著者
沼田 宗純 秦 康範 大原 美保 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.643-652, 2010-11-01 (Released:2011-05-12)
参考文献数
10
被引用文献数
2

本研究では,災害医療情報をリアルタイムに収集し,医療機関・行政・住民等,地域全体で災害医療情報を共有するためのITトリアージシステムを開発した.本システムを山梨大学医学部附属病院で行われた450名規模のトリアージ訓練において適用した結果,リアルタイムにトリアージレベル別の患者数の把握,各診療科の受診患者数の把握,容易なトリアージレベルの変更対応等,トリアージの高度化だけでなく,他病院,行政,住民を含めた地域全体で情報共有が可能となり,迅速な転院対応や住民からの問い合わせ対応が可能であることが確認できた.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
大原 美保 江島 潤一郎 目黒 公郎
出版者
東京大学
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.112-116, 2008-05

生産技術研究所都市基盤安全工学研究センター(ICUS)では, 更なる安全体制の確立を目指してIT強震計による生研建物のモニタリングシステムの導入を行った.IT強震計システムは, 東京大学地震研究所地震予知情報センターの鷹野澄准教授により開発された計測システムであり, 本論文では生産技術研究所建物内18箇所へのIT強震計の設置状況と2007年度における観測結果を報告した. 2007年4月1日から2008年3月10日までに32回の地震を観測し, 7月16日の新潟県中越沖地震での揺れも観測することができた.平常時のモニタリングおよび地震時の波形はWEB上で公開しており, 所外からも閲覧することができる.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
大原 美保 近藤 伸也 沼田 宗純 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.739-747, 2011 (Released:2011-12-27)
参考文献数
32

災害発生後は多数の組織が異なる被災地調査を行うが, 被災地への過度の負担を避けるためには組織間の連携や情報共有が不可欠である.また, 東日本大震災のような未曾有の広域災害に対しては, 既存の学術領域に枠組みに基づく活動だけでは, 新たに出現した社会問題に対して解決策を提示できない可能性がある.本研究では, 東日本大震災の総合対応に関する学協会連絡会に所属している21学会および学会ウェブサイトに震災後の活動情報を掲載している58学会を対象として, 震災後の活動状況をレビューし, 体制整備, 学会間の連携状況, 提言活動, 相談への対応や専門家の派遣という4つの視点から比較分析した.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
下野 大樹 大原 美保 目黒 公郎
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.633-636, 2010

鉄道の早期地震警報は,地震時に新幹線を制御することを目的に開発・導入されてきた.しかし近年では,在来線や多くの私鉄にもP波検知による警報システムが導入されている.そこで本研究では,各鉄道事業者の警報システムが,首都圏の鉄道ネットワーク上で実現できる余裕時間(警報を受信してからS波が到達するまでの時間)を,中央防災会議で想定される東京湾北部地震(M7.3)を対象に算出し,鉄道事故のリスク軽減による減災効果を検証した.その結果,多くの鉄道利用者の危険率が半分以下となり,さらに鉄道事業者間で警報を共有することにより,S波到達前に警報を受け取れる鉄道利用者が大幅に増加することがわかった.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
大原 美保 地引 泰人 関谷 直也 須見 徹太郎 目黒 公郎 田中 淳
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.1055-1060, 2009

2008年岩手・宮城内陸地震は, 主要動の到達の前に緊急地震速報が発表された初めての地震であるとともに, J-ALERT(全国瞬時警報システム)を介して防災行政無線から緊急地震速報が放送された初めての事例でもあった.本研究では, J-ALERTにより緊急地震速報が放送された山形県東田川郡庄内町を対象として, 緊急地震速報放送の効果に関するアンケート調査を行った.防災行政無線放送で緊急地震速報を聞いた人は, テレビで見聞きした人の2倍以上となり, 広く情報を伝えるには防災行政無線が有効であることが確認された.しかし, 放送後に身を守る行動を行った人は少なく, 今後は望ましい行動に関する周知が必要であると考えられた.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
大原 美保 目黒 公郎
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.555-560, 2008

本研究では, 首都直下地震時に想定される災害拠点病院および救急病院への重症患者の搬送ニーズを推計した.被災現場から救出された重症者が各病院に搬送される確率をエントロピーモデルにより表現した.モデルのパラメーターを変化させて, 患者搬送において最短距離が重視される場合や病院規模が重視される場合などのシミュレーションを行い, 様々な状況の定量化を目指した.この結果, 多数の重症者が想定される東京都東部での災害拠点病院の拡充, 周辺地域への適切な患者誘導などの事前の準備が必要であると考えられた.