著者
大橋 岳通
出版者
社団法人 日本印刷学会
雑誌
日本印刷学会誌 (ISSN:09143319)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.72-77, 2008 (Released:2011-04-15)

折本は,印刷·出版·製本·宣伝広告·メーリング等で欠かせない役割をもつ.(1)書籍用頁折では4~32頁等が有り,手帳折では平行巻き16頁平行二つ折+直角巻き四つ折の16頁などがある.(2)商業印刷用折では,パンフレット/カタログ等の平行二つ折,カンノン折,ジグザグ折など,ダイレクトメ-ルは,A3用紙対応の平行二つ折+直角巻き三つ折などがある.(3)特殊折では,経本がジグザグ折加工され,地図は開閉しやすく折り皺の抑制を避ける折り方がされる.紙折機は手折りした折見本を広げて折部分を採寸して,給紙部・紙搬送部・羽折部の各寸法設定と紙厚ローラーギャップ調整を行う.この作業は10分~60分位時間を要するが最近ではコンピュ-タ制御が可能となっている.紙折機の加工方法は,平行折は羽折,直角折は羽折式とナイフ折式がある.
著者
大橋 岳
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第21回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.68, 2005 (Released:2005-06-07)

(目的)アフリカにおいてブッシュミートはいまだ珍重されており、チンパンジーの生息域にも多くの罠が設置されている。罠のターゲットとして想定されていなくても、実際にはそこを利用する動物たちに無差別にダメージを与える可能性がある。最近になり、チンパンジーにおいても約20%の個体が何らかの被害を受けている群れの存在や、罠の被害が死につながった例が報告されてきた。一方、29年におよぶ長期調査がおこなわれてきたギニアのボッソウでは、罠によって怪我をした個体の報告が1例(Matsuzawa, 1994)あるが、致命的な怪我を負ったチンパンジーの例はない。ヒトとチンパンジーの生活圏が極めて近く、現実に保護区に多数の罠が設置されているボッソウの状況を考えれば、チンパンジーがどのように被害を回避してきたのか疑問が残る。 (方法)チンパンジーを追跡しているさい、実際に罠の付近を通過することがある。そのとき、対象個体と同じパーティにいるチンパンジーがどのように振舞うのかを逐次記録した。調査期間は2002年から2004年までの延べ15ヶ月間である。 (結果)通過する近辺のものに対して、罠に触れて壊そうとする行動を6例観察した。そのうち2例は実際に罠を不活性化させることに成功した。このような行動はコドモからオトナまで、5個体のオス個体にみられた。まわりにいるにもかかわらずメスの積極的な行動は観察されなかった。 (考察)罠に対する積極的な行動をおこすことによって、事前に罠を不活性化できるだけでなく、罠を壊せなくても周辺個体の注意を喚起することもできるだろう。このことがボッソウでの罠の被害回避に貢献しているにちがいない。このような行動が複数個体、しかもコドモにおいてもみられることから、罠への振る舞いが世代を超えて定着していると考えられる。
著者
松沢 哲郎 ハムル タチアナ クープス カテリーナ ビロ ドラ 林 美里 ソウザ クローディア 水野 友有 加藤 朗野 山越 言 大橋 岳 杉山 幸丸 クールマ マカン
出版者
Primate Society of Japan
雑誌
霊長類研究 = Primate research (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.45-55, 2004-06-30
被引用文献数
1 15

The present paper reports the death of wild chimpanzees through a flu-like epidemic at Bossou, Guinea, West Africa. The community at Bossou has been studied continuously since 1976. Records from the past 28 years show that the number of chimpanzees in the Bossou community has been relatively stable, at around 20 individuals. In late November 2003, chimpanzees at Bossou began to cough. Within a month, five chimpanzees died: two very old females, one adolescent male, and two infants. The mothers of the two dead infants continued to carry the corpses, which eventually mummified. One mother used a stick to chase flies away from the dead infant's body in addition to using her hands. The transportation of infants' mummified bodies may be yet another example of cultural behavior unique to this community. A 12 year-old young mother, who lost her first offspring in this epidemic, remained with the community for two months following the death of the infant, after which she disappeared, most likely immigrating to a neighboring community. We inspected the year-by-year change of age-sex composition in the Bossou community. This revealed that the proportion of old members gradually increased while many young members immigrated. Such a gradual change in the population in addition to the epidemic suggests that this community is in serious danger. The paper also introduces our conservation efforts to attempt to save this important community: the "Green corridor project" which entails the planting of trees in the surrounding savanna in order to create a passage between Bossou and the Nimba Mountains, 4 km away. This might be a model case of connecting chimpanzee habitats that have become isolated through increasing human activity, a very common problem in West Africa.
著者
松沢 哲郎 友永 雅己 田中 正之 林 美里 森村 成樹 大橋 岳
出版者
京都大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2008-06-04

人間の認知機能の発達をそれ以外の霊長類と比較した。進化的に最も近いチンパンジーが主な対象である。チンパンジーの子どもには人間のおとなより優れた瞬間記憶があるという新事実を見つけた。いわばチンパンジーは「いま、ここという世界」を生きているが、人間は生まれる前のことや死んだあとのことに思いをはせ、遠く離れた人に心を寄せる。人間の「想像するちから」はそれ以外の動物には見出しがたいことが明らかになった。