著者
大江 智子 大畑 素子 有原 圭三
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.16, no.Suppl, pp.Suppl_52-Suppl_53, 2013-07-03 (Released:2013-09-27)
参考文献数
3

ネコは、マタタビに含まれるイリドミルメシンやアクチニジンなどの揮発性成分に対し、特徴的な反応を示す。本研究では、ネコが反応を示すマタタビ中の新たな成分の検出を目的とし、高真空香気蒸留法およびガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)装置を用いて検討した。マタタビの葉に含まれるモノテルペン化合物類に着目して同定したところ、7種類が検出された。このうち、ネコの反応との関係性が詳細には判明していないモノテルペン化合物で、標品として入手可能な4種類を用いて、ネコへの曝露実験を行ったところ、プレゴンで反応が確認された。
著者
楠 比呂志 長谷 隆司 佐藤 哲也 土井 守 奥田 和男 上田 かおる 大江 智子 林 輝昭 伊藤 修 川上 茂久 齋藤 恵理子 福岡 敏夫
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.25-30, 2006
参考文献数
29
被引用文献数
3 3

国内の3施設で飼育されていた18頭の成熟雄チーターから,経直腸電気射精法で採取した31サンプルの精液の性状を分析した。なお18頭中13頭は,繁殖歴がなかった。18頭の雄の精液の性状は,精液量が0.91±0.11ml,精液pHが8.1±0.1,総精子数が32.6±5.4百万,生存精子率が84.9±1.9%,精子運動指数が53.7±3.8,形態異常精子率が66.1±3.4%,正常先体精子率が68.5±5.1%で,これらの値は,他のチーターにおける報告値の範囲内であった。繁殖歴がある雄とない雄の精液を比較したところ,先体正常精子率以外のパラメーターについては,両者間で有意な差はみられず,繁殖歴がない雄の正常先体精子率(59.8%)も致命的なほど低くはなかった。以上の結果から,飼育下の雄チーターにおける低受胎の主因が,精液性状の低さである可能性は少ないと考えられた。
著者
橋田 哲士 長神 大忠 上田 佳代子 西角 知也 中川 大輔 瀧田 豊治 栗田 大資 上道 幸史 深井 正輝 久保田 浩 上田 かおる 大江 智子 奥田 和男 楠 比呂志 土井 守
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.8, pp.847-851, 2006-08-25
被引用文献数
3

雌バーラル(Pseudois nayaur)の血中プロジェステロン(P_4)濃度の年変動を調査し,繁殖季節や発情周期,春機発動などバーラルの繁殖生理を明らかにしようとした.雌バーラル9頭から週1〜2回血液を採取し,ラジオイムノアッセイによりP_4濃度を測定した.血中P_4濃度は,11月または12月(冬)から5〜6月(晩春)までの期間のみ周期的に変動した.この変動に基づく発情周期は,平均24.9±0.5日間であった.血中P_4濃度の上昇開始期前後に,他の雌を追い回す行動や外陰部からの粘液漏出が認められ,これらはバーラルの発情を示す外見的指標になると考えられた.交尾後,妊娠した個体の血中P_4濃度は,周期性を失い,高い値を維持した.調査した37出産例において,出産は4〜9月の間にみられ,5月と6月に全体の約70%が集中していた.出産年月日から推定した受胎時期は10〜4月で,12月が54%と最も多かった.12月は,血中P_4濃度の変動期間の初期にあたることから,ほとんどのバーラルは繁殖季節開始後の早い時期に妊娠し,妊娠しない場合は約25日間の発情周期を繰り返していることが明らかとなった.