著者
鈴木 康生 真柳 秀昭 福田 理 森主 宜延 西川 康博 田中 晃伸
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.571-582, 2005-12-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
7
被引用文献数
2

歯科大学・大学歯学部における小児歯科学の教育,障害児歯科の教育ならびに大学(附属病院)における障害児(者)の歯科診療の現状を知る目的から,29歯科大学・大学歯学部を対象にアンケート調査を行った.小児歯科学の教育については,講義学年や講義時間数の設定等は多様化の傾向がみられた.また小児歯科学の講義学年では,4学年が多いが,低学年や複数学年にまたがる場合もみられた.障害児歯科の教育については,9大学で「障害者歯科学講座」等が設置され,他の多くの大学でも授業科目としての「障害者歯科学」が設けられていた.また,小児歯科学の中での「障害児歯科」の教育は,大多数の大学で講義がなされていた.「障害児歯科」の講義内容については,「心身障害児の歯科診療」,「小児疾患と歯科治療」について多くの大学で講義されていた.また,「症候群・先天異常(染色体異常・遺伝性疾患)」はほとんどの大学の小児歯科学の中で講義されていた.大学(附属病院)における障害児(者)の歯科診療の現況については,「障害者歯誌科」等の診療科が設置されているのが22大学であった.また診療科がない場合の受け入れ窓口は,小児歯科,あるいは小児歯科と他科とで担当していた.また小児歯科における障害児の歯科診療は,大多数が15歳以上も対象としており,20歳以上の障害者も対象として診療を行っている大学も多くみられた.
著者
小久江 由佳子 猪狩 和子 小松 偉二 真柳 秀昭
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.140-147, 2003-03-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
24
被引用文献数
4

近年,口呼吸をする小児が増加しているといわれているが,実際に口呼吸をしている小児の割合や口呼吸が引き起こす問題点に関しては未だ明らかにされていないことが多い.そこで,今回小児における口呼吸の実態を調査する目的で仙台市内の保育園11か所における年長児クラス(4~6歳)275名の保護者を対象にアンケート調査を行い,206名から回答を得た(回収率74.9%).アンケートにより,口呼吸吸群群,鼻呼,中間群と群分けし比較したところ,以下の結果を得た.1.保育園児の22.8%が口呼吸をしている可能性が高い.2.口呼吸群は鼻呼吸群と比較して以下のような傾向があった.1)鼻咽頭疾患の既往率が高い.2)口唇,口に乾燥がみられる.3)唇が弛緩し,上唇がめくれている.4)風邪をひきやすい.5)よく聞き返す.6)前歯部の咬合は正常の割合が低い.7)咀嚼嚥下が上手にできない.8)猫背である.3.口呼吸は離乳時期,おしゃぶりの使用の既往との間に関連は認められなかった.以上より口呼吸は様々な問題点を引き起こしていることが示唆され,外来患者における呼吸様式を把握することの重要性ならびに耳鼻咽喉科との連携強化の必要性を再確認した.
著者
井上 美津子 浅里 仁 池田 訓子 小林 聡美 佐々 龍二 高木 裕三 朝田 芳信 大嶋 隆 小口 春久 田中 光郎 前田 隆秀 宮沢 裕夫 藥師寺 仁 渡部 茂 真柳 秀昭 鈴木 康生 下岡 正八 野田 忠 渋井 尚武 進士 久明 田村 康夫 土屋 友幸 大東 道治 香西 克之 西野 瑞穂 木村 光孝 本川 渉 藤原 卓 山崎 要一 吉田 昊哲 丸山 進一郎 嘉ノ海 龍三 品川 光春
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.561-570, 2005-12-25
参考文献数
11
被引用文献数
5

小児に対する歯科用局所麻酔剤の安全性を明らかにするため日本小児歯科学会の委嘱により,臨床における使用実態と不快事項の発現に関する調査を行った.大学病院小児歯科および個人小児歯科診療所より4,145名分のデータが収集され,以下の結果を得た.<BR>1.局所麻酔を用いた治療は0歳から20歳以上の幅広い年齢層に行われていたが,12歳以下の者が約90%を占めていた.<BR>2.全身疾患やアレルギー体質を有する小児は調査対象児の2割以上を占め,また局所麻酔が初めての小児が16.2%であった.3<BR>.小児の治療において,局所麻酔はコンポジットレジン修復などの修復処置にも多用されていた.<BR>4.局所麻酔薬剤としてはリドカイン製剤が多く用いられており,投与量は1.0ml以下が多かったが,1.8mlを超えた例も3%程度みられ,追加投与により総量が増える傾向がみられた.<BR>5.術中,術後の不快事項は,それぞれ108名(2.6%),109名(2.6%)にみられた.不快事項の内容は,麻酔の奏効不良による疼痛や麻痺による違和感・不快感の訴えや,麻痺の残存による咬傷などが多くを占めていた.<BR>6.局所麻酔薬剤の副作用を疑わせる熟睡や軽い呼吸困難,悪心などの症状は,術中に3例,術後に6例ほどみられたが,いずれも重篤なものではなかった.