著者
荒木 裕子 山本 直子 上浦 沙友里 江本 彩乃 丸井 正樹
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.197, 2015 (Released:2015-07-15)

【目的】ネームはタイ北部で生産される伝統的な発酵ソーセージである。その製法は、新鮮な豚肉に食塩、にんにく、唐辛子、糯米飯を入れ常温で数日間発酵させて製造する。ネームは乳酸発酵により、pHが低下し、微生物の増殖が抑制され、完成したネームは適度に酸味があり、生食する人もいる。近年、日本でも製造され、市販品も見られるが、我が国ではネームに関する研究が少なく、安全性の検討もされていない。本研究ではネームを作製し、細菌叢の変化やpHの変化を経時的に調査した。【方法】試験試料として1)ネームパウダー添加区2)ネームパウダー無添加区 3)ネームパウダー、にんにく、唐辛子無添加区の3種のネームを調製した。調製開始から完成までの4日間、24時間毎に採取して実験試料とした。細菌の測定では、一般生菌数、大腸菌群の測定、乳酸菌の測定をおこない、pHの測定も実施した。【結果】ネームパウダー添加区では、ネームパウダーの主成分である無水グルコン酸により、調製後即時にpHの低下が見られ、細菌の増殖も抑制されていた。2)、3)の製法では、発酵1日目では大腸菌群が確認された。しかし、発酵の進行に伴い乳酸菌数が増加し、pHも低下した。それに伴い大腸菌群数が極めて減少した。ネームは製造手法により、発酵中の細菌叢や細菌数に差が見られたが、発酵完了時では全試料でpH低下がみられた。発酵により、ネーム本来の酸味と旨みが生じ、安全性も付加されることが示唆された。
著者
荒木 裕子 山本 直子 岩崎 智裕 坂本 聖人 丸井 正樹
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.154, 2017 (Released:2017-07-08)

【目的】ネームとはタイの発酵ソーセージである。ネームは乳酸発酵により、微生物の繁殖を抑制しており、生食できるのが大きな特徴である。演者らは、これまでネームの安全性や調製方法による細菌の変動等の検討を行ってきた。本研究では、ネームの嗜好性を検討することを目的に物性、乳酸量、pHの経時的変化を観察した。また、細菌検査も行い、安全性の検討も行った。【方法】試験試料は、調製材料のみの自然発酵区と材料にネームパウダー、無水グルコン酸、プレーンヨーグルトを添加した4種類を調製した。35℃で4日間発酵させ、物性、乳酸量およびpHを経時的に測定し、乳酸菌数と大腸菌群による安全性の検討を行った。【結果】乳酸量とpHは発酵が進むにつれ乳酸量が増加し、pHの減少が見られた。中でもグルコン酸添加区、ネームパウダー添加区は発酵0日で乳酸量の増加が著しくpH5を下回った。物性測定では調製方法により「かたさ」「凝集性」に差が出たが、3日発酵の完成時にはほぼ同じ値になった。完成したネームの細菌検査では、グルコン酸添加区、ネームパウダー添加区では大腸菌群は十分に抑制されていたが、自然発酵区、ヨーグルト添加区では大腸菌の抑制は十分ではなかった。自然発酵区とヨーグルト発酵区では乳酸菌数の大きな増殖が見られ、これらの適度な酸味が嗜好性に貢献していることが考えられた。4種の調製方法では、ヨーグルト添加区が調製が簡便であり完成したネームの性状も優れていた。
著者
荒木 裕子 山本 直子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.75, 2003

【目的】これまでに演者らは、極地冒険家の携帯食について設計・開発を行い実際に共用された携帯食の成分分析等を行い報告してきた。今回は、演者らが設計開発した携帯食が実際に極地冒険に供された際の利用状況を調査し、併せて日常生活とは異なる苛酷な環境下での食物摂取ついて検討したので報告する。【方法】冒険家大場満郎氏の1997年の北極海単独徒歩横断に際し、演者らが設計開発した携帯食の利用状況について調査した。調査方法は大場氏の冒険中の克明な記録をもとに調査し、併せて大場氏への聞き取り調査をおこなった。【結果】主食となる朝・夕食用A食、昼食用B食の2種とも冒険中の摂取量に変動が見られ、冒険開始直後から約2週間は予定摂取量の50~70%にとどまり、一日の摂取エネルギーも3200~4500Kcalと低かった。このことは環境の変化と高脂肪食が身体に順応していないためと心理的ストレスからの食欲不振と推測された。冒険の中盤からは食欲が増進し、予定摂取量の20~30%増の摂取がみられた。また、冒険終盤で外気温が高くなると食欲が減少するという気温と食欲との微妙な関係もみられた。現地での喫食方法はA食では微温湯を添加し5分ほど蒸らしてから喫食していたが凍結乾燥品の復元状態には問題はなかった。B食は予め凍結による硬化を防止するため油脂等を混入して調製したが、実際にはポケットに入れ体温で硬化を防止した。主食以外の食糧は乾燥肉や即席の汁粉、コーンスープなどであったが主食とこれらの食糧をうまく組み合わせることにより単調な食事に変化をもたせていた。また、不足しがちなビタミンを補給するためにサプリメントも利用されていた。
著者
植田 美津恵 山本 直子
出版者
東京通信大学
雑誌
東京通信大学紀要 第4号 = Journal of Tokyo Online University No,4 (ISSN:24346934)
巻号頁・発行日
no.4, pp.95-112, 2022-03-31

Of the 61 picture books in the so-called “classic picture books,” only “Suho’s White Horse” addressed death squarely. Japanese picture books are often rewritten with scenes of death and cruelty, the reason for this may be the influence of the education policy since the Meiji period and the involvement of the national character of Japanese people. From the 1970s, the number of picture books on the theme of death increased, and it is assumed that this was due to the increase in the number of suicides after the collapse of the bubble economy. Also there was also a murder in which an elementary school student was the perpetrator. Recently, while the number of suicides decreasing, especially the number of suicides young people increasing tendency, which increased the need to teach the importance of life in educational settings.The role of picture books in shaping one’s view of life and death was discussed by highlighting the similarities between “The Cat Who Lived a Million Times” were published in 1977 and have been long-time sellers.and “Suho’s White Horse,”
著者
荒木 裕子 山本 直子 箕口 重義
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.363-372, 1998-04-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
26

アスパラガスにおける収穫後の木化現象について調べた. 市場規格 A および B 級に該当する収穫 1 日後のアスパラガス若茎を 15~23℃ の室温で貯蔵し, 0, 3, 7 日後の試料についてリグニン含量の分析, 組織化学的呈色反応, および食味テストを実施した.貯蔵7日後試料のリグニン含量は貯蔵による試料重量減耗を考慮しても対照群試料の2倍以上に達し, また A および B 級試料間のリグニン含量は全試験区間を通じ B 級のほうが高かった.4種の組織化学的呈色反応の観察結果から, 厚壁組織, 維管束鞘, および髄部柔組織の細胞壁リグニンの種類はグアイアシル・シリンギル型, 維管束系組織など, その他の組織のそれはすべてグアイアシル型と推定された.また, 道管と厚壁組織細胞壁へのリグニン沈着は貯蔵開始時から, その他の組織細胞壁への沈着は貯蔵期間後半になって検出された.また, 細胞間に貯蔵後半に生成したコロイド状または, 顆粒状のリグニン様物質はすべてグアイアシル型であった.アスパラガス若茎の貯蔵による木化が, 若茎下部から上へと進行することは, リグニンの分析値と食味テストの結果から明らかであった.
著者
荒木 裕子 山本 直子 上浦 沙友里 江本 彩乃 丸井 正樹
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<br><br>【目的】ネームはタイ北部で生産される伝統的な発酵ソーセージである。その製法は、新鮮な豚肉に食塩、にんにく、唐辛子、糯米飯を入れ常温で数日間発酵させて製造する。ネームは乳酸発酵により、pHが低下し、微生物の増殖が抑制され、完成したネームは適度に酸味があり、生食する人もいる。近年、日本でも製造され、市販品も見られるが、我が国ではネームに関する研究が少なく、安全性の検討もされていない。本研究ではネームを作製し、細菌叢の変化やpHの変化を経時的に調査した。<br>【方法】試験試料として1)ネームパウダー添加区2)ネームパウダー無添加区 3)ネームパウダー、にんにく、唐辛子無添加区の3種のネームを調製した。調製開始から完成までの4日間、24時間毎に採取して実験試料とした。細菌の測定では、一般生菌数、大腸菌群の測定、乳酸菌の測定をおこない、pHの測定も実施した。<br>【結果】ネームパウダー添加区では、ネームパウダーの主成分である無水グルコン酸により、調製後即時にpHの低下が見られ、細菌の増殖も抑制されていた。2)、3)の製法では、発酵1日目では大腸菌群が確認された。しかし、発酵の進行に伴い乳酸菌数が増加し、pHも低下した。それに伴い大腸菌群数が極めて減少した。ネームは製造手法により、発酵中の細菌叢や細菌数に差が見られたが、発酵完了時では全試料でpH低下がみられた。発酵により、ネーム本来の酸味と旨みが生じ、安全性も付加されることが示唆された。
著者
荒木 裕子 山本 直子 石垣 貴志 関川 歩美 丸井 正樹
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.170, 2016 (Released:2016-08-04)

【目的】ネームとはタイの発酵ソーセージである。ネームは乳酸発酵により、微生物の繁殖を抑制しており、生で食べることが出来るのが大きな特徴である。我が国でのネームに関する研究は少なく、ネームの安全性についての研究もなされていない。本研究ではより安全で品質の安定したネームを調製することを目的として、条件の異なるネームを調製し調製条件の違いによる安全性および品質を検討した。【方法】試験試料として4種類のネームを調製した。基本的な材料である豚肉、豚耳、ニンニク、トウガラシ、米飯を調製する自然発酵区、また基本材料に発酵を促進する助剤であるヨーグルト、グルコン酸、肉用乳酸菌を添加したネームを調製した。35℃で4日間発酵させ、一般生菌数、大腸菌群、乳酸菌数およびpHを経時的に測定し、調製条件の違いによる安全性および品質を比較検討した。【結果】自然発酵区ではpHの低下は見られたが、大腸菌群が十分に抑制されなかった。ヨーグルト添加区、乳酸菌添加区では乳酸菌が生成する乳酸によってpHが低下し、大腸菌群が抑制された。グルコン酸添加区では4%添加のものは即時にpHが低下し、大腸菌群は強く抑制されたが、酸によるタンパク質変性が見られた。上述の通り、自然発酵区では十分に抑制されなかった大腸菌群がヨーグルト添加区、グルコン酸添加区、乳酸菌添加区において抑制されていることから、ネームの安全性を高めることを目的としたヨーグルト、グルコン酸、乳酸菌の添加は有効な手段であると示唆された。
著者
山本 直子 大内 和美 哥 亜紀
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成25年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.68, 2013 (Released:2013-08-23)

【目的】 塩麹は、米麹に食塩と水を加え醗酵熟成させたもので、独特の風味とうまみのある調味料である。この塩麹に漬けた肉や魚はうまみが増し、軟らかくなると言われている。これは米麹が産生する酵素が関係していると考えられる。そこで、本研究では塩麹の熟成する過程でのα‐アミラーゼ、グルコシダーゼ、プロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼについて、その酵素活性の変動を調べることとした。【実験方法】 塩麹は、米麹に10%の食塩(市販品に準ずる)を加え、しっとりなじむまでよく混ぜ、水を加え懸濁させて調製した。調製後は20℃で7日間熟成させ、その後4℃で冷蔵保存した。調整0日から経時的に酵素活性を測定した。α‐アミラーゼ、グルコシダーゼ及びカルボキシペプチダーゼの活性測定はキッコーマン(株)醸造分析キットを用いた。プロテアーゼ活性は基準みそ分析法に準じて測定を行った。また、pH測定および塩分を測定した。市販塩麹については開封後直ちに、各酵素活性、pH、塩分測定を行った。【結果】 調製した塩麹は0日から熟成完了の7日までの間で、酵素活性に大きな変動は見られなかった。調整後60日においてもほぼ同程度の酵素活性を有していた。市販塩麹は酵素活性があるものとないものに分けられた。活性のあった製品は今回調べた4つの酵素とも活性が見られ、活性のなかった製品は4酵素とも活性が見られなかった。すなわち市販塩麹では酵素が失活している製品も見受けられた。pHは調製および市販塩麹とも5.2~6.1と微酸性で、塩分は8.0~12%であった。
著者
大谷 眞二 山本 直子 佐藤 尚喜 松波 馨士 岡本 幹三 黒沢 洋一
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.185-191, 2012 (Released:2012-07-18)
参考文献数
12

終末期がん患者における輸液量と呼吸困難・気道分泌との関連性を明らかにすることを目的として後ろ向き研究を行った. 悪性新生物により死亡した138例を対象とし, 死亡前1週の輸液量1,000 ml/日以下の少量群85例と1,001 ml/日以上の多量群53例に分けて呼吸困難と気道分泌の有無を比較した. また, これらの症状に影響のある因子を多変量解析で求めた. 呼吸困難と気道分泌は多量群の64.2%, 52.8%にみられ, 少量群(32.9%, 15.3%)と比較して有意に高値であった. 呼吸困難に関連していたのは肺病変(オッズ比3.55), 輸液1,001 ml/日以上(3.54), オピオイド投与(0.40)で, 気道分泌では肺病変(7.29), 輸液1,001 ml/日以上(4.43), 食事摂取(0.31)であった. 過量な輸液が呼吸器症状に影響を及ぼすことが示唆され, 1,000 mlを超えない輸液が1つの目安と考えられた.