著者
大久保 将貴
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.20-34, 2019 (Released:2020-06-25)
参考文献数
53
被引用文献数
1

因果推論とは,因果効果を識別するための仮定を満たすような工夫や戦略のことを意味する.因果推論については,すでに膨大な理論と方法が提起されている.ただし,因果推論が必ずしも具体的な方法と対応しているわけではないため,因果推論といった時にイメージする理論と方法は分野間で大きく異なる.本稿では,社会科学のみならず様々な分野の視点を考慮し,因果推論の理論と方法を体系的にレビューする.さらに,因果推論の限界と可能性について,今日でも繰り広げられている論争を紹介する.
著者
大久保 将貴
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.20-34, 2019

<p> 因果推論とは,因果効果を識別するための仮定を満たすような工夫や戦略のことを意味する.因果推論については,すでに膨大な理論と方法が提起されている.ただし,因果推論が必ずしも具体的な方法と対応しているわけではないため,因果推論といった時にイメージする理論と方法は分野間で大きく異なる.本稿では,社会科学のみならず様々な分野の視点を考慮し,因果推論の理論と方法を体系的にレビューする.さらに,因果推論の限界と可能性について,今日でも繰り広げられている論争を紹介する.</p>
著者
大久保 将貴 オオクボ ショウキ Okubo Shoki
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
no.35, pp.19-37, 2014

本稿の目的は、制度研究における最新の動向をサーベイすることである。社会科学において、制度は古くからの研究対象であったが、近年、社会現象の理解のために、「制度が重要な意味をもつ (Institutions matter)」ことが一層認識されている。制度研究の歴史をサーベイした論文は存在するものの、とりわけ2000年以降の研究動向を包括的に紹介したものは極めて少ない。そこで本稿では、最新の制度研究の動向を提示することで、制度研究のフロンティアにおける成果と課題を明らかにする。具体的には第1に、従来は対立的だとみなされてきた社会科学における各制度論が、今日では補完的に用いられていることを指摘し、それはどのような仕方であるのかを提示する。第2に、今日の制度研究は内生的な制度変化を説明するという問題に直面していることを指摘する。第3に、上記2点の課題に対し具体的に採用されている分析手法として、ゲーム理論と実験室実験、反実仮想による因果推論、操作変数法の3つを取り上げ、最新の研究事例とともにその方法を紹介する。This paper reviews the latest theories and methods in institutional analysis in the social sciences. First, it makes abundantly clear how the contemporary paradigm of institutional analysis involves an "intellectual trade" that transcends the traditional boundaries of the social sciences. Second, it makes clear that institutional analysis faces a problem of explaining endogenous institutional change. Third, it surveys methods of game theory, causal inference and instrumental variables that are pivotal analytical methods in recent institutional analysis. While these three analytical methods will inevitably remain a formidable challenge, the prospects for game theory, causal inference and instrumental variables in sociology may thus be better than their current reputation would suggest.
著者
大久保 将貴 オオクボ ショウキ Okubo Shoki
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.19-37, 2014-03-31

本稿の目的は、制度研究における最新の動向をサーベイすることである。社会科学において、制度は古くからの研究対象であったが、近年、社会現象の理解のために、「制度が重要な意味をもつ (Institutions matter)」ことが一層認識されている。制度研究の歴史をサーベイした論文は存在するものの、とりわけ2000年以降の研究動向を包括的に紹介したものは極めて少ない。そこで本稿では、最新の制度研究の動向を提示することで、制度研究のフロンティアにおける成果と課題を明らかにする。具体的には第1に、従来は対立的だとみなされてきた社会科学における各制度論が、今日では補完的に用いられていることを指摘し、それはどのような仕方であるのかを提示する。第2に、今日の制度研究は内生的な制度変化を説明するという問題に直面していることを指摘する。第3に、上記2点の課題に対し具体的に採用されている分析手法として、ゲーム理論と実験室実験、反実仮想による因果推論、操作変数法の3つを取り上げ、最新の研究事例とともにその方法を紹介する。
著者
大久保 将貴 オオクボ ショウキ Okubo Shoki
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
no.34, pp.73-91, 2013

本稿の目的は、社会科学における制度研究をサーベイするとともに、一連の制度研究が、日本の社会保険制度の発展構造分析にいかに応用できるのかを考察することである。「制度変化はいかにして起こりうるか」という問いは、現在、社会科学者が直面している難問である。制度研究は「制度とはなにか」という問いに始まり、過去に多くの研究成果が提出されており、とりわけ、政治学、社会学、経済学において活発に議論されている。制度研究においては、各分野の固有の分析枠組みが相互対立的に捉えられがちであったが、近年では、各方法論は相互補完的であることが認識されるに至っている。本稿では第1 に、社会科学における近年の制度研究をサーベイし、各分析枠組みの特徴と限界を整理する。第2 に、「社会保険制度の発展構造はいかなるものか」という問いを軸に、制度変化の理論的枠組みを提示する。第3 に、提出された制度変化理論の諸段階で生じている制度強化と意図せざる制度帰結に関するモデルを提示する。社会保険制度の発展構造分析における主要な問いは、「ある特定の社会保険制度が、歴史上のさまざまな場面で、なぜ、どのように出現し、何がその存続と衰退をもたらしたのか」というものである。この問いに応えるためには、各制度構造とその前史の成立過程を複眼的に分析し、各時代における制度をとりまくプレイヤーが直面する制約条件と選択肢を「追体験」することが不可欠である。This paper asks why and how institutions change and proposes an analytical-cum-conceptual framework for understanding institutional change in social insurance in Japan. First, it surveys preceding studies on institutions and institutional change in the social sciences. Second, it proposes a theoretical framework for institutional change in social insurance in Japan. Third, it proposes models over institutional reinforcement and unintentional outcomes.
著者
大久保 将貴
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.147-167, 2017

<p>本稿の目的は,介護労働における早期離職率の規定要因を明らかにし,さらに,2009 年10 月より2 年半の時限措置として導入された「介護職員処遇改善交付金」が,早期離職率にいかなる影響を与えたのかを検証することである.</p><p>介護保険制度の創設以来,要介護高齢者が増加の一途をたどる一方で,介護労働者は慢性的に不足しているため,今日の介護労働をめぐる最も大きな問題は人材不足であるとも言われている.</p><p>こうした人材不足の背景には早期離職率の高さがある.今後のさらなる介護労働需要の高まりを考えると,早期離職率の規定要因を解明し,</p><p>「介護職員処遇改善交付金」という過去の政策介入がどれほどの効果をあげたのかを明らかにすることは,持続可能な介護保険制度を運営する上で喫緊の課題である.</p><p>本稿では上記の問題意識に基づき,全国の介護保険サービス事業所を対象とした大規模調査を用いた分析を行った結果,以下の3 点が明らかとなった.</p><p>第1 に,正規職と非正規職では早期離職率の規定要因が異なる.第2 に,早期離職率と離職率では正規・非正規ともに規定要因が異なる.</p><p>第3 に,介護労働者の離職を防ぎ定着を図る目的で2009 年に実施された「介護職員処遇改善交付金」が早期離職率に与えた効果は限定的である.</p>