著者
榎本 ヒカル 澤田 晋一 安田 彰典 岡 龍雄 東郷 史治 上野 哲 池田 耕一
出版者
独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.7-13, 2011 (Released:2011-09-30)
参考文献数
17
被引用文献数
4 2

熱中症予防のためには水分摂取が重要であることが指摘されているが,その水分補給量の目安は明確に定められてはいない.そこで,ISO7933に採用されている暑熱暴露時の暑熱負担予測のための数値モデルであるPredicted Heat Strain(PHS)モデルに着目し,暑熱環境における水分補給量の違いが人体に与える影響を検討し,PHSモデルから算出される水分補給量の妥当性を検証した.健常な青年男性8名を被験者とし人工気象室を用いて水分摂取条件を3水準(無飲水,PHSモデルによる飲水,ACGIHガイドラインに基づく飲水),運動条件を2水準(座位,トレッドミル歩行)設定し,生理的指標として皮膚温・体内温(直腸温,耳内温),体重,指先血中ヘモグロビン濃度,心電図,血圧・脈拍数,視覚反応時間,心理的指標として温冷感に関する主観的申告,疲労に関する自覚症しらべを測定した.その結果,暑熱環境での作業時には飲水しないよりも飲水するほうが体温や心拍数が上昇しにくく,生理的暑熱負担が軽減されることが示唆された.また,PHSモデルによる体内温と体重の変化量の予測値と本研究での実測値を比較したところ,PHSモデルは作業時の水分補給の目安の一つになりうることが明らかになった.
著者
時澤 健 岡 龍雄 安田 彰典 田井 鉄男 ソン スヨン 澤田 晋一
出版者
独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.79-82, 2015-09-30 (Released:2015-10-08)
参考文献数
11
被引用文献数
3 1

暑熱環境における作業は体温上昇をまねき,熱中症の発症を誘発する.作業中には身体冷却の方法が制限されることや,作業による筋活動の熱産生を抑えることは難しいことから,作業前や休憩中に身体冷却を行い,体温を低下させておくことが重要となる.我々は,労働現場で実施することが可能な実用的で簡便な方法による身体冷却について最近研究を行ってきた.従来,実験的な身体冷却方法は冷水への全身浸漬であり,大量の冷やした水とバスタブが必要であった.これは少数人に施す前提で大きな装置を必要とし,身体への寒冷ストレスが大きいというデメリットがあった.したがって,労働現場において多くの作業者が限られたスペースで実施でき,さらに寒冷ストレスがマイルドな身体冷却方法を考案する必要があった.本文では,扇風機とスプレー,少量の水による手足の浸漬とクールベストの着用の組み合わせによる身体冷却方法が,深部体温をどの程度減少させ,作業中の暑熱負担を軽減させるかについて我々の研究成果を中心に述べる.