著者
大磯 直毅
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.129, no.10, pp.2137-2143, 2019-09-20 (Released:2019-09-20)
参考文献数
14

色素異常症は,色素増強症,色素脱失症,異物沈着症に分類される.色調変化をともなう皮膚疾患は多岐にわたり,色素異常症との鑑別診断が求められる.鑑別すべき疾患のひとつに色調変化をともなう母斑・母斑症がある.本稿では,母斑・母斑症における色調変化の発症機構について最近の知見を整理したい.
著者
三宅 雅子 志賀 久里子 柳原 茂人 遠藤 英樹 大磯 直毅 川田 暁
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.105-109, 2018 (Released:2018-12-14)
参考文献数
13

80歳代,男性。以前より糖尿病があり,インスリン治療を行っていた。初診の2ヶ月前から左下腹部に皮下硬結が出現したため近医皮膚科を受診し,精査目的で当科に紹介された。当科初診時,左下腹部に 4~5cm 大の自覚症状のない皮下硬結を認めた。臨床経過,臨床所見,病理組織所見からインスリンボールであると診断した。インスリンボールはインスリン由来のアミロイドがインスリン注射部位に沈着することにより生じる皮下腫瘤である。インスリンボールは他部位と比べつまみやすく,注射時の痛みを感じにくいためインスリン使用患者は腫瘤部を好んでインスリン注射部位に選ぶ傾向にある。しかしながらインスリンボールは他部位と比べインスリンの吸収が阻害されるため,患者の血糖コントロールの悪化につながる。糖尿病患者を診察する際はインスリン注射部位を観察し,インスリンの注射手技を定期的に確認・指導することが望ましいと考える。(皮膚の科学,17: 105-109, 2018)
著者
立林 めぐ美 大磯 直毅 川田 暁
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.403-410, 2015 (Released:2016-04-05)
参考文献数
9

非ステロイド性抗炎症薬含有テープ剤などの貼付剤は皮膚と密着し,主剤の皮膚への浸透性を高めて効果を発揮するが,各種成分へのアレルギー感作が成立し,アレルギー性接触皮膚炎や光アレルギー性接触皮膚炎が生じうる。貼付により皮膚バリア機能が低下すると,アレルゲンの皮膚内への浸透性が高まり,感作がより生じやすくなる。しかしながら,貼付剤による皮膚バリア機能におよぼす影響はほとんど評価されていない。20歳以上の本研究に同意が得られた健常人ボランティア20例を対象にロキソプロフェンナトリウム水和物貼付剤とケトプロフェン2%貼付剤を7日間連続貼付し,貼付終了直後および貼付終了7日後における皮膚バリア機能に及ぼす影響を検討した。評価項目として経皮水分蒸散量(TEWL: transepidermal water loss)と角質水分量(capacitance)を測定した。角質水分量に貼付剤間の差は認められなかった。ケトプロフェン2%貼付剤群では,貼付終了直後と貼付終了7日後の経皮水分蒸散量が優位に高値を示した。テープ剤の各種成分の選択と構成比の最適化を図り,皮膚バリア機能が低下しない,もしくは低下しにくい貼付剤の開発と普及が望まれる。(皮膚の科学,14: 403-410, 2015)
著者
立林 めぐ美 大磯 直毅 川田 暁
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.403-410, 2015

非ステロイド性抗炎症薬含有テープ剤などの貼付剤は皮膚と密着し,主剤の皮膚への浸透性を高めて効果を発揮するが,各種成分へのアレルギー感作が成立し,アレルギー性接触皮膚炎や光アレルギー性接触皮膚炎が生じうる。貼付により皮膚バリア機能が低下すると,アレルゲンの皮膚内への浸透性が高まり,感作がより生じやすくなる。しかしながら,貼付剤による皮膚バリア機能におよぼす影響はほとんど評価されていない。20歳以上の本研究に同意が得られた健常人ボランティア20例を対象にロキソプロフェンナトリウム水和物貼付剤とケトプロフェン2%貼付剤を7日間連続貼付し,貼付終了直後および貼付終了7日後における皮膚バリア機能に及ぼす影響を検討した。評価項目として経皮水分蒸散量(TEWL: transepidermal water loss)と角質水分量(capacitance)を測定した。角質水分量に貼付剤間の差は認められなかった。ケトプロフェン2%貼付剤群では,貼付終了直後と貼付終了7日後の経皮水分蒸散量が優位に高値を示した。テープ剤の各種成分の選択と構成比の最適化を図り,皮膚バリア機能が低下しない,もしくは低下しにくい貼付剤の開発と普及が望まれる。(皮膚の科学,14: 403-410, 2015)
著者
遠藤 英樹 大磯 直毅 川田 暁 黒田 啓 多島 新吾
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.360-366, 2006 (Released:2011-02-18)
参考文献数
8

後天性掌蹠角化症患者30例を対象として,活性型ビタミンD3外用薬であるマキサカルシトール(オキサロール®)25μg/g軟膏を1日2回8週間外用し,有効性と安全性を検討した。(1)皮膚症状の紅斑,角化・鱗屑,亀裂について4週後と8週後に投与前に比して有意な改善が認められた(p‹0.05)。(2)中等度改善以上の有効率は4週後73.1(19/26)%,8週後74.1(20/27)%であった。(3)局所刺激を含む有害事象は認められなかった。(4)患者印象の好ましい以上は4週後80.8(21/26)%,8週後85.2(23/27)%であった。(5)有用度の有用以上は76.7(23/30)%であった。以上の点より活性型ビタミンD3外用薬であるマキサカルシトール25μg/g軟膏は後天性掌蹠角化症に対して有用性の高い薬剤である事が示唆された。