著者
相川 駿 松嶋 真哉 横山 仁志 武市 梨絵 堅田 紘頌 渡邉 陽介 中田 秀一 中茎 篤
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.99-104, 2021-03-01 (Released:2021-03-01)
参考文献数
16

【目的】functional status score for the ICU(FSS-ICU)が自宅からICUに入院した本邦の重症患者において,急性期病院から直接自宅退院が可能か否かを予測する因子であるかを確認し,その目安となるカットオフ値を検討することである。【方法】対象は2017年4月1日から2019年3月31日までに,自宅から当院のICUに入室し48時間以上の人工呼吸管理を要した成人とした。調査項目はICU退室時のFSS-ICUおよび当院退院時の自宅退院の可否などを診療録より後方視的に調査した。【結果】解析対象は200例(年齢:72.0[58.0〜80.0]歳,男性:120例(60.0%),APACHEⅡscore:24.6±7.9点,FSS-ICU:12.5[0.0〜22.0]点)であり,その内訳は自宅退院群が61例(30.5%)であった。結果,FSS-ICUは自宅退院の可否の有意な予測因子であり(OR:1.200,95%CI:1.120〜1.290,P<0.001),そのカットオフ値は16点であった。【結論】FSS-ICUは自宅からICUに入院した本邦の重症患者においても,急性期病院から直接自宅退院が可能か否かを予測する因子であり,そのカットオフ値は16点であった。
著者
武市 尚也 石阪 姿子 西山 昌秀 堅田 紘頌 山川 留実子 平木 幸冶 井澤 和大 渡辺 敏 松永 優子 松下 和彦
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第28回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.18, 2009 (Released:2009-08-11)

【目的】 昨今,筋力評価法の一つとして,簡便な筋力評価機器であるHand Held Dynamometer (HHD)を用いた方法が活用されている。また,一般的に筋力増強運動の負荷設定の方法としては,1 Repetition Maximum(1RM)が用いられる。しかし,入院患者を対象とし,HHDで測定した値をもとに1RMの予測の可否について詳細に検討されている報告は少ない。本研究の目的は,膝伸展筋に限定し,1RM法の再現性およびHHD値からの1RMの予測の可否について明らかにすることである。 【方法】 対象は,当院リハビリテーション科において理学療法施行中の入院患者134例268脚(男性71例,女性63例)である。このうち,1RMの再現性は,20例40脚(男性10例,女性10例)を対象とした。1RMの測定肢位は,体幹を60度後傾した端座位とした。検者は,測定側の大腿遠位部を固定後,重錘を対象者の下腿遠位部に負荷し,下腿下垂位から膝関節を完全伸展するように指示した。そして最終挙上位で3秒保持可能な最大重錘量(kg)を1RMとした。なお1RMは,3日以内に同方法で2度の測定を行った。 HHDは,アニマ社製μ-tasF1を用い,測定肢位は,端座位,膝関節屈曲90度とした。検者は,圧力センサーを対象者の下腿遠位部に固定し,下腿下垂位から膝関節を伸展するよう指示した。HHDの測定は,左右3回施行し,その等尺性膝伸展筋力値(kgf)をHHD値とした。なお患者背景は,基礎疾患,年齢,身長,体重を診療記録より調査した。解析には,級内相関係数(ICC)および1RM法による膝伸展筋力値を従属変数,HHD値を独立変数とする単回帰分析を用いた。統計学的有意差判定の基準は5%とした。 【結果】 1.基礎疾患および各指標の平均値 疾患の内訳は呼吸器47例,循環器38例,代謝23例,消化器18例,その他8例であった。各指標の平均値は,年齢:70.0±13.5歳,身長:157.3±9.5cm,体重:51.6±11.1kg,1RM:4.6±2.2kg,HHD値:22.5±10.0kgfであった。 2.1RMの再現性 1RMは1回目:4.2±2.1kg,2回目:4.4±2.2kg,ICCは0.93であった(p=0.01)。 3. HHD値と1RMとの関連 解析の結果,1RM=HHD値×0.183+0.474 (R=0.82,R2=0.67,p=0.02)の予測式が得られた。 【考察】 1RMの再現性は,ICCが0.93と良好であった。また,HHD値から1RMが予測できることが明らかとなった。以上より,HHDによる筋力評価で得られた値から,膝伸展筋力増強時の負荷設定が可能と考えられた。
著者
渡邉 陽介 横山 仁志 笠原 酉介 堅田 紘頌 八木 麻衣子 小山 照幸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.385-390, 2010 (Released:2010-07-28)
参考文献数
24
被引用文献数
2

〔目的〕本研究では,肺切除術における術後呼吸器合併症の併発率や,合併症併発の予測因子について明らかにすることを目的に検討した。〔方法〕肺切除術を施行した全146例を対象とし,呼吸器合併症の有無を診療録より後方視的に調査し,呼吸器合併症の併発率,併発日を算出した。そして,術後呼吸器合併症の予測因子について,ロジスティック回帰分析を用いて検討した。〔結果〕術後呼吸器合併症の併発率は4.1%(146例中6例)と極めて低値を示し,併発日は2.2±2.2日であった。また,術前屋外自立歩行の可否(オッズ比15.2),慢性呼吸器疾患合併の有無(オッズ比9.9)が,呼吸器合併症の併発に独立して影響を与えていた。〔結語〕従来の報告に比較し,術後呼吸器合併症の併発率は低下傾向にあり,その予測因子も変化していることが推察された。