著者
榎本 ヒカル
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b></b><b>目的 </b>近年の夏場の暑熱気象に対応するため学校環境への冷房用エアコンの導入が急速に進んでいる。平成26年度の調査では小中学校普通教室のエアコン設置率は全国平均で32.8%、東京都では99.9%であり、夏期の教室温熱環境が改善していると推測される。本研究では東京都市部における現状の把握を目的として、教員と児童生徒の温熱環境の実態調査を行った。<br> <b>方法 </b>調査は東京都の某区立小学校にて行われた。調査は南向きの校舎3階にある第6学年の学級で行い、教室とその学級の担任教諭(20代男性)、児童30名(男子16名、女子14名)を調査対象とした。測定項目は教室の温熱環境(温度、湿度、気流速度、黒球温度)、教諭の皮膚温(胸、上腕、下腿)、教諭及び児童の温冷感とした。調査はH26年9月上旬および10月下旬に行った。<br> <b>結果 </b>1)教室の温熱環境は9月上旬は25℃~29℃の範囲内にあり、エアコンにより高温高湿度になることが抑えられていた。10月下旬には外気温は20℃以下であったが、教室は24~28℃であり夏とあまり変わらない状態であった。2)教員の皮膚温は9月、10月とも34℃程度であり、比較的暑い環境で働いていた。3)児童の温冷感は個人差が大きく、平均値に男女差はみられなかった。<br> 文献 公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況調査の結果について、H26年5月23日、文部科学省
著者
榎本 ヒカル 澤田 晋一 安田 彰典 岡 龍雄 東郷 史治 上野 哲 池田 耕一
出版者
独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.7-13, 2011 (Released:2011-09-30)
参考文献数
17
被引用文献数
4 2

熱中症予防のためには水分摂取が重要であることが指摘されているが,その水分補給量の目安は明確に定められてはいない.そこで,ISO7933に採用されている暑熱暴露時の暑熱負担予測のための数値モデルであるPredicted Heat Strain(PHS)モデルに着目し,暑熱環境における水分補給量の違いが人体に与える影響を検討し,PHSモデルから算出される水分補給量の妥当性を検証した.健常な青年男性8名を被験者とし人工気象室を用いて水分摂取条件を3水準(無飲水,PHSモデルによる飲水,ACGIHガイドラインに基づく飲水),運動条件を2水準(座位,トレッドミル歩行)設定し,生理的指標として皮膚温・体内温(直腸温,耳内温),体重,指先血中ヘモグロビン濃度,心電図,血圧・脈拍数,視覚反応時間,心理的指標として温冷感に関する主観的申告,疲労に関する自覚症しらべを測定した.その結果,暑熱環境での作業時には飲水しないよりも飲水するほうが体温や心拍数が上昇しにくく,生理的暑熱負担が軽減されることが示唆された.また,PHSモデルによる体内温と体重の変化量の予測値と本研究での実測値を比較したところ,PHSモデルは作業時の水分補給の目安の一つになりうることが明らかになった.
著者
榎本 ヒカル 池田 耕一 東 賢一 栃原 裕
出版者
National Institute of Occupational Safety and Health
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.5-10, 2009
被引用文献数
1 10

夏期における「クールビズ」実施オフィスの温熱環境条件およびその勤務者による性差を中心とした温熱環境評価の違いを明らかにするために,実測調査およびアンケート調査を行った.調査は2005年9月中旬に行われ,調査対象は東京都千代田区にあるオフィスビル及びその勤務者のべ84名であった.建物7階の執務室にて温熱環境条件の測定を行い,併せてそこで働く人を対象に着衣状況や主観的申告をアンケート形式で回答してもらった.その結果,今回測定されたオフィスにおける室温はおおむね28℃以下であった.勤務者の着衣状況はほぼ全員が軽装で,男性はジャケット着用者はおらず,ネクタイ着用率は1割程度であった.勤務者による温熱環境の評価については,女性はおおむね満足度が高いが男性は「快適」な人から「暑くて不快」な人まで様々であった.これは男女の着衣や代謝量,冷房に対する体質の違いに主として起因すると考えられる.また気温28℃におけるより快適な環境条件としてPMV=0.5となる条件の提言を行った.
著者
榎本 ヒカル 久保 博子 磯田 憲生 梁瀬 度子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.1091-1100, 1995-11-15
被引用文献数
4 2

This paper aims to analyze the effects of the aging from residential dwellings which are specifically concerned with heating and cooling systems. Also this paper attempts to clarify the characteristics and problems associated with it. For the purpose, we conducted surveys among 900 residents of western Japan during both winter and summer, the residents arranged with three age groups. The main results are as follows : 1) In the summer, the most popular cooling systems are air conditioners among young and middle-aged people, and electric fans among old people over 60. 2) In the winter, the heating mechanism most commonly used are unvented burning heaters among the middle and old people, and "kotatsu"-style heating among those under 40. 3) In the summer, the choice of a cooling system by older people are determined by individual constitution and the body mass index. In the winter, choice of a heating system is affected more by the age of the dwelling or family composition than by constitutional needs.
著者
榎本 ヒカル 久保 博子 磯田 憲生
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.56, pp.69-76, 1994-10-25
被引用文献数
1

高齢者の好ましい温熱環境条件を導き出す研究の一環として,夏服着用,椅座安静状態の高齢者男性および青年男性に,高齢者は28,30,32℃,青年は26,28,30℃のそれぞれ3段階の気温において,最も快適な温熱環境になるように気流速度を調節させた.その結果,各気温での選択気流速度の平均値は高齢者男性群は気温28℃で0.41m/s,30℃で0.80m/s,32℃で1.08m/sで,青年男性群の気温26℃で0.46m/s,28℃で0.84m/s,30℃で1.37m/sに比べ同じ気温で約0.4m/s遅く,高齢者男性は青年男性と比べて気流暴露後の皮膚温や熱流量,温冷感に違いがみられた.