- 著者
-
多田 実加
渡邉 陽介
横山 仁志
- 出版者
- 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
- 雑誌
- 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, no.3, pp.478-481, 2015-12-31 (Released:2016-01-26)
- 参考文献数
- 14
長期人工呼吸器管理とステロイドの大量投与により,下肢近位筋優位の著しい筋力低下およびADLの制限をきたしたステロイドミオパチーの1症例について,下肢筋力と歩行能力の回復過程を報告する.症例は難治性気管支喘息の20歳代前半の女性で,第21病日に抜管し離床,上下肢筋力トレーニング,ADLトレーニングを開始した.この時,膝伸展筋力と脚伸展筋力の体重比はそれぞれ 0.05 kgf/kg,0.16 kg/kgであり,重度の低下を認めた.また,立位保持が全介助で歩行不可能であり,Barthel Indexは35点であった.(PSL 60 mg/日).理学療法開始後3週目に歩行器歩行が可能となり(Barthel Index 60点),8週目には膝伸展筋力は 0.12 kgf/kgと著しい低下が残存したものの,脚伸展筋力は 0.91 kg/kgと明らかな改善を認め,9週目に自立歩行を獲得し自宅退院となった(Barthel Index 95点,PSL 4 mg/日).重度の筋力低下を呈したステロイドミオパチー症例の脚伸展筋力は膝伸展筋力に比べ歩行能力と強く関連し,下肢支持力の回復を反映する可能性が示唆された.