著者
大須賀 直人 斎藤 珠実 田村 正徳 寺本 幸代 岩崎 浩 宮沢 裕夫
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.1047-1054, 1999-12-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
14

男性でありながらX染色体を3本過剰に有する性染色体異常(XXXXY症候群)に遭遇したので,歯科的所見を加え,その概要を報告する。1.妊娠経過は,子宮内胎児発育遅延があり,在胎39週4日に頭位経膣分娩にて出生。出生時はApgar score3点(1分),5点(5分)と新生児仮死であった。2.患児は,合併症として肺動脈弁狭窄,尿道下裂,二分陰嚢,左内反足,心身発達遅滞および体重増加不良がみられた。3.手根骨の化骨状態は骨核数が3個認められ,暦年齢とほぼ一致していた。また,エックス線写真により,第一乳臼歯のTaurodont teethが認められた。4.側貌頭部エックス線規格写真分析より,骨格は全体的に小さい傾向が認められたが,下顎骨体長はやや大きく,下顎枝高は小さく,下顎骨が時計回りに回転していた。
著者
井上 美津子 浅里 仁 池田 訓子 小林 聡美 佐々 龍二 高木 裕三 朝田 芳信 大嶋 隆 小口 春久 田中 光郎 前田 隆秀 宮沢 裕夫 藥師寺 仁 渡部 茂 真柳 秀昭 鈴木 康生 下岡 正八 野田 忠 渋井 尚武 進士 久明 田村 康夫 土屋 友幸 大東 道治 香西 克之 西野 瑞穂 木村 光孝 本川 渉 藤原 卓 山崎 要一 吉田 昊哲 丸山 進一郎 嘉ノ海 龍三 品川 光春
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.561-570, 2005-12-25
参考文献数
11
被引用文献数
5

小児に対する歯科用局所麻酔剤の安全性を明らかにするため日本小児歯科学会の委嘱により,臨床における使用実態と不快事項の発現に関する調査を行った.大学病院小児歯科および個人小児歯科診療所より4,145名分のデータが収集され,以下の結果を得た.<BR>1.局所麻酔を用いた治療は0歳から20歳以上の幅広い年齢層に行われていたが,12歳以下の者が約90%を占めていた.<BR>2.全身疾患やアレルギー体質を有する小児は調査対象児の2割以上を占め,また局所麻酔が初めての小児が16.2%であった.3<BR>.小児の治療において,局所麻酔はコンポジットレジン修復などの修復処置にも多用されていた.<BR>4.局所麻酔薬剤としてはリドカイン製剤が多く用いられており,投与量は1.0ml以下が多かったが,1.8mlを超えた例も3%程度みられ,追加投与により総量が増える傾向がみられた.<BR>5.術中,術後の不快事項は,それぞれ108名(2.6%),109名(2.6%)にみられた.不快事項の内容は,麻酔の奏効不良による疼痛や麻痺による違和感・不快感の訴えや,麻痺の残存による咬傷などが多くを占めていた.<BR>6.局所麻酔薬剤の副作用を疑わせる熟睡や軽い呼吸困難,悪心などの症状は,術中に3例,術後に6例ほどみられたが,いずれも重篤なものではなかった.