著者
野村 浩司 大原 美保 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.709-712, 2009 (Released:2009-08-05)
参考文献数
13

現在, 首都直下型地震などの巨大地震の発生が危惧されており, 特に都市部で発生する地震が日本経済へ及ぼす影響は大きい.本研究では, 兵庫県南部地震を対象として, 地震前後での土地価格の変動率関数を作成し, 地震が土地価格に及ぼす影響を分析した.地震直後の1996年は建物被害程度が大きいほど土地価格が下落したが, 2年目の1997年には全壊・全焼率が高い地域では土地価格の下落が止まる一方で, 半壊率が高い地域では下落し続けた.3年目以降は, 全壊・全焼率の高い地域から土地価格が回復し始めたが, 半壊率の高い地域では土地価格の回復に遅れが見られ, これは地域の復旧・復興の遅れによるものと考えられた.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
南雲 直子 大原 美保 藤兼 雅和 井上 卓也 平松 裕基 ジャラニラ サンチェズ パトリシア アン
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.123-136, 2022 (Released:2022-06-04)
参考文献数
17

地理情報や被災記録に乏しい途上国において将来の洪水災害に備えるためには,ハザード情報を簡単に可視化・共有でき,住民らが地域の氾濫特性を理解するための手助けとなるような技術が重要な役割を果たす.そこで本研究では,フィリピン共和国の洪水常襲地を対象に,Google Earthを用いて降雨流出氾濫(RRI)モデルによる洪水氾濫計算結果を描画し,建物高さと浸水深の関係を可視化できる3D浸水ハザードマップを作成した.また,このハザードマップに関する講義およびチュートリアル教材を作成し,フィリピンでの技術普及を目的としたオンライン研修で取り上げた.その結果,3D浸水ハザードマップはフィリピンの人々も簡単に作成・利用できるものであり,地域の浸水リスクを理解するのに役立つことが明らかとなった.Google Earthは多言語に対応する無償ソフトウェアであることから,本研究によるハザードマップ作成手法は予算や人材が不足する途上国においても有用な技術であると考えられる.
著者
大原 美保
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
地震工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.5_2-5_16, 2015

東日本大震災後以降、多くの自治体が「災害・避難情報伝達手段の多層化」に取り組みつつある。災害・避難情報伝達手段には、受信者の状況に関わらず情報を伝達可能であるPUSH型の手段と、受信者側で何らかのアクションを行わないと情報を閲覧できないPULL型の手段があり、両者の効果的な活用が必要である。本研究では、首都圏の自治体へのアンケート調査を行い、自治体におけるPUSH型及びPULL型の災害・避難情報伝達に関する現状と今後の課題に関する分析を行う。前半ではまず、自治体での各種伝達手段の利用状況を概観する。後半では、近年普及が目覚ましい携帯電話を用いた情報伝達に着目し、PUSH型の手段である緊急速報メール(エリアメール)と、PULL型の手段である住民登録型のメールサービスを比較した上で、利用状況・発信内容の違いや今後の課題を明らかにする。
著者
藤生 慎 沼田 宗純 高田 和幸 大原 美保 目黒 公郎
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.4_189-4_200, 2012

本稿は東北地方太平洋沖地震で被災した三陸鉄道の現地調査やヒアリング調査を通じて、三陸鉄道の復旧・復興のプロセスをまとめたものである。当初、三陸鉄道は被害の状況から復旧は絶望視されていたが、沿線住民の復旧の強い要望や岩手県、沿線自治体の要望により新たな復旧資金スキームを創設し復旧のプロセスに入ることが可能となった。その背景には、東北地方太平洋沖地震での三陸鉄道の防災施設としての役割や三陸地方特有の地形による移動の困難さ、気候、復旧資金スキーム創設の考え方の工夫などがあり復旧することが可能となったことが明らかとなった。
著者
藤生 慎 大原 美保 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.453-457, 2013

我が国では近い将来,大規模地震の発生が懸念されており,莫大な数の建物被害が想定されている.これらの建物被害に対して迅速に被害認定を行い生活再建のための罹災証明書を発行するためには,莫大な数の人材が必要となる.しかし,危険かつライフラインが途絶した環境の被災地内に多くの調査員を派遣するには,調査員の安全や衣食住の確保に関する問題など,多くの困難を伴う.そこで筆者らは,地震後の迅速な被害認定・罹災証明書発行のために,ITを用いて被災地内と被災地外を有機的に結び付け,被災地外の人材を有効活用することを可能とする遠隔建物被害認定システムを提案した<sup>1), 2)</sup>.本稿では,提案システムのうち被災地内の要員が被災建物の写真撮影を行うプロトタイプシステムの開発,要素技術の検討,被災地内からの写真アップロードシステムを用いた実証実験について述べる.
著者
南雲 直子 大原 美保 バドリ バクタ シュレスタ 澤野 久弥
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.361-374, 2016 (Released:2016-11-16)
参考文献数
22
被引用文献数
2

洪水常襲地帯であるフィリピン共和国パンパンガ川下流域のブラカン州カルンピット市をモデル地域に,降雨流出氾濫モデルによる洪水氾濫解析とGISマッピングを実施し,地域の住民避難や時系列の洪水災害対応計画に役立つリソースマップ,浸水想定マップ,浸水確率マップ,浸水チャートを作成した.こうした資料の作成には,高解像度数値標高モデルをはじめとする地理空間情報と洪水記録の蓄積が必須である.また,地域の浸水危険性の把握には洪水氾濫解析結果だけでなく,地理学的視点からの土地の成り立ちへの理解も重要で,同時に住民が自ら考え行動できるよう継続的な支援を行っていくことが洪水被害の軽減に役立つ.
著者
藤生 慎 大原 美保 中山 晶一朗 髙山 純一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.I_865-I_872, 2015

大規模地震災害時に発生しうる莫大な数の建物被害認定調査を効率的かつ迅速に実施するための遠隔建物被害認定システムのうちスマートフォンを用いた建物被害認定の学習アプリを作成した.アプリの作成にあたり,いくつかの被災住宅を3Dモデル化し,地震動による被害を自動で生成できる建物被害生成システムを開発した.さらに,建物被害生成システムの結果をムービーとして出力し,iphoneやipadなどのモバイル端末で建物被害認定調査の学習ができるアプリを開発した.
著者
大原 美保 地引 泰人 関谷 直也 須見 徹太郎 目黒 公郎 田中 淳
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.1055-1060, 2009 (Released:2010-02-23)
参考文献数
6

2008年岩手・宮城内陸地震は, 主要動の到達の前に緊急地震速報が発表された初めての地震であるとともに, J-ALERT(全国瞬時警報システム)を介して防災行政無線から緊急地震速報が放送された初めての事例でもあった.本研究では, J-ALERTにより緊急地震速報が放送された山形県東田川郡庄内町を対象として, 緊急地震速報放送の効果に関するアンケート調査を行った.防災行政無線放送で緊急地震速報を聞いた人は, テレビで見聞きした人の2倍以上となり, 広く情報を伝えるには防災行政無線が有効であることが確認された.しかし, 放送後に身を守る行動を行った人は少なく, 今後は望ましい行動に関する周知が必要であると考えられた.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
大原 美保
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.5_2-5_16, 2015 (Released:2015-10-21)
参考文献数
21

東日本大震災後以降、多くの自治体が「災害・避難情報伝達手段の多層化」に取り組みつつある。災害・避難情報伝達手段には、受信者の状況に関わらず情報を伝達可能であるPUSH型の手段と、受信者側で何らかのアクションを行わないと情報を閲覧できないPULL型の手段があり、両者の効果的な活用が必要である。本研究では、首都圏の自治体へのアンケート調査を行い、自治体におけるPUSH型及びPULL型の災害・避難情報伝達に関する現状と今後の課題に関する分析を行う。前半ではまず、自治体での各種伝達手段の利用状況を概観する。後半では、近年普及が目覚ましい携帯電話を用いた情報伝達に着目し、PUSH型の手段である緊急速報メール(エリアメール)と、PULL型の手段である住民登録型のメールサービスを比較した上で、利用状況・発信内容の違いや今後の課題を明らかにする。
著者
大原 美保 川崎 昭如 近藤 伸也 田中 淳
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.553-556, 2012

近年,災害情報の伝達手段の一つとして,携帯電話のエリアメールによる情報伝達が普及しつつある.2011年9月に台風12号が通過した際,香川県内ではエリアメールによる住民向けの避難情報の伝達が行われた.本研究ではこの事例に着目し,住民アンケート調査に基づいて情報伝達・受容の実態調査を行った.住民にとってはエリアメールによる災害・避難情報を初めて受け取る機会であったが,否定的な意見は少なく,効果に期待する声が多かった.一方,避難の必要性を伝える文面については課題も見られ,今後の情報発信への示唆が得られた.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
大原 美保 目黒 公郎
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.517-520, 2011

東京大学生産技術研究所では, 平成22年2月24日から緊急地震速報の高度利用を開始している.高度利用者向けの緊急地震速報(予報)を受信し, キャンパスに震度3以上の揺れが到達すると予想された場合に, An, As, B-F棟の放送設備より館内放送が行われる.2011年3月11日午後14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震の際には, 14時47分2秒に発表された緊急地震速報第九報で予想震度が2.7となり, 主要動到達の約1分前に緊急地震速報放送により警戒を呼びかけることができた.地震後の構成員へのアンケートからは, 放送が役に立ったという意見とともに, 予測震度が低かったことへの戸惑いも見られた.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
石川 哲也 近藤 伸也 川崎 昭如 大原 美保 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.473-479, 2013

本研究では,2011年台風12号豪雨水害で被災した十津川村を事例として,地方自治体のインタビュー調査から地域での情報伝達の現状と課題を明らかにした.そして被災者を支援する活動を行った十津川村出身者によるツイッターアカウントを対象として,情報発信経路と情報種別の観点からツイッターデータを分析し,情報発信の主体ごとの拡散性の高い情報種別の特定や,時間推移ごとの災害情報の拡散性について定量化するとともに,他の通信手段と比較したソーシャルメディアの効果的利用方法の可能性を検討した.
著者
石川 哲也 近藤 伸也 川崎 昭如 大原 美保 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.545-552, 2012

災害時の行政機関のソーシャルメディアによる情報発信について,その重要性が調査等で明らかにされているが,その効果的な運用方法や運用の課題が明らかにされていない.そこで本研究では,東日本大震災もしくは紀伊半島水害時にソーシャルメディア上で情報伝播の要として活躍した4つの組織・個人のアカウント運用者に対してヒアリング調査を行い,ソーシャルメディア運用の特徴や課題を整理した.そして災害時の行政機関アカウントの運用指針の提案,そして課題に対して調査から明らかになった知見を踏まえた解決策の提案を行った.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
南雲 直子 バドリ バクタ シュレスタ 大原 美保 澤野 久弥
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

フィリピン共和国ルソン島中部のパンパンガ川流域は、 2015年10月中旬に襲来した台風24号及び12月中旬の台風27号により流域の広い範囲が浸水した。台風27号による降水量は台風24号のものよりも多かったが、観測された河川水位・浸水深、人的・建物被害は台風24号の方が大きかった。また、両台風による降水量・洪水規模は、過去30年間で最大とされる、2011年台風17号を超えることはなかった。フィリピンではNDRRMC(National Disaster Risk Reduction and Management Councilを中心に広域行政区、州、市、バランガイにそれぞれDRRMCが設置され、防災体制は他の東南アジア諸国と比べ進んでいる。しかし、洪水が頻繁に発生し、ある程度の時間差で上流から下流へと洪水が波及するパンパンガ川流域では、ハザードマップ作成やリスク評価とともに、地域レベルでのタイムライン策定など、より良い復興のための対策を今後も充実させていくことが必要であろう。
著者
藤生 慎 沼田 宗純 大原 美保 目黒 公郎
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.96-105, 2013 (Released:2013-06-18)
参考文献数
11
被引用文献数
2

本稿は東北地方太平洋沖地震で被災した住家に対して実施された建物被害認定調査の実施状況をアンケート調査を通じてまとめたものである.アンケート調査では,調査期間,実施体制,支援体制,トレーニング体制などを明らかにした.分析の結果,各自治体とも発災後1か月以内に調査を開始しているが,1ヶ月以降に調査方針の変更などがあり,現場に混乱が生じたことが明らかとなった.また,過去の地震災害で実施された建物被害認定調査で指摘されている問題が解決されることなく今回の調査でも生じていた.特に判定要員のトレーニングは,調査実施前に短時間で実施されており,調査結果に対する影響が少なからず生じている可能性が考えられることも明らかとなった.
著者
川崎 昭如 目黒 公郎 近藤 伸也 大原 美保 小高 暁 田平 由希子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、山間・農村地域の災害対応力向上に資する情報伝達のあり方と技術戦略を多角的に検討した。特に携帯電話の利用に着目し,SMSの一斉メール送信を使った災害情報伝達に関する社会実験を実施した.その結果,屋外スピーカーによる情報伝達が及ばない範囲においてもSMSによる情報伝達が確認できた.また、東南アジアと我が国の地方行政の水害対応を比較として,行政から住民までの情報伝達過程を,組織間の役割分担と情報マネージメントの視点から整理した.さらに、我が国の自治体での災害・避難情報伝達に関する実態調査を行い、東日本大震災後に緊急速報メールをはじめとする新たな伝達手段が広く普及したことを明らにした。
著者
藤生 慎 沼田 宗純 高田 和幸 松原 全宏 大原 美保 目黒 公郎
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.4_177-4_188, 2012 (Released:2012-09-28)
参考文献数
8
被引用文献数
2

本研究では、東北地方太平洋沖地震時に発生した帰宅困難者に対してwebアンケートを実施し、帰宅困難者の基礎特性や帰宅経路などを明らかにした。その結果を集計したところ、火災の危険性や建物の倒壊の危険性が高い地域を経由し帰宅行動がなされていることが明らかになった。また、帰宅困難者を被災地内(都心)で受け入れるための施設の在り方の検討を行った結果、病院では、帰宅困難者が多数発生する一方、出勤困難者に対する対応も必要であることが明らかとなった。
著者
沼田 宗純 野村 浩司 大原 美保 目黒 公郎 鷹野 澄
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.1042-1046, 2009

2009年8月11日に静岡県の駿河湾を震源とする深さ約23km,マグニチュード6.5の地震による生研で観測された加速度記録を紹介する。観測の結果、建物の振動特性は、F棟建物の東西方向,南北方向の固有周期はそれぞれ0.505秒,0.569秒であった。建物の変位特性は、生研建物は南北に長手方向があり ,壁の量は東西方向のほうが多いことから南北方向に卓越した変位が現れた.地盤の増幅特性は,0.3秒付近の短周期成分が優勢であることがわかり,建物の固有周期が0.5秒であることから,地盤と建物は卓越周期が異なるため共振することはないと考えられる.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
山本 了平 大原 美保 目黒 公郎
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.829-833, 2012

緊急地震速報は,地震被害の軽減手段として期待されているが,企業における緊急地震速報の利用はごく一部に限られており,更なる普及が望まれる.本研究では,アンケート調査に基づいて,企業による東日本大震災における緊急地震速報の利用状況を分析した.東日本大震災においては,工場などの生産施設で緊急地震速報を受信した場合に特に被害軽減効果が高くなった.しかし,企業の多くが緊急地震速報受信後に館内放送を行っているが,放送基準を高めに設定しているため,緊急地震速報(予報)を十分に活用できていない点が明らかとなった.情報利用の更なる普及には,受信端末や受信料のコストの問題だけでなく,速報自体の信頼性の課題も大きいことがわかった.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
大原 美保 目黒 公郎 田中 淳
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.811-816, 2011 (Released:2011-12-27)
参考文献数
4

2011年3月11日14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震後, 相次ぐ余震活動により緊急地震速報が多数発表され, 住民が速報を見聞きする機会が増えた.本研究では本地震前後での緊急地震速報に対する住民意識の変化について, (1)緊急地震速報の認知度, (2)空振りに対する意識, (3)速報の聞き取り状況, (4)速報を見聞きした場合の対応行動, (5)速報への評価という5つの観点から分析した.この結果, 東日本大震災後, 緊急地震速報の認知度や速報を瞬時に理解する認識力は飛躍的に向上したことがわかった.また, 地震前から緊急地震速報の技術的課題を認識していた場合には空振りへの許容度が高くなった.[本要旨はPDFには含まれない]