著者
中山 徹 大石 正 宮城 俊作 中林 浩 宮川 智子 前田 真子 白石 克孝
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1.イギリスの緑地再生の試み、パートナーシップ型都市再生のあり方をコミュニティフォレストの事例を中心に考察してきた。採炭地・工場跡地で始まった事例は、地域再生の原動力となるが、コミュニティが主体的に組み立てる環境改善事業のなかで展開する、青少年の参加・学校での環境教育の展開・地場産業の育成・企業の環境保全への努力であることを証明した。中でもブラウンフィールドを多く保有する地域であるマージー・フォレストでは、環境面の向上のみでなく、経済面や観光面を含む幅広い観点からの森林の多機能性に着目し、様々な役割があることを評価し、基盤整備の一つとして捉えた計画が進められている。具体的事例からは、既存の林地の2倍以上に植林を増やし、連続した林地を形成すべく地域の3割近くを林地にする計画・予定が提案され、新たな植林の促進が主な取り組みであることがわかった。既に整備された場所についても新たな植林による更なる環境向上が計画されていることから、環境再生には時間と労力を要することを提示しているといえる。2.森林の再生と保全を趣旨とし、持続可能な地域発展と行政・企業・団体・住民のパートナーシップの形成、地域経済の活性化の目標を明確に示して事業が進められており、これら4つの条件のバランスがうまくとれているといえる。日本におけるエコツーリズムの事例は全国にあるものの、住民や地元企業の協力を得て、継続的に事業を行っていくことは容易ではない。パートナーシップを形成しやすい仕組みづくりを国として整え、点と点を結ぶ広域的な整備や長い眼で見た持続的な地域発展を考慮した事業展開が必要であろう。イギリスのように、地域住民の権利と責任の意識を根付かせるには、法的整備によるエコツーリズムの活性化と、住民の意識に自然環境や地域資源の保全と再生の重要性を訴えかける草の根的な活動を有機的に連携し実施して行くことが求められよう。
著者
大石 正
出版者
奈良佐保短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13485911)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.35-39, 2010-03-31

外国人介護福祉士候補者が、インドネシア、フィリピンからEPA(二国間経済連携協定)に基づいて日本に受入られている。その現状について調査し、どのような問題点があるのか、そしてその解決はどのようにしたら良いのかを検討するために、新聞、Web等のメデイアによる情報を集め、現状を知るとともに課題を整理した。 現状は、高齢社会の日本において、介護需要が増加しているにもかかわらず、介護労働現場では、低賃金、3K職場といわれ、人材が不足している。EPAがフィリピン、インドネシアと締結され、その一環として、外国人看護師、介護士候補者の受入れが行われた。日本にとっては、人手不足の解消というよりも経済協力の強化が目的であり、相手国にとっては、人的交流が目的である。 相手国候補生に関する課題、日本側の課題、これからの課題の3つについて、検討した。特に、介護福祉士が国家資格である日本は、このシステムの国際化を図り、これから高齢化を迎える東アジアの諸国に貢献する必要があることを指摘した。
著者
米田 守宏 大石 正 村松 加奈子 若村 智子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

(1)屋外において、被験者を用いて背中を太陽光(紫外線)曝露する場合と衣服により紫外線防護する場合を比較することにより、紫外線の影響について検討した。3時間の紫外線曝露グループでは、NK細胞の活性が低下しIL-6が増加するなど免疫系への影響が認められた。太陽光曝露中では、交感神経を優位にさせ、曝露終了後には体温の放熱がより高くなり、紅斑が有意に高くなった。同様の実験を香港において香港人を被験者として実施し、日本人と香港人の結果を比較検討した。(2)人工的条件による紫外線の影響を知ることを目的として、被験者実験を行った。バイタライトを光源としてUVカットフイルムの有無による効果について免疫機能、自律神経系、主観的評価に関して計測した。本実験では、免疫系や自律神経活動には有意な差は認められなかったが、夜間の睡眠構造の分断化が認められ、生体への影響が伺われた。(3)ヘアレスマウスを用いて紫外線が動物の活動や体温リズム、免疫器官、内分泌器官へ与える影響について検討を行った。光強度が小さいため免疫器官や内分泌器官への影響は明瞭ではなかったが、活動リズムに関しては、紫外線が活動を抑制し、リズムが明瞭になる傾向が認められた。(4)日本(奈良)と香港において屋外の紫外線(UVB,UVA)量、全天日射量の経時的観測を行ない、取得データからその季節変動を調べた。UVB、UVA,全天日射量は1.7〜4,1.1〜1.7,1.2〜2.1倍だけ香港が高かった。これら放射量と緯度、オゾン量等との関係を調べた。(5)UV強度法測定装置を用いて衣料用布の紫外線防護性を評価した。UV透過率に及ぼす測定条件の検討、および、布構造の影響(厚さ、重さ、空隙率)に関する検討を行った。光ファイバ型紫外/可視分光器を用いた装置を試作し、各種繊維素材からなる白色布および染色布の分光透過率および分光反射率を測定した。