著者
安田 茂 坂 久美子 夏秋 啓子
出版者
Japanese Society for Tropical Agriculture
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.85-93, 1998-06-01 (Released:2010-03-19)
参考文献数
14

葉脈沿いに進展した退緑モザイクを主な症状とするアルストロメリアから分離されたウイルスの性状を調べ, その同定を行った.汁液接種によって調査した本ウイルスの宿主域は, 12科34種の試験植物のうち, 3科4種であった.感染葉汁液の電子顕微鏡観察では, ウイルス粒子は長さ700nm, 幅12nmのひも状で, 併せて層板状封入体も認められた.また, 超薄切片の電子顕微鏡観察では, 葉肉細胞細胞質に散在したウイルス粒子とともに, 渦巻状および風車状の封入体も観察された.本ウイルスは, モモアカアブラムシおよびネギアブラムシによって, 非永続的に伝搬された.SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によってウイルスの外被たんぱく質の分子量を調べたところ, 約33kDであった.本ウイルスを精製し, 家兎に注射して抗血清 (As-AlMV-Y) を作製した.本ウイルスはBOUWENおよびBRUNT両博士より分譲されたアルストロメリアモザイクウイルスに対する抗血清と反応した.以上の結果から本ウイルスはPHILLIPSら (1986) , およびわが国では井上ら (1992) が報告したアルストロメリアモザイクウイルスと同定された.さらに, As-AIMV-Yを利用した発生調査で, 本ウイルスは栽培圃場あるいは市販の切り花からも検出されることから, わが国でも広く発生していると考えられた.本ウイルスは, ティッシュブロット法などによって根茎や貯蔵根からも血清学的に診断可能であることが示された.アルストロメリアはプラジル, チリなど南アメリカに広く自生し, これらから多くの園芸品種が作出されている.また, アルストロメリアおよびこれと近縁で熱帯・亜熱帯に多く見られるヒガンバナ科植物ウイルスについての研究は少ない.したがって, アルストロメリアのウイルス病に関する研究は, これら植物の栽培や育種上も重要な課題の一つであると考えられた.
著者
原 竜介 伊東 久夫 安田 茂雄 町田 南海男 磯部 公一 宇野 隆 高野 英行 幡野 和男 茂松 直之 久保 敦司
出版者
Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
雑誌
The Journal of JASTRO (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.109-115, 1999-06-25 (Released:2011-07-11)
参考文献数
13

放射線治療を行った原発不明頸部リンパ節転移癌患者29例について検討した. N病期はNl: 1例, N2: 14例, N3: 14例で, 組織型は扁平上皮癌25例, 未分化癌4例であった. 11例は放射線と手術が併用され (RT+Ope群), 18例は放射線を主体に治療した (RT群). 頸部リンパ節への総線量は50-78Gyであった. 全体の5年生存率は40%となった. N病期別の5年生存率はN1-2b群61%, N2c-N3群22%となり, N1.2b群が有意に予後良好であった (p=0.003). 治療法ではRT群33%, Ope+RT群59%となり, Ope+RT群において有意に予後良好であった (p=0.004). N1-2b群とN2c-3群の累積局所制御率は, それぞれ73%, 34%となった (p=0.026) 治療法別の局所制御率では, Ope+RT群の76%に対し, RT群は36%となった (p=0.010). 経過中に原発巣が発現した症例は4例であった. 原発不明癌の頸部リンパ節転移では, 転移リンパ節の制御が生存率改善に必要で, 出来る限り転移リンパ節を切除する必要性が示唆された.
著者
林 理三雄 安田 茂 石原 秀泰 張 宰赫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.254-262, 2001-02-01

九州地域(鹿児島, 熊本, 福岡)及び太平洋沿岸の地域(高知, 浜松, 静岡)の1分降雨量(降雨強度)観測データを用いて, 鹿児島の降雨の特徴を抽出した.また, 鹿児島における降雨の特徴が, 衛星放送電波の降雨減衰や斜め伝搬路特性に与える影響について解析した.その結果, 鹿児島では, (1)強い降雨強度の降雨が多く, 散発的な降雨が多い.(2)一般に降雨量は長時間の小降雨強度に依存することが多いが, 鹿児島では降雨強度の強い物の寄与が大きい.(3)散発的な強い降雨強度の降雨は, 小雨期と思われる10月に多い.地点降雨強度と斜め伝搬路における降雨減衰(区間降雨強度に関係する)を評価するため, 地点降雨強度と降雨減衰が同一累積時間率のとき, 地点降雨強度と降雨減衰の関係を求めた.結果, (4)地点降雨強度が雨域伝搬通路に一様にあるとすると, その等価通路長は実際の通路長よりも8〜10倍長くなることがわかった.
著者
安田 茂 坂久 美子 夏秋 啓子
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.85-93, 1998-06-01

葉脈沿いに進展した退緑モザイクを主な症状とするアルストロメリアから分離されたウイルスの性状を調べ, その同定を行った.汁液接種によって調査した本ウイルスの宿主域は, 12科34種の試験植物のうち, 3科4種であった.感染葉汁液の電子顕微鏡観察では, ウイルス粒子は長さ700nm, 幅12nmのひも状で, 併せて層板状封入体も認められた.また, 超薄切片の電子顕微鏡観察では, 葉肉細胞細胞質に散在したウイルス粒子とともに, 渦巻状および風車状の封入体も観察された.本ウイルスは, モモアカアブラムシおよびネギアブラムシによって, 非永続的に伝搬された.SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によってウイルスの外被たんぱく質の分子量を調べたところ, 約33kDであった.本ウイルスを精製し, 家兎に注射して抗血清(As-AlMV-Y)を作製した.本ウイルスはBOUWENおよびBRUNT両博士より分譲されたアルストロメリアモザイクウイルスに対する抗血清と反応した.以上の結果から本ウイルスはPHILLIPSら(1986), およびわが国では井上ら(1992)が報告したアルストロメリアモザイクウイルスと同定された.さらに, As-AlMV-Yを利用した発生調査で, 本ウイルスは栽培圃場あるいは市販の切り花からも検出されることから, わが国でも広く発生していると考えられた.本ウイルスは, ティッシュブロット法などによって根茎や貯蔵根からも血清学的に診断可能であることが示された.アルストロメリアはプラジル, チリなど南アメリカに広く自生し, これらから多くの園芸品種が作出されている.また, アルストロメリアおよびこれと近縁で熱帯・亜熱帯に多く見られるヒガンバナ科植物ウイルスについての研究は少ない.したがって, アルストロメリアのウイルス病に関する研究は, これら植物の栽培や育種上も重要な課題の一つであると考えられた.