構造のもとで,ハラスメントは温存される可能性が高いと考えられる。
著者
坂無 淳
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.19-36, 2007-06-10

本論文ではハラスメントと大学研究室の構造の関係を北海道大学の大学院生へのインタビュー調査から考える。大学研究室の構造には固定メンバーが長時間すごす閉鎖的な特徴があり,上下の関係としては研究室の権力がトップの教員に集中している。またジェンダーの関係として,ホモソーシャルな構造がみられる。具体的には,女性に対して(1)男性から女性への性的なジョーク,(2)少数派である女性が男性院生の友人を作りにくい状況,(3)研究が女性には向いて吟ないという偏見,(4)少数者である女性は会話の選択を強いられるという4点があり,同性愛に対しては同性愛ジョークがある。一方で,研究室では少数である女性院生の抵抗の戦略をみることもできた。<BR>上記のような閉鎖的でホモソーシャルな構造が大学研究室にできやすいようであるが,権力が集中する教員,また院生においても男性が多い。そこでは教員や多数派である男性院生に都合の良いように研究室の慣習がつくられ,下位で少数の女性院生が不利益を強いられることが多い。インタビューと『学生生活実態調査』からは「普通」の研究室にもハラスメントの潜在例は多く,大学の対応システムにのらない例も多い。また閉鎖的で教員の権力が強い,ホモソーシャルな構造のもとで,ハラスメントは温存される可能性が高いと考えられる。
著者
坂無 淳
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.592-610, 2015

本稿では, 大学教員の研究業績の男女差について分析を行う. 多くの先行研究では, 平均的には男性の業績が多い傾向が示されている. しかし, 研究業績には性別という属性以外に多くの規定要因があり, それらの要因を統制したうえでも, なお性別が規定要因となるかを明らかにする必要がある. そこで, 2010年に日本の地方国立大学で行った調査から, 大学教員の1年間の論文数を従属変数とした統計的な分析を行う. その結果, 単純に平均値を比較すると, 年1本ほど男性の論文数が多い傾向があった. つぎに, 性別に加え, キャリア年数, 研究以外の業務量 (授業担当数や学内会議数), 出張日数, 分野, 職階を独立変数に入れた重回帰分析と, 低い値に偏る従属変数の分布に適合した負の二項分布回帰を行った. その結果, 性別は規定要因とならず, むしろ分野や出張日数が強い規定要因となった. 具体的には, 分野では医歯薬学と比べて, 他分野では少なく (農学は除く), 出張日数が多い人は論文数が多い傾向がある. また, 婚姻や育児状況, それらと性別の交互作用など家族面の要因を独立変数としても, それらは規定要因とはならなかった. 結論として, 他の要因を統制すると, 性別は研究業績の規定要因とならず, 性別という属性に基づく研究業績の差は見られない. くわえて, 出張日数が研究業績に与える影響の大きさと, 多様な状況にある研究者への出張支援の重要さが示唆される.